素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

池澤夏樹著『憲法なんて 知らないよ』(集英社文庫)

2011年07月12日 | 日記
 妻の知人が本の整理をしたらしいが、捨てるに忍びない本を段ボールに入れて持ち帰った。おまけに「旦那さんに読んでもらって」という一言がついたみたいなので私の部屋で面倒をみることになった。高校で国語を教えていたそうだが、私とはほとんど面識がない。何かの縁と考えて1年間は保管することにした。

 井沢さんの『攘夷と護憲』や政治の混迷、NHKの「さかのぼり日本史」などの影響で、“憲法”のことに関することに関心が高くなっている。今夜の「さかのぼり日本史」は憲法制定にいたる動きを中心にとりあげていた。

 明治初期、政府主導の近代化政策として「殖産興業」が進められる一方で、近代国家のためには議会開設と憲法制定を早く行うべきだと主張する人々が増大。自由民権運動が起こった。政府は弾圧を図るが、運動は全国に拡大し、東京西部では自分たちで憲法草案を作る人々まで現れた。そして明治14年、政府の中でも、大隈重信が自由民権運動に同調し、2年後の国会開設を政府に要求するに至った。追い詰められた伊藤等は、10年後の国会開設と憲法制定を約束し、騒動の鎮静化を図るかたわら、大隈を政府から追放する。「明治14年の政変」と呼ばれるこの事件の結果、日本の近代化は、政府とそれを支える官僚たちの手によって進められてゆくことが決定的となった。
 番組の中では“五日市憲法草案”の話が一番印象的だった。偶然、昼に、段ボールの箱の中で池澤夏樹さんの『憲法なんて知らないよ』という文庫本が目に留まり読んでいたことも関係している。

 池澤さんの本は、英文で書かれた“日本国憲法”をふだんの言葉に書き直した新訳憲法である。付録で英文と和文の日本国憲法がついているので比較することができるので、興味深く前文から第103条まで全部読んだ。日本国憲法が制定されるまでのいきさつについては“まえがき”で述べているが、とてもわかりやすい。また、新訳「日本の憲法」のあとに“翻訳について”という一文もつけられいて、これもなかなかおもしろかった。解説のなだいなださんの話も味わい深かった。

 7月に入ってから、いろいろな人の憲法観を読む機会が増えて自分の中にくすぶり続けて来たモヤモヤ感を整理するのにとても参考になった。池澤さんの本のおかげで本当に久しぶりに憲法全文を読むことができた。
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