かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

大正~昭和の洋風住宅(昭和区桜山界隈)

2009-04-19 | 名古屋の近代建築

昭和区桜山周辺は、戦前の洋風住宅がまだ比較的多く残っています。
その中でも和風住宅に洋風住宅が併設されているタイプは、比較的洋館の規模が大きく見所があります。
●洋風+和風住宅
 洋館と和館が棟続きで、洋館が和館と同程度以上の規模のもの

■K邸/昭和12年頃/木造2階建
 和館と洋館が並んで建っています。洋館は大きなアーチ窓が設けられ、タイル貼りです。





■H邸/昭和初/RC2階建
 総タイル貼りで急勾配の大屋根に煙突が洋館らしさを演出しています。ドイツ人クンセの設計




●一部洋室住宅
 洋館と和館が棟続きで洋館が和館以下の規模のもの。
 大正~昭和にかけて開発された当時の新市街地(昭和、瑞穂、千種、天白区など)に建てられた、いわゆる文化住宅形式の住宅で、玄関脇に洋風の応接間を設けた。

■F邸/昭和初/木造2階建
 グレーのドイツ壁に大きなアーチ窓、急勾配の赤の切妻屋根が映えます。





■陶生町の洋館
 玄関部分をハーフティンバー風の壁にして、下部にマーブル調のタイルを廻しています。
 洋館部分が前面に出ているので、洋風の雰囲気が強い外観になっています。





■玄関の横に一部屋だけ洋風の応接間を付けた、典型的な文化住宅タイプは結構残っています。
 洋館までは建てられない当時の一般庶民の洋風生活への憧れが、小さな洋室にこめられているようです。






 戦前からの古い住宅地も、マンションやハウスメーカーの金太郎飴的住宅が増え、古い洋風住宅は激減しています。そんな中で、古い洋館を残しながら改築しているお宅を拝見すると、嬉しくなってしまいます。
 和風建築に西洋風の様式デザインをうまく取り込んだ古い住宅は、長い年月をかけて町並に馴染み、歴史的重みのある人に優しい自然な景観をつくりだしてくれます。
 今回の探訪で、あらためて年代を刻んだ近代建築の良さを再認識できました。