shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

白山 初秋の中宮道を歩く(その⑤ 北弥陀ヶ原~室堂)

2024-09-04 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は白山 初秋の中宮道を歩く(その④ ゴマ平避難小屋~北弥陀ヶ原)の続きです。
植物の名前は分かった時点で書き加えています。


(左が全体地図。続いて歩いた順の詳細地図。地図をクリックすると大きくなります。)
          

北弥陀ヶ原にはお花がたくさん咲いていた。腰を下ろした木道から手が届く範囲でも、3種のお花が観られた。
アオノツガザクラ(ツツジ科ツガザクラ属)。
 

ノギラン(キンコウカ科ノギラン属)。
 

ハクサンフウロ(フウロソウ科フウロソウ属)。


さらに数メートル範囲を広げると、花の種類はもっと増える。
アザミの仲間。


花が終わったヨツバシオガマ(ハマウツボ科シオガマギク属)。


別のノギラン。その先に花が終わったコバイケイソウ(シュロソウ科シュロソウ属)。


オヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属)。


ヒトツバヨモギ(キク科ヨモギ属)。


シナノオトギリ(オトギリソウ科オトギリソウ属)。


朝に食べ残したクルミパンと、乾燥したアンズを時間をかけて食べた。
そして少し軽くなったザックを担いだ。

池塘のある風景。
 

ウラジロナナカマド(バラ科ナナカマド属)。
 

ミヤマアキノキリンソウ(キク科アキノキリンソウ属)。


ミヤマセンキュウ(セリ科ミヤマセンキュウ属)。
 

イブキゼリモドキ(セリ科シラネニンジン属)。
 

タテヤマアザミ(キク科アザミ属)。


北弥陀ヶ原を抜けるとお花松原までの間は、初めのうち谷間を歩いて行く。両側に多くの樹木や草花が観られた。


タカネナナカマド(バラ科ナナカマド属)
 

ハクサンシャクナゲ(ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属)
 

ゴマナ(キク科シオン属)。


オオヒョウタンボク(スイカズラ科スイカズラ属)。


オオバタケシマラン(ユリ科タケシマラン属)


オンタデ(タデ科オンタデ属)にも果実ができていた。
 

キヌガサソウ(シュロソウ科キヌガサソウ属)の果実のようだ。
 

道は谷筋を抜け、ハイマツの中を通って、そしてお花松原に向けての下りとなった。ガスが晴れて正面に剣ヶ峰が見えてきた。
 

下りの斜面でシラタマノキ(ツツジ科シラタマノキ属)がたくさん観られた。
 

坂を下りたところにはトリカブト(キンポウゲ科トリカブト属)の仲間が群生していた。
 

サンカヨウも群生していた。


どんどん写真を取りながら歩いた。
 

 

少し青空が見えてきたのでパノラマ写真を撮ってみた。剣ヶ峰や御前峰の上の方はずっと雲に隠れていて、待っても晴れることはなかった。


草が生えていない砂礫地があったので、ザックを椅子代わりにして腰を下ろした。地図を見るとこの辺りがお花松原の中心のように思えた。
 

お花松原は、数多ある白山のお花の名所の中でも一二を争う場所だ。ヒルバオ雪渓の雪が解けると、その跡にハクサンコザクラ、チングルマ、ミヤマキンバイ、ミヤマクロユリ、アオノツガザクラなどの大群落が観られる。
残念ながら今の時期は、ミヤマアキノキリンソウとセリ科の花、アザミの仲間、そして僅かばかりのハクサンフウロなどが観られるだけだった。
 

 

ミヤマアキノキリンソウ。


果実をつけたミヤマクロユリ(ユリ科バイモ属)。


綿毛のチングルマ。


ハクサンフウロ。


シナノオトギリ。


光を受けて赤く輝くチングルマ。


サンカヨウ。


大汝峰の肩に向かって登っていき、雪渓跡をトラバースする。この辺りは最後まで雪が残る場所だ。アオノツガザクラ、シナノオトギリ、ミヤマダイコンソウ、オンタデなどの花が観られた。
 

 

シナノオトギリ。


ミヤマダイコンソウ(バラ科ダイコンソウ属)。
 

ハクサンボウフウ(セリ科カワラボウフウ属)の花がここではまだ観られた。
 

 

高度を上げていくとイワギキョウ(キキョウ科ホタルブクロ属)が観られ出した。
 

振り返ってお花松原の方向を見た。


大汝峰の肩に向かって急斜面を登っていく。昨年この辺りまで下見に来たところだ。
トリカブトの仲間、アザミの仲間、セリ科の植物、ミヤマアキノキリンソウなどが咲き乱れていた。
 

この先で急に雨が降ってきた。急いでレインウエアを着用した。
急坂を登り終えるとイワツメグサ(ナデシコ科ハコベ属)が迎えてくれた。雨の中で写真を撮った。
 

雨は10分ほど降って止んだが、ガスが残っていた。
  

このガスの中では景色も見られないので、大汝峰(標高2684m)はパスして先へ進んだ。


御前峰(標高2702m)に行こうか迷ったが、やはりガスで何も見えないため止めることにした。時間的には余裕があったので、少し残念だった。
 

千蛇ヶ池もこの通りで、ガスが晴れる兆しはなかった。


室堂センターに14時55分に到着した。中宮温泉を出発して室堂に到着するまで、誰一人見かけなかった。静かな山行だった。
長い中宮道を無事に歩けたことに満足して、受付へ向かった。


白山 初秋の中宮道を歩く(その⑥ 下山 室堂~別当出合) に続く。
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白山 初秋の中宮道を歩く(その④ ゴマ平避難小屋~北弥陀ヶ原)

2024-09-03 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は白山 初秋の中宮道を歩く(その③ シナノキ平避難小屋~ゴマ平避難小屋)の続きです。
植物の名前は分かった時点で書き加えています。


(左が全体地図。続いて歩いた順の詳細地図。地図をクリックすると大きくなります。)
          

山行2日目(8月25日)の朝は4時頃に目が覚めた。どんなふうにして目覚めたかというと、寝返りを打とうとして左脚の太股がつって目が覚めた。
幸いその後の痛みがなかったので、明るくなるのを待ってゆっくり起き上がった。

朝食に石焼き釜で焼いたクルミパンを食べた。喉に少し痛みがあったため葛根湯と、太股の痙攣を防ぐため芍薬甘草湯を飲んだ。ビタミン剤も服用した。情けないことに、最近は山へ出かけるごとに持参する薬が増えている。単独行なのでやむを得ないと納得する。

出かける前に水を汲みにいった。顔もそこで洗った。今度はカメラを持参した。


付近に背丈が1mを越えるセリ科の花や、アザミの仲間が咲いていた。
 

小屋の中を掃除して、戸締まりを確認し、ドアをしっかり閉めて6時12分に小屋を出た。空は曇っていて風はなかった。
 

小屋を出てしばらく、等高線の混み具合通りの急登が続いた。写真を撮りながらゆっくり登った。
アザミが多く観られた。種名は分からない。総苞片が長いのでハクサンアザミではなさそうだった。


カニコウモリ(キク科コウモリソウ属)が観られた。先に観たオオカニコウモリとは葉の形が違う。


こちらはコミヤマカタバミ(カタバミ科カタバミ属)だ。白い花が咲くのは6~7月なので、今は葉が茂っているだけだった。


こちらはサラシナショウマ(キンポウゲ科サラシナショウマ属)だ。この後も何度か観られた。
 

ウメバチソウ(ニシキギ科ウメバチソウ属)が咲いていた。この花は初秋に咲き始める。これから数が増えていくだろう。
 

トリカブト(キンポウゲ科トリカブト属)の仲間も観られた。この花も秋の花だ。
 

ゴマナ(キク科シオン属)も咲いていた。やはり秋に観られる。白山では主に山地帯の花だ。


アキノキリンソウ(キク科アキノキリンソウ属)は広い範囲で咲いていた。


この小さな花はヤマムグラ(アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属)に似ているが、花期が違う。名前が分からなかった。
⇒山歩きさんからエゾノヨツバムグラではないかと示唆いただきました。調べたところそのように思われました。山歩きさんありがとうございました。
 

30分ほどかけて急登を登り終えた。するとアキノキリンソウに虫こぶが付いていた。この付近で観られたアキノキリンソウのうち、およそ3割に虫こぶが観られた。


前方の山に雲がかかってきていた。雨になりそうな気配がしたので、ザックにカバーを掛けた。朝露で濡れるのを防ぐため、レインパンツは小屋を出る前に履いてきた。後はレインジャケットを着ればオーケーだ。ジャケットはザックカバーに挟んでいつでも取り出せるようにしておいた。


道は傾斜が緩やかで歩きやすい。斜面に生えたダケカンバが傾いていて、積雪が多いことが分かる。
 

その後空が明るくなってきた。雨に打たれずに済んだ。正面に見える山は剣ヶ峰(2677m)のようだ。


ヤマハハコ(キク科ヤマハハコ属)がたくさん咲いていた。
 

綿毛になっているのは、ミヤマコウゾリナ(キク科コウゾリナ属)のように思えた。
 

オヤマリンドウもたくさん咲いていた。
 

このセリ科の花はミヤマセンキュウ(セリ科ミヤマセンキュウ属)のように思ったが、未だセリ科は自信がない。
⇒モウズイカさんからイブキゼリモドキだと教えていただきました。モウズイカさんありがとうございました。
 

目の前の山は巻いていく2077mのピークのようだ。稜線の西側に高い樹が見られるが、東側は笹原になっている。亜高山帯に入ったと言ってよさそうだ。


右(西)の方に仙人谷を挟んで火の御子峰(標高2004m)から続く峰が見えたきた。白山の中でもっとも荒々しいところだ。手前の樹はアオモリトドマツのように見えた。
 

刈り払いされている登山道の脇には陽が当たるので、様々な植物だ観られた。
シラタマノキ(ツツジ科シラタマノキ属)が実をつけていた。


オヤマリンドウがたくさん咲いていた。写真もたくさん撮ってしまった。
 

こちらはオンタデ(タデ科オンタデ属)の雌株。雄株の写真はここでは撮り忘れた。
 

ヨツバヒヨドリ(キク科ヒヨドリバナ属)。


ムシカリの赤い実。


草が伸びているが平坦な道が続いた。東側には幻想的な景色が広がっていた。
 

目の前に間名古の頭(標高2134m)が見えてきた。山頂は通らず西側を巻いていく。


この先三俣峠までの間に、たくさんの種類の花が咲いていた。
ヒトツバヨモギ(キク科ヨモギ属)は、晩夏から初秋に咲く。


このアザミの仲間は今が盛期のようだ。


シモツケソウ(バラ科シモツケソウ属)は盛夏の花だ。そろそろ花期が終わる。。


カライトソウ(バラ科バラ亜科ワレモコウ属)も盛夏の花だ。


イワショウブ(チシマゼキショウ科イワショウブ属)は晩夏に咲く花だ。これまで白山であまり観ていなかったので嬉しかった。
 

7時56分に三俣峠を通過した。室堂まで残り8kmだ。この様子なら時間に余裕が持てそうだった。


間名古の頭は巻いていくのでたいした登りはない。その先うぐいす平までが登りとなる。
 

途中でゴゼンタチバナ(ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属)がきれいな実をつけていた。


こちらはサラシナショウマとヒトツバヨモギ。


ゼンテイカ(別名ニッコウキスゲ、ススキノキ科キスゲ亜科ワスレグサ属)の果実のようだ。たくさん観られた。


オヤマリンドウとヤマハハコ。
 

巻き道は時々足場が悪いところがあった。


下ばかり気をつけていると、頭を打つ(実際にぶつけた)。


先ほどはオンタデの雌株をご覧いただいたが、こちらは雄株。


うぐいす平への登りはずっと草に被われていた。しかしそれほど苦にならなかった。
 

ハクサンフウロ(フウロソウ科フウロソウ属)の残花を観た。


途中この辺りがうぐいす平かと思うところでザックを下ろし休憩した。その後すぐにこの標柱が現れた。室堂まで6.3kmとなった。


うぐいす平で休憩したので、次の休憩は北弥陀ヶ原になる。
さて、クイズのようで恐縮だが、この赤い実は何だろう?


次の2つの写真をご覧になると、お分かりの方も多いのではないだろうか。
 

オオバタケシマラン(ユリ科タケシマラン属)のように思ったが、実のところ写真でしか見ていないので自信はない。葉が茎を抱くのが特徴だ。
白山に自生しているのは確かだが、まだ花を観ていない。今度はぜひ花を観たいものだ。

続いてはマイヅルソウの果実で、ここでもまだ赤くなっていなかった。


地獄覗は間近に荒々しい火の御子峰が観られる場所だが、ガスで何も見えなかった。うぐいす平から100m進んだので、室堂まで6.2kmになっていた。


このイチゴはノウゴウイチゴ(バラ科オランダイチゴ属)かもしれない。


ずっと陽当りのよい斜面で、お花畑の跡が続いていた。


葉縁に黒点があるので、シナノオトギリ(オトギリソウ科オトギリソウ属)のようだった。


花が頭頂にまとめてついているので、ミヤマアキノキリンソウ(キク科アキノキリンソウ属)と言えそうだ。
 

アザミの仲間。


目の前の稜線にガスがかかり始めた。今度こそ雨になるかもしれない。


ハクサンフウロの残花。


クロマメノキ(ツツジ科スノキ属)の果実。葉も色付き始めていた。


シラタマノキの果実。


アカモノ(ツツジ科シラタマノキ属)の果実。
 

ミヤマダイモンジソウ(ユキノシタ科ユキノシタ属)。


この辺りでは他に、ヤマハハコ、ミヤマセンキュウ?、ミヤマキンポウゲ、ヒトツバヨモギの花がたくさん観られた。また花が終わったノギラン、コバイケイソウなどの群落も観られた。
花の最盛期に来たら、さぞかし素晴しいお花畑が観られることだろう。7月にぜひとも歩いてみたいと思った。
 

 

そろそろ弥陀ヶ原にさしかかる所で、サンカヨウ(メギ科サンカヨウ属)の果実が観られた。


ウラジロナナカマド(バラ科ナナカマド属)が赤い実をたくさんつけていた。


10時35分に北弥陀ヶ原に到着した。誰もいないので木道の上にザックを下ろした。ここまで雨に打たれずに来られてラッキーだった。
 

白山 初秋の中宮道を歩く(その⑤ 北弥陀ヶ原~室堂) に続く。
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白山 初秋の中宮道を歩く(その③ シナノキ平避難小屋~ゴマ平避難小屋)

2024-09-01 08:34:10 | 山行・旅行
この記事は白山 初秋の中宮道を歩く(その② 中宮温泉~シナノキ平避難小屋)の続きです。
植物の名前は分かった時点で書き加えています。


(左が全体地図。続いて歩いた順の詳細地図。地図をクリックすると大きくなります。)
          

食事を終え、シナノキ平避難小屋を11時32分に出発した。予報では15時30分ごろから雨になるようだった。それまでにゴマ平避難小屋に着きたいと思った。
シナノキ平避難小屋は今日の行程の中間にある。残りは半分だ。計画ではこの後3時間で着くつもりだった。

小屋を出るとすぐにハクサンカメバヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)が群生していた。
 

アキノキリンソウ(キク科アキノキリンソウ属)はこれまでも観てきたが、写真を撮っていなかった。この辺りでは、ミヤマアキノキリンソウの特徴である花が頂部に固まってつくものは観られなかった。


ムシカリ(ガマズミ科ガマズミ属)にたくさんの赤い実が生っていた。さらに熟すと黒くなり、そうすると鳥が食べに来るようだ。この時期あまり鳥の気配がなかったが、時々藪の中から何かの鳥の地鳴きが聞こえていた。


こちらはサラシナショウマ(キンポウゲ科サラシナショウマ属)。白山では夏から初秋にかけてよく見られる。
 

所々で草が道を被っているところもあったが、長く続かなかった。


こちらもハクサンカメバヒキオコシだ。カメバヒキオコシの変種で北陸に分布する。カメバヒキオコシ同様葉先が3裂するが、中央の裂片が太く鋸歯がある。
なおカメバヒキオコシは「亀葉引起」で、亀葉は葉の形から来ている。引起は倒れた人をも引き起こすほどの、強い薬効があるという意味である。
 

所々で大きな樹に出会った。積雪が多く風も強い中よく育ったものだ。


マイヅルソウ(キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属)がウズラ色の果実を付けていた。この果実は熟すと赤くなる。


壊れた道標があった。「MT.TAKIGATAKE」と読めた。地理院地図に滝ヶ岳の名前はないが、1774.3mのピークがそれらしい。ここからゴマ平避難小屋まで2.8kmだ。


ムシカリの葉が紅葉し始めていた。


ナナカマドはまだ紅葉していなかった。


ヤマハハコ(キク科ヤマハハコ属)が現れた。この先でたくさん観られた。
低地で観られるハハコグサ(キク科ハハコグサ属)は春に黄色い花を咲かせる越年草だが、ヤマハハコは夏の終わり頃に白い花をつける多年草で、属も異なる。


こちらは近くに咲いていたアキノキリンソウ。


アオモリトドマツが観られるようになってきた。風雪が強い白山でアオモリトドマツは高く育たないことが多いが、この樹は高く育っていた。


こちらは再びノリウツギ。そしてムシカリとのツーショット。
 

倒木の下をくぐって進むところもあった。


似たような写真をたくさん撮ってしまった。手前は平地で真っ直ぐに育ったダケカンバ。
この頃から空に黒い雲が現れた。遠くで雷鳴も聞こえてきた。雨はまだ降っていないが、ザックにレインカバーをつけ、雨具をすぐに出せるようにした。5分も経たぬうちにやはり雨が降ってきた。樹下で雨具をつけしばらく待ったが、止む様子がなかったので雨中を歩いた。
 

しかし雨は10分ほど降って止んだ。暑いので雨具を脱いで歩いた。樹々も草花も濡れていて、靴も濡れてしまった。
ヨツバヒヨドリ(キク科ヒヨドリバナ属)が現れた。この花によくアサギマダラが集まるが、今回の山行でアサギマダラは見なかった。


続いてオヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属)が現れた。オヤマリンドウはこの先でたくさん観られた。
 

ゴゼンタチバナ(ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属)が赤い実をつけていた。手前にはマイヅルソウが見えていた。


大きなキク科の花はマルバダケブキ(キク科メタカラコウ属)の残花のようだ。夏の終わりに稜線でたくさん観られるこの花も、そろそろ終わりだ。
 

15時45分にゴマ平避難小屋に着いた。雨宿りをしていたりしたので、計画より15分遅れた。


小屋に人はいなかった。マットを敷いて場所を確保した後、水場へ向かった。カメラを持たずに出かけたので写真はない。
はたして水は取れるのだろうか。100mほど下ると水が流れる音が聞こえていた。水はとうとうと流れていた。しかも冷たい。カップにすくって飲み、その後2Lの容器いっぱいに汲んで小屋に戻った。

夕食はアルファ米とレトルトのカレーでカレーライスを作った。それとカレーヌードルで、この日はカレーづくしだった。疲れているときに、カレーは食欲を沸き立ててくれる。

雨がまた降ってきたが、しばらくで止んだ。濡れていた衣服を小屋いっぱいを使って干した。幸いこの夜は小屋を独占できそうだった。
18時40分頃に窓から夕焼けが見えた。出発する前に聞いた予報では、明日の降水確率が90%となっていたが、この分だと晴れるかもしれない。そんなことを考えながら眠りについた。

白山 初秋の中宮道を歩く(その④ ゴマ平避難小屋~北弥陀ヶ原) に続く。
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白山 初秋の中宮道を歩く(その② 中宮温泉~シナノキ平避難小屋)

2024-08-31 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は白山 初秋の中宮道を歩く(その① プロローグ)の続きです。
植物の名前は分かった時点で書き加えています。


登山の様子をご覧いただく前に、コースの地図とYAMAPのスタッツをご覧いただきたい。
今回の白山行で歩いた距離は23.7km(登山地図では26km)、累計標高差は登りが2672m、下りが2089m、時間は21時間40分で、それを3日間かけて歩いた。
このルートを歩くことについて、昨年から実行計画を持っていた。一方で距離が長いので、足に不安がある自分としては歩き通せる自信が持てなかった。しかし先月表大雪をソロテント泊で4日間歩いたことでその不安が幾分解消し、実行することにした。
(左が全体地図。続いて歩いた順の詳細地図。地図をクリックすると大きくなります。)
          

初日(8月24日)は、中宮温泉から中宮道の中間地点にあるゴマ平避難小屋までを歩いた。
距離は9.2km(登山地図では10km)、累計標高差は登りが1548m、下りが363m、時間は9時間42分(うち休憩が52分)だった。途中にもう一つ避難小屋がある。それがシナノキ平避難小屋だ。今回の「その②」では、中宮温泉を出発してからシナノキ平避難小屋に着くまでを扱う。

さて、にしやま旅館を出て、目の前を流れる湯ノ谷沿いに少し下り橋を渡ったら、すぐに中宮道の登山口に着いた。標高が660mほどの所だ。
 

ここから今度は湯ノ谷沿いに登っていくと、やがて小さな橋を渡り山道に入っていく。標高が750mほどになっていた。


橋を渡る前にいくつか花が咲いていた。
こちらはクサボタン(キンポウゲ科センニンソウ属)のようだった。


こちらはお馴染みのハギ(マメ科ハギ属)の仲間だが、詳細は分からない。


こちらもお馴染みのクズ(マメ科クズ属)の仲間で、所々で登山道に覆い被さってきていて、歩くのを妨げていた。


橋を渡った後には、キンミズヒキ(バラ科キンミズヒキ属)やホツツジ(ツツジ科ホツツジ属)のような花がたくさん観られた。
 

湯ノ谷に設けられた砂防堰堤と対岸の道が見えていた。傾斜が急なことがお分かりいただけると思う。


名前が分からないが、登山道脇に大きな樹木がたくさん観られた。
 

30分ほど急坂を登ると、少し傾斜が緩やかなところに出た。定期的に道の刈払いが行われているものの、夏草の茂る速度は速く、あまり歩かれていないこの道ではご覧の通りの、腰から胸の高さまで蔓草が被っているところが続いた。恐らく写真では道だと思われないだろう。踏み跡はあるものの、実際目で見ただけではどこが道なのか分からない。
相田みつをの書に「歩くから道になる 歩かなければ草が生える」とあるのを思いだし苦笑した。
 

そんな藪の中でも、いくつか花が観られた。左はオトギリソウ(オトギリソウ科オトギリソウ属)、右はオトコエシ(オミナエシ科オミナエシ属)のように見えた。ズダヤクシュ(ユキノシタ科ズダヤクシュ属)も観られた。
 

草藪の中で特にやっかいなのが、ママコノシリヌグイ(タデ科イヌタデ属)のような棘のある植物だ。ストックを持っている右手はまだマシだが、左腕が傷だらけになった。
 

藪の中でミズヒキ(タデ科イヌタデ属)がよく目立っていた。こんな花を見つけると嬉しくなる。ハギも嬉しいが顔の高さまで繁茂して道を防いでいるのでやっかいだった。
 

正直なところ、まだ歩き出したばかりでこんな藪と格闘していたら、この先どうなるのだろうと不安になった。ストックの代わりに刈り払い鎌が欲しかった。暑さも応えた。宿を出たときはまだ涼しかったが、時折差す夏の陽射しが厳しくシャツは汗で濡れていた。何しろまだ標高が900mほどしかない。
唯一の慰みが、藪の中で小さな花や果実を見つけることだった。この白い花はゲンノショウコ(フウロソウ科フウロソウ属)のように見えた。
 

イチゴの種類は分からない。クマが通っていたら食べただろうから、ここは通っていないのだろうと思った。そうそうこの辺りはクマの生息地なので、普段付けない熊鈴をザックに一つと、ストックの柄にも付けていた。
 

1時間ほど藪と格闘した後、傾斜が急になって、ようやく藪地獄を抜け出せた。
 

登山道で大きなマイタケを見つけた。8kgほどあると思った。これもクマが見つけていたら食べただろうと思った。


8時17分に清浄坂と記された標柱(標高948m)にたどり着いた。何と計画より1時間遅れだった。このペースだとゴマ平避難小屋に着くのが夜になってしまう。ペースを上げた。
写真にある「次三角点」だが、明治時代に国が国有林の確認と森林施業のために設置した三角点だとのこと。北アルプスや東北、新潟などに現存しているらしいが、初めて見たように思う。
 

登山道は先ほどの藪がウソのように歩きやすくなっていた。花が咲いている植物がけっこう見られ、写真を撮るために歩みを止めるのがほどよい休憩になった。
たくさん観られたこの花だが、ノリウツギ(アジサイ科アジサイ属)かと思ったが自信がない。


所々でイタドリ(タデ科ソバカズラ属)が群生していた。


ホツツジの仲間の群生もたくさん観られた。


前方にこれから向かう山が見えてきた。ただし今日の宿泊地はこの山のまだ向こうのはずだ。アップダウンはあるものの、概ね歩きやすい道が続いたので、この区間では時間短縮が図れた。
 

ブナに混じって針葉樹の大木もかなり観られた。
 

このたくさん観られた花は、カニコウモリ(キク科コウモリソウ属)の仲間で、オオカニコウモリのように思えた。なお白山にはハクサンカニコウモリというオオバコウモリとオオカニコウモリの雑種もある。


こちらはオオアキギリ(シソ科アキギリ属)のように思えた。


再び道が膝上まで草に被われるところもあり、慎重に歩かざるを得なかった。また小さな沢を越えるところもあったが、水は流れていなかった。


こちらはヤマホタルブクロ(キキョウ科ホタルブクロ属)の残花のように思えた。


こちらはハクサンカメバヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)だ。この後何度も見かけた。
 

こちらはソバナ(キキョウ科ツリガネニンジン属)のように思えた。


そしてこちらはジャコウソウ(シソ科ジャコウソウ属)のように思えたが、白山でこの花を観るのは初めてだった。


9時34分にとちのき坂の標識を通過した。


そしてそこから40分ほど歩いたところで、透明な水が流れている細流に出会った。今夜の分まで水を持っていたので、流れている水をコップですくって2杯飲むだけにした。それほど冷たくなかったが、持っていた水よりは冷たくて美味しかった。水場はこの後ゴマ平避難小屋に着くまでなかった。
 

さらに歩いて行ってこの花を見つけた。ギンリョウソウモドキ(ツツジ科シャクジョウソウ属)だと思う。白山でこの花に出会うのも初めてだった。


標高が1400mを越える辺りから、ブナに混じってダケカンバ(写真:中央奥)も見られるようになってきた。


またゴヨウマツやヒノキの仲間のクロベらしい巨木も見られるようになってきた。樹木のいくつかが倒れて登山道を塞いでいた。
 

こちらはムシカリ(スイカズラ科ガマズミ属)の果実と、ノリウツギの花のように思うが、自信はない。
 

イノシシの落とし物のように思えた。最近は標高1700m付近までイノシシが来ているようだ。


トモエシオガマ(ハマウツボ科シオガマギク)に出会った。白山では鳩ヶ湯新道の三ノ峰付近で観て以来のように思う。


11時4分にシナノキ平避難小屋に到着した。計画より26分早く着いた。計画作成の段階で、時間を間違えたのだろう。1時間遅れていたのを、こんなに挽回できるわけがない。小屋の前に1本の大樹が立っていた。この樹がシナノキなのかは分からなかった。
 

小屋に入って昼食を食べた。メニューはレーズンやクランベリーなどが入った石窯で焼いたパンと、カフェオレである。準備を含めて昼食に30分ほどをかけたが、食後すぐに動いたのでしばらく胃が痛かった。
 

白山 初秋の中宮道を歩く(その③ シナノキ平避難小屋~ゴマ平避難小屋)に続く。
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白山 初秋の中宮道を歩く(その① プロローグ)

2024-08-29 05:30:00 | 山行・旅行
中学2年の時に最初に登って以来、今回が20回目の白山登山となった。
今回は二つの目的を持って入山した。一つは中宮道を歩くこと。もう一つは初秋の草花を観ることだ。山頂を目指す登山ではない。しかし余力があれば御前峰か大汝峰のどちらかを登ろうとも思っていた。

中宮道は白山山頂に至る登山道の中でもっとも距離が長く、中宮温泉から室堂までの距離は20kmある。途中に水場が少ないこともあり、真夏を避けて秋に歩くのが良いと言われている。途中に2つの避難小屋がある。そのうちゴマ平避難小屋は中間地点にあるので、そこに泊まる計画とした。

草花は、『白山花紀行』が7~8月に白山の登山道で観られる花をまとめているので、ぎりぎりの8月下旬に出かけることとした。中宮道の中でも北弥陀ヶ原やお花松原は花の名所として知られていて、そこで咲いている草花が楽しみだった。

今回は東京(羽田)から小松まで空路を使った。空路の場合いつも機窓から見る山々が楽しみだが、今回はずっと雲が多く、その中で富士山だけが頭を出してくれていた。


小松空港が近づき高度を下げていくと、雲間から懐かしい街並みが見えてきた。母の生誕地でもある白山市鶴来の街並みだ。母の生家もこの街のどこかに見えるのかもしれない。
右に蛇行して流れているのが手取川で、中央を真っ直ぐ流れるのは七ヶ用水(しちかようすい)だ。手前にグラウンドが見えるのは鶴来高校で、その上に白山郷公園や武道場が見える。白山比咩神社は、左のこんもりとした丘(舟岡山)の向こうにあり見えていない。
余談になるが、白山比咩神社はかつて舟岡山にあった。鶴来の街中から白山を望むことはできず、舟岡山から白山を遙拝していたとされる。また現在の白山比咩神社の境内には奥宮遙拝所があるが、そこからも白山は見えず、大汝峰、御前峰、別山の白山三山の形をした大岩が祀られている。


この日は中宮道の起点となる中宮温泉の、にしやま旅館に泊まった。夕食にイワナの塩焼き、ゼンマイの煮付け、山菜の天ぷらなどが供され、いずれも美味であった。地酒の菊姫の純米冷酒も絶品で、登山前だというのに少し飲み過ぎてしまった。

源泉掛け流しのお湯はほどよい温度で、しかも柔らかく、長く浸かっていても湯疲れすることはなかった。なるほど胃腸に良いと言われるのも納得できた。
中宮温泉は一説には1300年の歴史があると言われている。詳しくは『白山の自然誌 白山の秘湯・中宮温泉の歴史』に詳しいので、リンクをご覧いただきたい。現在はにしやま旅館を初め3軒が営業している。


にしやま旅館の会長から登山道のこと等を教わって、翌朝6時に宿を出発した。

白山 初秋の中宮道を歩く(その② 中宮温泉~シナノキ平避難小屋) に続く。
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ウリ科三種(ヘチマ、ゴーヤー、トウガン)

2024-08-22 05:30:10 | みんなの花図鑑
夏の強い陽射しを避けるグリーンカーテンを兼ねて、ヘチマを植えている。今年は苗が次々にダンゴムシに食べられて、育つのがずいぶん遅れた。例年なら大きな果実がいくつもぶら下がっている時期だが、ようやく雌花がでてきて、果実もいくつか見られるようになってきた。


ヘチマ(糸瓜、天糸瓜、 Luffa aegyptiaca)は、インド原産のウリ科の一年草で、雌雄同株で、雌雄異花である。生育の初期は雄花ばかりが咲いて、その後雄花と雌花がでてくる。自家受粉が可能で、人が受粉を手伝わずとも虫が花粉を運んでくれるので、よく結実する。
(ヘチマの雌花)


(結実した雌花)


(クロウリハムシ)この虫はヘチマの花や葉を食べる害虫のようだが、受粉も手伝ってくれているのかもしれない。我が家では特に駆除していない。


(2022年のヘチマの様子)


(ヘチマの蔓とヒゲ)
 

近くの小学校では4年生がゴーヤーを育てている。ゴーヤーは野菜の名前で、植物としての標準和名はツルレイシという。
ツルレイシ(蔓茘枝、Momordica charantia var. pavel)は、ウリ科の一年草で、原産地は、インドやボルネオなどの熱帯アジアである。


花の径はヘチマが8cmほどあるのに対し、ゴーヤーは3cmほどしかない。しかし形はとてもよく似ている。


もう一つ小学校で育っている野菜にトウガンがある。実は夏に収穫されるが、冬まで貯蔵することができるため冬瓜とよばれる。
トウガン(冬瓜、Benincasa pruriens f. hispida)も、ウリ科の一年草で、原産地はインドや東南アジアである。
残念ながら花の写真は撮り損ねたが、ヘチマに似た大きな花だった。今はヘチマより大きな果実が生っている(重さを量ったら4kgもあった)。


きれいな花が咲く植物はもちろん素敵だが、実が生る植物にはまた違った楽しみがある。

撮影:2024/08/14~20
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植物クロスワード(50)『季語』の答え

2024-08-12 05:30:00 | クロスワードパズル


タテのカギ
1 夏に生い茂る草。夏の季語。芭蕉が奥州平泉で詠んだ句に、『――や兵どもが夢の跡』がある。
2 田畑に出てする仕事。
3 草などが生えた、平らで広い土地。
4 食用とする海藻類。初春の季語。蕪村の句に、『――汁の手ぎわ見せけり浅黄椀』がある。
5 群れを成して川を遡るアユ。晩春の季語。蕪村の句に、『――や谷の小笹も一葉行く』がある。
6 野生の動物が通ることによって自然にできる山中の道。
8 6月ころの長雨の時節。仲夏の季語。正岡子規の句に、『――晴れや蜩鳴くと書く日記』がある。
9 40歳。
10 まさに過ぎ去ろうとする春。晩春の季語。芭蕉のぼう句に、『――や鳥啼うおの目は泪』がある。
12 六花。晩冬の季語。芭蕉の句に、『とうとさや――降らぬ日も蓑と笠』がある。
15 乗り物を使わないで歩くこと。
17 アウトの反対語。
20 年が明けてはじめて風呂に入ること。新年の季語。
21 競馬・競輪などで、当たった場合の配当を賭け金に対する倍率で表したもの。
22 スズキ目――科の海水魚。全長約2メートルに達する。夏の季語。
23 東京とサマータイム中のパリでは7時間。
25 牛肉の肩甲骨の裏あたりに位置した「ウデ肉」にあたる部位。焼肉店などでは「特上カルビ」などの名称で使われることもある。
28 ――言語、――認知、――メッセージ。
29 カエルの別称。春の季語。芭蕉の有名な句に、『古池や――飛び込む水の音』がある。
31 カラスの集まり。
32 甲虫目――科の昆虫。季語の「鼓虫、まいまい」はこれのことで、夏の季語。
34 ――列島はかつて日本の領土だったので、その名がつく和名の植物は多い。
36 晩秋の季語。『山暮れて――の朱(あけ)を奪いけり』は、蕪村の句。
38 誕生日が7月24日から8月23日までの人の星座。右下に、三つ並んで見える星を「酒星」と言い、仲春の季語となっている。 
42 もともとは山口県の発祥だが、愛媛県で盛んに栽培されるようになったのでこの名が付いた。蜜柑は冬の季語で、夏蜜柑は夏の季語。
44 子供のくせにおとなびていること。
45 沸いた鉄瓶の湯に徳利をつけるというのが定番。冬の季語。
46 男子の体操競技種目の一種。パリ五輪でのこの種目の種目別金メダルは、中国の劉洋が取得。
47 漢字では瓜。瓜の花は初夏の季語。西瓜(すいか)は初秋の季語。南瓜(かぼちゃ)は仲秋の季語。冬瓜(とうがん)は初秋の季語。糸瓜(へちま)は秋の季語。
51 夏の季語。『――や昨日の誠今日の嘘』は正岡子規の句。――に例えて人の心の移ろいやすさを詠んでいる。
53 坂本――は幕末の土佐藩士。慶応3年11月15日に京都河原町通蛸薬師下ルの近江屋において暗殺された。
56 日本では多くが冬鳥。――鍋、じぶ煮などとして食べられてきた。冬の季語。芭蕉の句に、『海暮れて――の声ほのかに白し』がある。
57  軒先などから滴り落ちる雨水。室生犀星の句に、『鮓の石――の穴あきにけり』があるが、季語は「酢(すし)」で酢は夏の季語。
59 現在の世。
61 手術的な方法によって病気やけがなどを治療する医学の分野。
62 パリ五輪の予選リーグで男子サッカーチームは――の3連勝だったが、決勝トーナメントでスペインに完敗した。
63 関西でははまちと言う。夏の季語。
65 商業――、学園――、――伝説、――対抗野球。
66 「鳴く昆虫」の一つ。晩秋の季語。芭蕉の句に、『やがて死ぬけしきは見えず――の声』がある。
67 国家や社会を構成する人々。

ヨコのカギ
1 晩春の季語。『――や月は東に日は西に』は、蕪村が六甲山地の摩耶山(まやさん)を訪れたときの句。
4 台風のこと。秋の季語。蕪村の句に、『鳥羽殿へ五六騎急ぐ――かな』がある。
7 二十四節気で、立冬から大雪の前日までのこと。冬の季語。夏目漱石の句に、『――や竹伐る山の鉈(なた)の音』がある。
11 漢字で氷柱と書く。晩冬の季語。高浜虚子の句に、『世の中を遊びごゝろや――折る』がある。
12 別名を都鳥と言う。都鳥は冬の季語。
13 金沢の奥座敷として知られる――温泉は、竹久夢二ゆかりの温泉地としても知られている。
14 三十六。
15 晩秋の季語。『――くえば鐘が鳴るなり法隆寺』は、正岡子規の句。
16 2013年から2019年までアイドルグループ・ゆるめるモ!に在籍。「ちゅ、多様性。」で日本レコード大賞2023特別賞を受賞した歌手。
18 七十二。
19 「塩3:糀5:蒸し米8」の配合をそのまま名前にした、こうじ漬けの漬け床。
21 広島県福山市にある沼名前神社で行われる、矢を放って一年の悪鬼を祓い、民の無病息災を祈る年頭行事。初春の季語。
24 凹の反対語。
25 2020年の「今年の漢字」第1位。
26 社会や組織などの中での、その人の置かれている位置。
27 別名ふか、わに。冬の季語。
30 夏の夕方屋外や縁側などに出て涼むこと。晩夏の季語。芭蕉の句に、『あつみ山や吹浦かけて――』がある。
33 北朝鮮により横田めぐみさんが――されてから、47年が経過している。
35 竹や針金の枠に袋状の網を張り、柄をつけ、魚をすくうのに使う小形の網。
37 日本には、オオ――、イヌ――、オジロ――の3種類が生息している。冬の季語。
39 東京で正午なら、サマータイム中のパリでは午前――。
40 ――工作は、小学校の教科の一つ。
41 ――の実は晩秋の季語。正岡子規の句に、『――の実を拾ひに来るや隣りの子』がある。
43 日本の童話『安寿と――』で、――は安寿の弟にあたる。
45 昨日の明日は今日。では今日の明日は?
46 「家内は所用で出かけています。」
48 第二次大戦後に米軍基地が置かれた神奈川県中北部の市。
49 夏季に行われる神社の祭り。祭だけで夏の季語。
50 冬の渡り鳥、ガンの別名。晩秋の季語。芭蕉の句に、『雲とへだつ友かや――のいきわかれ』がある。
52 水辺や湿地に生える春の七草の一つ。春の季語。芭蕉の句に、『我がためか鶴はみのこす――の飯』がある。
54 ――の実は晩秋の季語。村上鬼城の句に、『――の実の落ちて駆け寄る鶏三羽』がある。
55 輪かんじきを略した言葉。かんじきは冬の季語。一茶の句に、『かじき佩いて出でても用はなかりけり』がある。
58 かつらなどでなく、本来生えている髪の毛。
60 未来の物事を予測して言うこと。
63 4LDKのL。
64 自由律俳句の俳人。種田――の代表作に、「うしろすがたのしぐれてゆくか」「分け入つても分け入つても青い山」等がある。
66 伝染病の一つ。下痢、高熱などの症状を呈す。晩夏の季語。日野草城の句に、『おもかげのなおうるわしき――かな』がある。
67 急な傾斜地に、階段状に作った田。
68 伊勢神宮や鳥羽水族館がある観光地。
69 地面や岩の間などからわき出る、きれいに澄んだ水。夏の季語。芭蕉の句に、『城跡や古井の――まず問わん』がある。
70 仲夏の季語。芭蕉の句に、『――を集めて早し最上川』が、蕪村の句に、『――や大河を前に家二軒』がある。

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植物クロスワード(50)『季語』

2024-08-10 05:30:00 | クロスワードパズル
shuの花日記の『植物クロスワード』が、お陰さまで今回50回目となりました。これまで支えてくださった皆さまにお礼申し上げます。
shuの花日記では、花や山を初めとする季節の花鳥風月をテーマに、記事をお届けしています。
季節というと、俳句には季節を表す『季語』があります。季語の数は、全部で一万八千にものぼるそうです。
今月はそんな『季語』をクロスに散りばめてみました。季節を思いながら、お楽しみ下さいませ。解答は8月12日にアップします。
(俳句の旧仮名づかいは、現代仮名づかいにあらためています。)


タテのカギ
1 夏に生い茂る草。夏の季語。芭蕉が奥州平泉で詠んだ句に、『――や兵どもが夢の跡』がある。
2 田畑に出てする仕事。
3 草などが生えた、平らで広い土地。
4 食用とする海藻類。初春の季語。蕪村の句に、『――汁の手ぎわ見せけり浅黄椀』がある。
5 群れを成して川を遡るアユ。晩春の季語。蕪村の句に、『――や谷の小笹も一葉行く』がある。
6 野生の動物が通ることによって自然にできる山中の道。
8 6月ころの長雨の時節。仲夏の季語。正岡子規の句に、『――晴れや蜩鳴くと書く日記』がある。
9 40歳。
10 まさに過ぎ去ろうとする春。晩春の季語。芭蕉のぼう句に、『――や鳥啼うおの目は泪』がある。
12 六花。晩冬の季語。芭蕉の句に、『とうとさや――降らぬ日も蓑と笠』がある。
15 乗り物を使わないで歩くこと。
17 アウトの反対語。
20 年が明けてはじめて風呂に入ること。新年の季語。
21 競馬・競輪などで、当たった場合の配当を賭け金に対する倍率で表したもの。
22 スズキ目――科の海水魚。全長約2メートルに達する。夏の季語。
23 東京とサマータイム中のパリでは7時間。
25 牛肉の肩甲骨の裏あたりに位置した「ウデ肉」にあたる部位。焼肉店などでは「特上カルビ」などの名称で使われることもある。
28 ――言語、――認知、――メッセージ。
29 カエルの別称。春の季語。芭蕉の有名な句に、『古池や――飛び込む水の音』がある。
31 カラスの集まり。
32 甲虫目――科の昆虫。季語の「鼓虫、まいまい」はこれのことで、夏の季語。
34 ――列島はかつて日本の領土だったので、その名がつく和名の植物は多い。
36 晩秋の季語。『山暮れて――の朱(あけ)を奪いけり』は、蕪村の句。
38 誕生日が7月24日から8月23日までの人の星座。右下に、三つ並んで見える星を「酒星」と言い、仲春の季語となっている。 
42 もともとは山口県の発祥だが、愛媛県で盛んに栽培されるようになったのでこの名が付いた。蜜柑は冬の季語で、夏蜜柑は夏の季語。
44 子供のくせにおとなびていること。
45 沸いた鉄瓶の湯に徳利をつけるというのが定番。冬の季語。
46 男子の体操競技種目の一種。パリ五輪でのこの種目の種目別金メダルは、中国の劉洋が取得。
47 漢字では瓜。瓜の花は初夏の季語。西瓜(すいか)は初秋の季語。南瓜(かぼちゃ)は仲秋の季語。冬瓜(とうがん)は初秋の季語。糸瓜(へちま)は秋の季語。
51 夏の季語。『――や昨日の誠今日の嘘』は正岡子規の句。――に例えて人の心の移ろいやすさを詠んでいる。
53 坂本――は幕末の土佐藩士。慶応3年11月15日に京都河原町通蛸薬師下ルの近江屋において暗殺された。
56 日本では多くが冬鳥。――鍋、じぶ煮などとして食べられてきた。冬の季語。芭蕉の句に、『海暮れて――の声ほのかに白し』がある。
57  軒先などから滴り落ちる雨水。室生犀星の句に、『鮓の石――の穴あきにけり』があるが、季語は「酢(すし)」で酢は夏の季語。
59 現在の世。
61 手術的な方法によって病気やけがなどを治療する医学の分野。
62 パリ五輪の予選リーグで男子サッカーチームは――の3連勝だったが、決勝トーナメントでスペインに完敗した。
63 関西でははまちと言う。夏の季語。
65 商業――、学園――、――伝説、――対抗野球。
66 「鳴く昆虫」の一つ。晩秋の季語。芭蕉の句に、『やがて死ぬけしきは見えず――の声』がある。
67 国家や社会を構成する人々。

ヨコのカギ
1 晩春の季語。『――や月は東に日は西に』は、蕪村が六甲山地の摩耶山(まやさん)を訪れたときの句。
4 台風のこと。秋の季語。蕪村の句に、『鳥羽殿へ五六騎急ぐ――かな』がある。
7 二十四節気で、立冬から大雪の前日までのこと。冬の季語。夏目漱石の句に、『――や竹伐る山の鉈(なた)の音』がある。
11 漢字で氷柱と書く。晩冬の季語。高浜虚子の句に、『世の中を遊びごゝろや――折る』がある。
12 別名を都鳥と言う。都鳥は冬の季語。
13 金沢の奥座敷として知られる――温泉は、竹久夢二ゆかりの温泉地としても知られている。
14 三十六。
15 晩秋の季語。『――くえば鐘が鳴るなり法隆寺』は、正岡子規の句。
16 2013年から2019年までアイドルグループ・ゆるめるモ!に在籍。「ちゅ、多様性。」で日本レコード大賞2023特別賞を受賞した歌手。
18 七十二。
19 「塩3:糀5:蒸し米8」の配合をそのまま名前にした、こうじ漬けの漬け床。
21 広島県福山市にある沼名前神社で行われる、矢を放って一年の悪鬼を祓い、民の無病息災を祈る年頭行事。初春の季語。
24 凹の反対語。
25 2020年の「今年の漢字」第1位。
26 社会や組織などの中での、その人の置かれている位置。
27 別名ふか、わに。冬の季語。
30 夏の夕方屋外や縁側などに出て涼むこと。晩夏の季語。芭蕉の句に、『あつみ山や吹浦かけて――』がある。
33 北朝鮮により横田めぐみさんが――されてから、47年が経過している。
35 竹や針金の枠に袋状の網を張り、柄をつけ、魚をすくうのに使う小形の網。
37 日本には、オオ――、イヌ――、オジロ――の3種類が生息している。冬の季語。
39 東京で正午なら、サマータイム中のパリでは午前――。
40 ――工作は、小学校の教科の一つ。
41 ――の実は晩秋の季語。正岡子規の句に、『――の実を拾ひに来るや隣りの子』がある。
43 日本の童話『安寿と――』で、――は安寿の弟にあたる。
45 昨日の明日は今日。では今日の明日は?
46 「家内は所用で出かけています。」
48 第二次大戦後に米軍基地が置かれた神奈川県中北部の市。
49 夏季に行われる神社の祭り。祭だけで夏の季語。
50 冬の渡り鳥、ガンの別名。晩秋の季語。芭蕉の句に、『雲とへだつ友かや――のいきわかれ』がある。
52 水辺や湿地に生える春の七草の一つ。春の季語。芭蕉の句に、『我がためか鶴はみのこす――の飯』がある。
54 ――の実は晩秋の季語。村上鬼城の句に、『――の実の落ちて駆け寄る鶏三羽』がある。
55 輪かんじきを略した言葉。かんじきは冬の季語。一茶の句に、『かじき佩いて出でても用はなかりけり』がある。
58 かつらなどでなく、本来生えている髪の毛。
60 未来の物事を予測して言うこと。
63 4LDKのL。
64 自由律俳句の俳人。種田――の代表作に、「うしろすがたのしぐれてゆくか」「分け入つても分け入つても青い山」等がある。
66 伝染病の一つ。下痢、高熱などの症状を呈す。晩夏の季語。日野草城の句に、『おもかげのなおうるわしき――かな』がある。
67 急な傾斜地に、階段状に作った田。
68 伊勢神宮や鳥羽水族館がある観光地。
69 地面や岩の間などからわき出る、きれいに澄んだ水。夏の季語。芭蕉の句に、『城跡や古井の――まず問わん』がある。
70 仲夏の季語。芭蕉の句に、『――を集めて早し最上川』が、蕪村の句に、『――や大河を前に家二軒』がある。

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アポイ岳

2024-08-03 05:30:00 | 山行・旅行
アポイ岳(標高810m)は言わずと知れた花の名山である。田中澄江氏も「花の百名山」と「新・花の百名山」の両方に選んでいるが、それ以前からこの山は固有植物が多いことで有名だった。
もう一つアポイ岳を有名にしているのが、世界でも珍しい橄欖岩(かんらんがん)地質である。ご存じの方も多いと思うが、両者は大いに関係している。

日高山脈は約1,300万年前に、2つの大陸プレートが衝突して生じた。アポイ岳はその南端に位置している。大陸衝突の際、地殻の下にあるマントルの一部が突き上げられ現れたのがアポイ岳である(火山以外のたいていの山は地殻の隆起によって生じている)。そのためこの山は橄欖岩(かんらんがん)という、極めて珍しい地質でできている。
橄欖岩には一部の植物の生育を阻害する成分が含まれており、そのためアポイ岳の植生は極めてユニークになっているのである。

さて、トムラウシ山から下山して、次に向かったのがアポイ岳である。夕刻に登山口近くのキャンプ地に着いて、テントを張った。

ハイキングの様子をご覧いただく前に、田中澄江氏の「花の百名山」の一節をご覧いただきたい。
『南にのびた日高山脈が、襟裳岬で太平洋に沈み込もうとする直前に、辛うじて一息入れてふみとどまった形で、東にも西にも海をしたがえてそびえたったのがアポイ岳である』
アポイ岳の地理的条件を説明するのに、これほど分かりやすい文章を他に知らない。併せて地図をご覧になるとその地理がよくお分かりになると思う。

■ 小さな縮尺の地図(地図をクリックすると大きくなります。)


■ 軌跡を記した地図(地図をクリックすると大きくなります。)


それでは出発しよう。
翌朝、5時55分にキャンプ場を出発した。アポイ岳ジオパークビジターセンターの脇が登山口となっている。キャンプ場の受付もビジターセンターだった。
 

登山道には一合目から九合目まで標柱が立っており、五合目までは遊歩道のように整備された道が続いていた。
 

また、ヒグマが出没するため、クマ除けの大きな鐘も複数設けられていた。


最初に観た花はきれいなハクサンシャクナゲだった。まだ標高が100m程度しかない所にハクサンシャクナゲが咲いているのに驚いた。ハクサンシャクナゲは、標高が380m付近にある避難小屋付近まで、たくさん観られた。
・ハクサンシャクナゲ(白山石楠花、Rhododendron brachycarpum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)


写真のようにベンチがある休憩所が五合目までに5ヶ所あった。親切この上ない。


大きな看板に書いてある説明もありがたいが、小学生が作った標語が身に刺さるのではないだろうか。


また登山道脇の樹木に樹名板が取り付けられていて、これも親切なことで嬉しかった。
  

樹名板が取り付けられていた樹木は、この他にミヤマハンノキ、トドマツ、ミズナラ、キタコブシ等があった。
五合目近くで観たハクサンシャクナゲ。


7時15分に五合目にある避難小屋に到着した。
 

五合目か先は背の高い樹木がなくなり、亜高山帯から高山帯の趣となった。標高が810mしかない山でこれだけ亜高山帯から高山帯の趣があるのは、高緯度であることに加え、過酷な気象条件が関与しているのだろう。
登山道には岩が露出していて、その隙間や草地にイブキジャコウソウが咲いていた。
これまでこの花を見た山は、谷川岳や尾瀬の笠ヶ岳といった主に蛇紋岩質の山だった。橄欖岩や蛇紋岩はマグネシウムを多く含んでいるが、イブキジャコウソウはそういった地質を好むようだ。
・イブキジャコウソウ(伊吹麝香草、Thymus quinquecostatus 、シソ科イブキジャコウソウ属の小低木)
日本では、北海道、本州、九州の、温帯から寒帯の石灰岩、蛇紋岩、安山岩地帯に広く分布する。








 

続いて観たのは黄色い花だった。葉を観るとキンロバイのように思えた。この植物も蛇紋岩質や石灰岩質の山に生育するようだ。
・キンロバイ(金露梅、Dasiphora fruticosa、バラ科キンロバイ属の落葉小低木)
日本では、北海道(夕張山地の崕山(きりぎしやま)・芦別岳・アポイ岳)、本州(早池峰山・焼石岳・船形山・谷川山系・至仏山・八ヶ岳・南アルプス)、四国に分布し、亜高山帯から高山帯の蛇紋岩地や石灰岩地の岩礫地に生育する。




七合目付近で観たのは、オトギリソウの仲間のようだった。図鑑で調べるとこの山の固有種の一つであるサマニオトギリと分かった。「サマニ」はこの山がある様似町のことだが、名前の由来はアイヌ語の「サンマウニ」(朽ち木のある所の意)とのことだ。
順序が逆になったが、「アポイ」はアイヌ語の「アペ(火)・オイ(多い所)・ヌプリ(山)」が略されたもので、「大火を焚いた山」という意味とのことである。 昔、アイヌの人々がこの山で火を焚き、鹿の豊猟をカムイ(神)に祈ったという伝説に由来している。
・サマニオトギリ(様似弟切、Hyericum samaniense、オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草)




続いて白い花を観たが名前が分からなかった。やはり図鑑で調べたら、この山の固有品種の一つであるアポイハハコの蕾のようだった。
・アポイハハコ(別名タカネヤハズハハコ;あぽい母子、Anaphalis alpicola f. robusta、キク科ヤマハハコ属の多年草)




 



登山道には岩場も多く、雨の日は滑りそうに思えた。
 

北側に日高山脈の山々が連なるのが見えた。標高は高くないものの、険しそうな稜線が続いて見えた。


九合目まで来ると頂上はもうすぐだ。不思議なことに山頂には樹木が林立して見えた。


九合目の先で観たのがこの花だ。田中澄江氏がこの山を代表する花として挙げたアポイマンテマだ。この山の固有変種である。実物を観るのはもちろん初めてだった。
・アポイマンテマ(あぽいまんてま、Silene repens var. apoiensis、ナデシコ科マンテマ属の多年草)




8時45分に山頂に到着した。
 

山頂は樹木に被われていて展望は利かなかった。


山頂に祀られていた祠に手を合わせ、10分ほど休憩して山を下りた。


帰り道で少し離れたハイマツの中にセリ科らしい花を観たが、名前は分からなかった。


三合目辺りまで下った所でエゾシカに遭った。珍しいことではないようだ。


11時13分にテントへ戻った。

アポイ岳 (完)
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表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑦(トムラウシ山南沼→トムラウシ温泉)

2024-07-31 05:00:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑥(トムラウシ山登頂と南沼の高山植物)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


縦走の最終日はトムラウシ山南沼にあるキャンプ指定地からトムラウシ温泉までの10.8kmである。その間のほとんどが下りで、下りの累積標高差が1500mを越えた。登りより下りが苦手な身にとっては、きつい行程だった。

目覚めたときキャンプ場は一面にガスがかかっていた。晴れていれば暗いうちにご来光を観に山頂へ登ることもできたが、山頂は雲の中だった。
正直疲れていたので、登らなくても良かったのは正解だったかもしれない。

朝食・トイレ・撤収を済ませて、キャンプ場を5時13分に出発した。
 

南沼のキャンプ場からしばらくの間はだらだらとした下りが続いた。お花は既に見慣れたものばかりだった。

・イワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)の葉が鮮やかだった。


・チングルマ(珍車・稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木)はここでも群落が観られた。


・ウラジロナナカマド(裏白七竃、Sorbus matsumurana、バラ科ナナカマド属の落葉低木)


・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


この縦走で初めて観た綿毛のチングルマ。
 

・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)とエゾコザクラ


・ミヤマオグルマ(深山小車、Tephroseris kawakamii、キク科オカオグルマ属の多年草)


お花の写真を撮っていたので、後から来た人に先に行ってもらった。この日は皆がザックにレインカバーをつけていた。


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)


・エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花、Anemone narcissiflora. var. sachalinensis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)


・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)


岩と池塘と残雪が入り交じった窪地が現れた。トムラウシ公園にさしかかったようだ。先ほどの黄色いレインカバーがもうあんな先へ行っていた。


・エゾノツガザクラ


・エゾコザクラ




・ウラジロナナカマド


・ミヤマバイケイソウ(深山梅蕙草、Veratrum alpestre、ユリ目シュロソウ科シュロソウ属の多年草)の群落




大きな岩を過ぎたところに「トムラウシ公園」の標柱が立っていた。
 

公園内には奇岩が多い。
 

振り返って見たトムラウシ公園には、日本庭園的面影があった。


トムラウシ公園を過ぎるとかなりの登り返しとなった。そしてガスが晴れてきた。
 

・タカネオミナエシ(別名チシマキンレイカ;高嶺女郎花、Patrinia sibirica、スイカズラ科オミナエシ属の多年草)


・イワブクロ


歩きやすい道ばかりでなく、岩場も多かった。
 

そして岩ゴロゴロの道を下り終えるとトム平に着いた。




トム平付近ではこれまでと違う植物も観られた。

・チシマギキョウ(千島桔梗、Campanula chamissonis、キキョウ科ホタルブクロ属の多年草)




・エゾツツジ(蝦夷躑躅、Therorhodion camtschaticum、ツツジ科エゾツツジ属またはツツジ属の落葉低木)


・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


標高1600m地点で大きな岩が連なる所をトラバースし、谷筋に出た。
 

そこを少し下った所に標柱があった。ここからは沢沿いに下っていく。雪渓を歩けるかと期待していたが、雪はほぼ解けていて歩ける状態ではなかった。
 

沢沿いに下っていくと、まもなくコマドリ沢分岐に着いた。沢を渡ったところに標柱があった。ここで水を補給した。
 

コマドリ沢分岐の手前で観たエゾコザクラが、今回の山行でのこの花の見納めとなった。


そしてここから先に観られた花は、高山帯で観られる花から亜高山帯そして山地帯で観られる花に、徐々に変わっていったのが寂しかった。

・オオバミゾホオズキ(大葉溝酸漿、Mimulus sessilifolius、ハエドクソウ科ミゾホオズキ属の多年草)
日本では本州の中部以北の日本海側、北海道に分布し、高山で沢沿いや湿地などの水気のある場所に群生する。


・カラマツソウ(落葉松草、唐松草、Thalictrum aquilegiifolium var. intermedium、キンポウゲ科カラマツソウ属の多年草)


・オガラバナ(麻幹花、Acer ukurunduense、ムクロジ科カエデ属の落葉小高木)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)


・ミヤマリンドウ(深山竜胆、Gentiana nipponica、リンドウ科リンドウ属の多年草)


・ハナニガナ(花苦菜、Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia、キク科ニガナ属の多年草)


・ハイオトギリ (這弟切、Hypericum kamtschaticum、オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草)
北海道、本州(中部地方以北)の亜高山帯から高山帯の岩礫地や草地などに生育する。


・ハクサンシャクナゲ(白山石楠花、Rhododendron brachycarpum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)


心配していた右足親指付け根の痛みが出てきた。カムイ天上に着いたら治療しようと頑張って歩いたが長かった。
9時43分にカムイ天上に着いた。靴を脱ぎ痛む部分に痛み止めのテープ(経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤)を貼った。それでも痛むので痛み止めの錠剤を飲んだ。


痛みが何とか治まったので、その後も長い道のりだったが普通に歩けた。10時50分にトムラウシ短縮コース登山口との分岐まで来た。残りは3.9kmで最後に急な傾斜があるが、それまでは緩やかな下りだ。


森の中の道は歩いていて気持ちが良かった。足の痛みもその後は治まってくれていた。


12時33分、無事にトムラウシ温泉登山口に下山した。


4日目に歩いた距離は10.8km、累積標高差は登りが219m・下りが1542mで、歩行時間は途中休憩(32分)を含めて7時間20分だった。
そして4日間を合計すると、歩いた距離は44.7km、累積標高差は登りが2516m・下りが3481mとなった。

憧れていた表大雪の縦走が果たせた。憧れが目標となり、それが果たせた喜びは大きい。今年はまだ行けるが来年は無理だろうと思っていた。しかし実際に歩いてみると、まだ数年は大丈夫なように思う。但し足の痛みはしっかりと治療しなければいけない。専門医に診てもらおうと思った。

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 (完)
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表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑥(トムラウシ山登頂と南沼の高山植物)

2024-07-30 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑤(ヒサゴ沼避難小屋→トムラウシ山南沼キャンプ指定地)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


テントの設営を終え一休みした後、最少限の荷物を持ってトムラウシ山(標高2141m)の山頂に向かった。野営場から山頂まではコースタイムが30分の距離だ。
その間ずっと岩と砂礫の連続で、所々で岩陰や斜面にミヤマオグルマやチングルマが咲いていた。
 

山頂直下まで登っても山頂は見えない。最後は空が広がってきて、そこを登りきると山頂だった。
 

12時3分にトムラウシ山の山頂に立った。山頂はせいぜい六畳ほどの広さだが平らなところはなく、岩棚に数組のグループが分かれて座っていた。


山頂から四方の山々がよく見えた。
先ずは北の方角に目をやると、旭岳(標高2291m)、北鎮岳(同2244m)、白雲岳(同2230m)が見えた。


左の高い山が旭岳、右奥の尖った山が北鎮岳だ。北鎮岳は大雪山系で旭岳に次ぐ高さがある。


続いて南西に目をやると十勝岳連峰が見えた。


手前の富士山型の山がオプタテシケ山(標高2013m)、その左に見える2つの峰が(左から)十勝岳(同2077m)と美瑛岳(同2052m)だ。十勝岳には5年前に登頂した。


十勝岳連峰の南端に聳える円錐形の山は、下ホロカメットク山(標高1668m)だ。


山頂に15分ほどいて、最後にもう一度標柱を写して下山した。それにしても4日間の縦走の中でもっとも好天に恵まれたのがトムラウシ山とは、無上の幸運であった。


それでは南沼周辺で観たお花をご覧いただきたい。

・イワヒゲ(岩髭、Cassiope lycopodioides 、ツツジ科イワヒゲ属の常緑矮性小低木)




・エゾヒメクワガタ(蝦夷姫鍬形、Veronica stelleri var. longistyla、クワガタソウ属の多年草)


・エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花、Anemone narcissiflora. var. sachalinensis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)


・ハクサンボウフウ(白山防風、Peucedanum multivittatum、セリ科カワラボウフウ属の多年草)


・ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花、Ranunculus acris var. nipponicus、キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草)


・イワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)


・ミヤマオグルマ(深山小車、Tephroseris kawakamii、キク科オカオグルマ属の多年草)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)


・チングルマ(珍車・稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木)






・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)


・イワウメ(岩梅、Diapensia lapponica L. var. obovata、イワウメ科イワウメ属の常緑の小低木)
合弁花であるが、平開する花冠が直径1.5cmと小さい上に5中裂するため、花弁が5枚あるように見える。




・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idaea、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)


・ミヤマバイケイソウ(深山梅蕙草、Veratrum alpestre、ユリ目シュロソウ科シュロソウ属の多年草)


・アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・ウコンウツギ(鬱金卯木・鬱金空木、Weigela middendorffiana、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)


・コガネイチゴ(黄金苺、Rubus pedatus、バラ科キイチゴ属の落葉低木)
日本では、北海道、本州(東北地方、関東地方北部、中部地方中部以北)の各山地に分布する。亜高山帯から高山帯にかけてのハイマツなどの林下や林縁の半日陰地に生育する。


3日目に歩いた距離は6.4km、累積標高差は登りが608m・下りが332mで、歩行時間は途中休憩(1時間39分)を含めて7時間24分だった。

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑦(トムラウシ山南沼→トムラウシ温泉)に続く。
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表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑤(ヒサゴ沼避難小屋→トムラウシ山南沼キャンプ指定地)

2024-07-29 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その④(忠別岳→ヒサゴ沼避難小屋)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


縦走3日目は、ヒサゴ沼避難小屋を出発し、トムラウシ山の北沼を経由し南沼に行き、そこにテントを張った後、最少限の荷物でトムラウシ山に登頂した。距離は6.4kmで、4日間の中で一番短かった。

今回の縦走では夕食にアルファ米のご飯とレトルト食品を中心としたおかず、朝食にはカップ麺を食べるのが日課だった。昼食はカップ麺とミックスナッツやドライフルーツ等の行動食で済ましていた。
アルコール類は一切摂らず、野菜が不足する分はビタミン剤を服用していた。4日間だけのことなので、栄養より重量を重視した。

朝食とトイレを済ませテントを撤収し、ヒサゴ沼避難小屋キャンプ指定地を後にしたのは5時43分だった。私より早く出発した何組かのパーティーは、トムラウシ山に登ってその日に下山するようだった。

ヒサゴ沼からトムラウシ山へ向かうには、先ず沼の北岸を西に進む。そして目の前の雪渓を登っていく。
 

沼の岸は雪渓から流れ出た水が作る湿地となっていて、たくさんの高山植物が咲いていた。

・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
サクラソウ属の花には通常、雌しべが長く雄しべが短いタイプと、その逆に雌しべが短く雄しべが長いタイプの2種類がある。そして同じタイプの花同士では受粉が成立しない仕組みになっている(異形花柱性)。この株は雌しべが長い。


一方、前日観た株は雄しべが長かった。


・エゾウサギギク(蝦夷兎菊、Arnica unalaschcensis var. unalaschcensis、キク科ウサギギク属の多年草)
北海道・本州(東北地方)、千島・アリューシャンに分布する。高山帯の草地や砂礫地などに生え、茎の高さは10~30cmで全体に白い軟毛がある。茎先に、直径4~5cmの黄色の頭花を1個つける。頭花の中心部は筒状花、周辺は舌状花となり筒状花の筒部には毛がない。






・イワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)
南千島と日本の北海道、本州の中部以北に分布し、多雪地の亜高山から高山にかけての湿原などに自生する。


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
葉はふつう4枚輪生し、羽状に裂ける。花は上部に数段つき、花冠が大きく曲がる。


雪渓はかなりの傾斜があったので、アイゼンを着用した。
 

雪渓を登っていくと眼下にヒサゴ沼が見えてきた。アイゼンのお陰で雪渓を自由に歩けたので、様々な角度からヒサゴ沼を観られた。


ヒサゴ沼は双子の沼で、その真ん中付近にキャンプ指定地が見えた。


雪渓が終わると少しの間草地となった。


そしてその後に大きな岩が重なっていた。重い荷物を担いで岩の上を歩くのは苦手である。慎重に歩いた。


岩場が終わった所で五色岳からの道と合流した。付近にツアーの団体が休んでいた(右の写真は反対方向から見ている)。
 

・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


ここから先は『日本庭園』と呼ばれるところへ入っていく。遠くに霧がかかっていて幻想的だった。










・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idaea、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)
花のように見える白い部分は装飾花で、1個の花序が1つの花のように見える。花は小さく、20~30個が集まって4枚の総苞片の中央につく。


ヒサゴ沼を見下ろせる岩場でしばし休憩した。キャンプ指定地にテントがもう見えなくなっていた。


7時23分に天沼に到着した。ここの景色は本当に素晴しい。たくさん写真を撮った。
 

 

 

 





・イワイチョウ




天沼を過ぎたところで大きな岩の上で休憩した。その後はロックガーデンである。
 

そして2000m台地に向けて登っていく。
 

台地上から振り返って観た景色が素晴しかった。


そして台地の先にトムラウシ山と北沼が待っていた。




北沼から直接トムラウシ山へ登ることもできるが、当初の計画通り先ずは南沼まで行ってテントを張り、そこから最少限の荷物を持ってトムラウシ山を目指すことにした。
その前にここで水を2.5L補給した(結果的に南沼でもきれいな水が得られたので、ここで汲む必要はなかった)。


標柱から右に進み南沼へ向かった。


・エゾコザクラ


9時47分、南沼へ向かう途中で北沼の湖畔で休憩し昼食を摂った。カップ麺はスープも残さず食べて、さらにお湯を注いでそれも飲むので山には迷惑を掛けない。カロリーと水分を同時に取れる理想的な食事だ。


障害物(?)を除けてのショット。最高の天気に恵まれ空も雪も水もがまぶしかった。


そして、座っていた背後はお花畑だった。まさに天国での最高の昼食だった。


ゆっくり休み元気いっぱいになったところで南沼へ向かう。


南沼が見えてきた。途中にもお花がたくさん観られた。その中で面白い花を見つけた。


・コエゾツガザクラ(小蝦夷栂桜、Phyllodoce caerulea f. yezoensis、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)
コエゾツガザクラはエゾノツガザクラとアオノツガザクラの雑種で、原種のエゾノツガザクラと比べると花色が薄く花の形は球形に近い。これまで観てきたエゾノツガザクラは、ほとんどが雑種(コエゾツガザクラ)のようだった。


・ニシキツガザクラ(錦栂桜、Phyllodoce caerulea f. marmorata、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)
ニシキツガザクラはコエゾツガザクラとアオノツガザクラが交配したもので、花色は様々である。この個体は黄色である。


これまで雑種については記載せず、特徴が近い原種名を書いてきたが、南沼で雑種の特徴が色濃い花を観たのであえて記載した。
その他の植物については続報でご覧いただくことにしたい。

さて、南沼のキャンプ指定地に10時30分に到着した。途中で昼食を摂ったので計画より30分遅れた。それでもテント場は閑散としていて好きなところにテントを張れた(写真は設営途中に撮影)。


表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑥(トムラウシ山登頂と南沼の高山植物)に続く。
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表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その④(忠別岳→ヒサゴ沼避難小屋)

2024-07-28 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その③(白雲岳避難小屋→忠別岳)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


忠別岳(標高1963m)の山頂には4、5人が休んでいた。私もここでザックを下ろした。
山頂から南西の方向に化雲岳(標高1955m)を中心とした山並みが見えたが、トムラウシ山は見えなかった。東の方向には東大雪の石狩岳(標高1967m)らしい山が見えた。北側は霧に被われていた。

五色岳に向かって歩き出すとすぐに草原となり、チングルマなどの花々が咲き乱れていた。


キク科の特徴がある植物を観た。茎や葉に毛が生えていて、葉は葉柄がなく茎から直接出ている。葉の鋸歯は鋭い。これまで観たことがなかったので教えてgooに訊ねた。
・ミヤマオグルマ(深山小車、Tephroseris kawakamii、キク科オカオグルマ属の多年草)
日本では北海道の利尻山、ポロヌプリ山、斜里岳、大雪山、夕張岳、暑寒別岳、ホロホロ山に分布する。高山帯の砂礫地や草地などに生育する。


坂を下っていくと雪渓の左に三角屋根の忠別岳避難小屋が見えてきた。


さらに下ると忠別岳の雄姿を見返すことができた。


その先には、先ほど観たキク科の花(ミヤマオグルマ)が群生していた。


さらにその先で、座りやすそうな岩があったので、先ほど休んだばかりだが休憩した。そこから観た忠別岳も見事だった。
休んでいたら昨日一緒だった二人組が追いついてこられて、その先の化雲岳分岐まで一緒に歩いた。


・ミヤマリンドウ(深山竜胆、Gentiana nipponica、リンドウ科リンドウ属の多年草)
北海道、本州の中部以北に分布し、高山帯の湿原や湿り気のある場所に自生する。


忠別岳を下り終えると五色岳に向けての登りとなった。ゆっくりのペースで登った。

・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


・ツマトリソウ(褄取草、Trientalis europaea 、サクラソウ科ツマトリソウ属の多年草)
日本では北海道、本州、四国に分布し、亜高山の草地、半陰地、林縁に自生する。


・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)


12時47分に五色岳(標高1868m)に到着した。ここでも休憩した。計画より13分早いが、だいぶん時間差の余裕がなくなった。
五色岳山頂からトムラウシ山を見たところ、霧に被われていて見えなかった。しかし休憩している間に一瞬だけ霧が晴れてトムラウシ山を見ることができた。今回の山行で初めてトムラウシ山が見えた。


五色岳の山頂で道が二つに岐かれている。右へ進むとトムラウシ山へ、左は石狩岳だ。13時6分、トムラウシ山方面へ向かって出発した。


化雲岳分岐の手前で草原から湿原となり、いっきに草花の種類が増えてきた。

・ミヤマオグルマ


・ハクサンボウフウ(白山防風、Peucedanum multivittatum、セリ科カワラボウフウ属の多年草)

・エゾヒメクワガタ(蝦夷姫鍬形、Veronica stelleri var. longistyla、クワガタソウ属の多年草)
日本では北海道のみに分布し、亜高山帯から高山帯の砂礫地や草地に生える。高さは15cmほど。花期は7~8月。1cmほどで青紫色の花冠が深く4裂した花を咲かせる。




・トカチフウロ(十勝風露、 Geranium erianthum f. pallescens、フウロソウ科フウロソウ属の多年草)
この花は雌性先熟で、中央の花が雄性期、右の花が雌性期のように見えた。


・ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花、Ranunculus acris var. nipponicus、キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草)


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)






・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)とエゾコザクラ


・ミヤマキンバイ(深山金梅、Potentilla matsumurae、バラ科キジムシロ属の多年草)








・ホソバウルップソウ(細葉得撫草、Lagotis yesoensis、オオバコ科ウルップソウ属の多年草)




・ミヤマアズマギク(深山東菊、 Erigeron thunbergii subsp. glabratus、キク科ムカシヨモギ属の多年草)


・ミヤマリンドウ


14時5分に化雲岳分岐に着いた。ここでヒサゴ沼へ直接向かう二人組と分かれて、化雲岳へ向かった。


化雲岳の東斜面にはチングルマの大群落が観られた。


もうすぐ山頂だが・・


左を向くとチングルマの大群落がまだ続いている。


ゆっくり登って14時27分に化雲岳(標高1955m)の山頂に着いた。化雲岳の山頂には数分いただけで宿泊地のヒサゴ沼へ向かった。
五色岳から直接来る道と合流すると、ヒサゴ沼へはしばらくの間木道を歩く。




快適な道のはずだが、途中で足の親指の付け根が痛くなり、靴を脱いで休んだ。


雪渓の先にヒサゴ沼が見えてきた。


この沼の東側に避難小屋とキャンプ指定地がある。


池を目の前にして、この日初めてパノラマ写真も撮ってみた。


足の痛みをこらえながら、15時37分に野営場に到着した。計画より53分早かった。
野営場に着くと、2日間一緒に歩くことが多かった二人組から声がかかった。「大変ですよ。テントを張る場所がないですよ!」

この日のヒサゴ沼避難小屋のキャンプ指定地は混雑していた。岩の上や笹原を除くと、ほとんどの場所がテントで埋まっていた。わずかに避難小屋の脇にスペースがあることを教えられ、運良くそこにテントを張れた。
私より後から到着したキャンパーは、ゴツゴツした岩の上や笹原の中にテントを張っていた。山は「早出早着」と言うけれど、なるほどこういうこともあるのだと思った。

2日目に歩いた距離は16.7km、累積標高差は登りが663m・下りが966mで、歩行時間は途中休憩(1時間18分)を含めて9時間41分だった。
表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑤(ヒサゴ沼避難小屋→トムラウシ山南沼キャンプ指定地)に続く。
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表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その③(白雲岳避難小屋→忠別岳)

2024-07-27 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その②(旭岳→白雲岳避難小屋)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


縦走2日目は白雲岳避難小屋を出発し、忠別岳(標高1963m)、五色岳(同1868m)、化雲岳(同1955m)に登頂し、ヒサゴ沼にある野営地まで行く16.7kmの行程だった。4日間の中で一番長かった。
白雲岳避難小屋キャンプ指定地を5時57分に出発した。


避難小屋の周辺で頻繁にヒグマが目撃されている。ハイカーは皆クマ鈴を鳴らして歩いている。
私はお花の写真を撮るため頻繁に立ち止まる。他のハイカーが近づいてくるのもクマ鈴で分かる。抜いてもらう場所を予め考えながら歩いていた。

お花はその日初めて観るものはたいがい撮影した。一度撮ったものは撮らないことが多かった。
この花は初めてのように思えて撮影した。名前が分からず教えてgooに頼ったが、エゾノタカネツメクサなのかエゾミヤマツメクサなのか判断がつかなかった。生育している数はエゾノタカネツメクサが圧倒的に多いらしい。

・エゾノタカネツメクサ(蝦夷の高嶺爪草、Minuartia arctica var. arctica、ナデシコ科タカネツメクサ属の多年草)
日本では北海道の利尻島、大雪山系、夕張山地、日高山地、知床山地に分布する。高山帯の岩場や砂礫地に生育する。
・エゾミヤマツメクサ(蝦夷深山爪草、Minuartia macrocarpa var. yezoalpina、ナデシコ科タカネツメクサ属の多年草)
北海道の大雪山系に分布する。


隣の植物はエゾハハコヨモギだと教えられた。
・エゾハハコヨモギ(蝦夷母子蓬、Artemisia glomerata、キク科ヨモギ属の多年草)
北海道大雪山の高山帯の岩礫地に見られる。高さ20cm程度。葉は2回掌状に分裂し、両面に絹毛が密にある。頭花は総状につく。夏に開花。


前夜の雨で草木は濡れていた。そのためレインウエアの上下を着用して歩いた。中の着衣を調整していて暑くはなかった。

・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


・アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、Phyllodoce caerulea、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


この日歩いた道は大部分が見通しの良い高原台地だったが、所々背丈を越える高さのハイマツやナナカマドの中を抜けた。

・ウラジロナナカマド(裏白七竃、Sorbus matsumurana、バラ科ナナカマド属の落葉低木)


また雪渓近くを歩く道では、お花畑が観られた。

・チシマノキンバイソウ(千島の金梅草、Trollius riederianus、キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草)


・ウコンウツギ(鬱金卯木・鬱金空木、Weigela middendorffiana、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)


・チングルマ(珍車・稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)


・エゾノツガザクラ


ここは左側に雪渓が続いていた。その近くでチングルマの大群落を何度も見かけた。


雪解け水が流れる側に、エゾコザクラの群落が観られた。


こちらはエゾノツガザクラとアオノツガザクラの混群。


左側に雪渓が続いていて、ガスがかかっていた。手前にチングルマとアオノツガザクラの群落が観られた。


こちらも左側が雪渓で、手前にチングルマ、エゾノツガザクラ、アオノツガザクラの群落が観られた。


先へ進むと広い高原台地となった。地図を見ると高根ヶ原と書かれていた。礫地にコマクサ、タカネオミナエシ、エゾツツジなどが散らばって咲いていた。このような高原が長く続いた。


・コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)


・タカネオミナエシ(別名チシマキンレイカ;千島金鈴花、Patrinia sibirica、スイカズラ科オミナエシ属の多年草)


・エゾツツジ(蝦夷躑躅、Therorhodion camtschaticum、ツツジ科エゾツツジ属またはツツジ属の落葉低木)


・ホソバウルップソウ(細葉得撫草、Lagotis yesoensis、オオバコ科ウルップソウ属の多年草)
大雪山系に分布する。環境省により絶滅危惧IB類(EN)の指定を受けている。




・ムカゴトラノオ(零余子虎の尾、Bistorta vivipara、タデ科イブキトラノオ属の多年草)
日本では、北海道、本州中部地方以北に分布し、亜高山帯から高山帯の日当たりのよい草地や岩礫地に生育する。


7時ちょうどに三笠新道の分岐に着いた。ここでしばらく休憩した。
今回行動食に用意したのは主にミックスナッツだった。その中でも『ハニーバターアーモンド』という商品が食べやすかった。


三笠新道の分岐を過ぎた辺りでもホソバウルップソウの群落を観た。花はオオバコと同じく下から上に向かって順に咲くようだ。
この植物の葉を観ていても「細葉」には見えない。しかしウルップソウの幅広い葉と比べると「細葉」なのだろうと納得した。


・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


コマクサがたくさん咲いていた。


こちらはエゾツツジ、タカネオミナエシの混群。


ガスはまだ晴れない。予報では9時頃に晴れるという。歩くには涼しくて良いものの、この高原台地全体を見晴らせたらどんなにか素晴しいだろうと思った。
視界が悪い中、コマクサの群落があちこちで観られた。




南へ進むとハイマツの中を抜ける道となった。


そしてその先に緑の湿原が広がっていた。チングルマやミヤマバイケイソウが美しい。


セリ科の花もたくさん咲いていた。ハクサンボウフウのようだった。


・ハクサンボウフウ(白山防風、Peucedanum multivittatum、セリ科カワラボウフウ属の多年草)
北海道、本州の中部地方以北に分布し、高山帯の草地に生育する。


タカネオミナエシもたくさん咲いていた。


ハイマツの間を抜ける道は昨夜の雨で泥濘んでいて、歩きにくかった。


木道は残骸であっても水たまりを避けるのに助かった。


ハイマツの陰にマイヅルソウやゴゼンタチバナが咲いていた。

・マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)
北海道から九州の山地帯上部から亜高山帯の針葉樹林に多く群生する。


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


丸石を敷き詰めたような道。これも自然の状態だと思う。


石の隙間にきれいなコマクサが咲いていた。


草地にはタカネシオガマが観られた。
・タカネシオガマ(高嶺塩釜、Pedicularis verticillata、ハマウツボ科シオガマギク属一年草)
本州の中部地方から北海道の高山帯に分布し、砂礫地や草地に生える。高さは5~15cm。茎の上部に唇形の紅紫色の花をつける。
ミヤマシオガマやヨツバシオガマに似るが、ミヤマシオガマと比べ葉の切れ込みがそれほど細かくない点、ヨツバシオガマと比べ高さが低い点などで区別ができる。


この岩の向こうはどうなっているのだろう?


まだ高原台地が続いていた。


・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)
北海道、東北の高山帯に自生し、主に岩礫地や湿地などに自生する。北海道の固有種という説もある。




緩やかに登ってきた台地だが、一転して勾配の急な下りになった。せっかく登ってきたのに下るのは残念に思えたが、その先にこの光景が待っていた。忠別沼である。


忠別沼は『山と高原地図』に水場の印があるところだが、まだ十分に水は足りていた。ちなみに大雪山系にある水場はすべて「要煮沸」である。今回は高性能フィルターを持参したので、それで濾過すれば煮沸しなくても飲用できた。

忠別沼の湖畔にたくさんのお花が咲いていた。
これからの写真が鮮明に見えるとしたら、それはガスが晴れてきたからだ。天気予報通り時刻はちょうど9時になっていた。

・エゾノツガザクラ


・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)


・リシリリンドウ(別名クモマリンソウ;利尻竜胆、Gentiana jamesii、リンドウ科リンドウ属の多年草)
北海道の利尻山、大雪山、夕張山系の高山の湿った草地や砂礫地に生える。茎は上部で枝分れする。葉には厚みと光沢があり、対生する。花冠は5つに裂け、細かい切れ込みのある副片が花の内部を覆い隠す。


忠別沼で10数分休憩して再びザックを担いだ。
反対方向から沼を見下ろした。


・リシリリンドウ


・タカネシオガマ


・エゾイソツツジ


・イワヒゲ(岩髭、Cassiope lycopodioides 、ツツジ科イワヒゲ属の常緑矮性小低木)


・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idaea、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)
日本では北海道、本州、四国、九州に分布する。亜高山から高山のハイマツなどの針葉樹林下、岩礫地などに自生する。




忠別岳の最後の登りをゆっくりと登った。


10時ちょうどに忠別岳(標高1963m)の山頂に到着した。計画より50分早い到着だった。レインウエアをどこで脱いだのか覚えていないが、それは既にザックの中にあった。


表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その④(忠別岳→ヒサゴ沼避難小屋)に続く。
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表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その②(旭岳→白雲岳避難小屋)

2024-07-25 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は、表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その①(姿見駅→旭岳)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


旭岳(標高2291m)は北海道の最高峰であり、当然今回の縦走路でも旭岳が最高峰で、旭岳からは下りとなった。
すぐに残雪が現れると思っていたが、しばらく砂礫の急坂が続いた。途中いくつかの樹木の花が観られた。

・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)
日本では北海道から中部地方までの高山帯から亜高山帯上部にかけて自生する。分布域がアズマシャクナゲやハクサンシャクナゲよりさらに高地であり、生息環境が厳しいため樹高は3~40cmにしかならない。


・メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、Sibbaldia miyabei、バラ科タテヤマキンバイ属の小低木)
北海道の硫黄山、羅臼岳、斜里岳、雌阿寒岳、大雪山系、羊蹄山に分布し、高山の日当たりのよい斜面や砂礫地に生育する。北海道以外では千島列島に分布する。


砂礫の急坂を20分ほど下ると、ようやく雪が現れた。ここでアイゼンを着用した。砂礫より締まった雪の方がずっと歩きやすい。相変わらずガスが濃かったが、GPSがあるので道を見失う心配はなかった。
 

雪渓を抜けると平坦な砂礫の道となった。所々にお花畑があり、特にキバナシャクナゲの群落が見事だった。風雪が厳しい環境のため樹高は20cmほどしかない。
この先で前を歩いていた二人組に追いつき、白雲岳避難小屋まで一緒に歩いた。
 

・キバナシャクナゲ


ガスに加え風が出てきて、お花の撮影が難しくなってきた。それでも可愛いお花たちにカメラを向けてしまう。

・イワヒゲ(岩髭、Cassiope lycopodioides 、ツツジ科イワヒゲ属の常緑矮性小低木)
日本では、本州中部地方以北、北海道に分布し、高山帯の風当たりの強い岩場の裂け目などに張り付くように生える。


・エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、Phyllodoce caerulea、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・エゾタカネスミレ(蝦夷高嶺菫、Viola crassa subsp. borealis、スミレ科スミレ属)
北海道の大雪山、夕張山地、日高山脈、羊蹄山に分布し、高山の礫地に生育する。


前を歩いている二人も風で歩きにくそうだった。


・イワウメ(岩梅、Diapensia lapponica L. var. obovata、イワウメ科イワウメ属の常緑の小低木)
日本では北海道から本州中部にかけての高山帯に分布し、岩礫地や岩壁に張り付くように生育する。


時折ガスの切れ間から噴火口跡の景色が見えた。


10時39分、間宮岳分岐に到着。ザックを下ろして空荷で間宮岳へ向かった。2分ほどで間宮岳に到着した。標柱がないとどこが山頂か分からない。


すると奇跡的に数分の間、御鉢平カルデラのガスが晴れて、黒岳(標高1984m)の雄姿を観ることができた。


間宮岳分岐にに戻り、荒井岳(標高2183m)、松田岳(同2136m)を通り、北海岳(同2149m)を目指す。


・クモマユキノシタ(別名ヒメヤマハナソウ、雲間雪の下、Saxifraga laciniata、ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草)
北海道の大雪山、夕張山地、日高山地に分布し、高山の湿った礫地に生育する。


・イワヒゲ




・コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)


・イワブクロ(別名タルマイソウ、岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)
北海道から東北地方の高山帯に分布する。火山系の山の岩場や砂礫地に多い。




北海岳に向かって、最後の登りを頑張る。嬉しいことにガスが晴れてきた。


11時36分、北海岳に到着し、ザックを下ろして昼食を摂った。白雲岳避難小屋までは3.5kmだ。
 

ガスが晴れてきたので、山々が見渡せた。
烏帽子岳(標高2072m)のようだ。


右が黒岳(標高1984m)、左が桂月岳(同1938m)のようだ。大雪山には2000m級の山が立ち並んでいる。


北海岳から白雲岳に向かう道はお花畑が続いていた。表大雪でも有数の規模のお花畑のようだ。




・イワブクロ


・イワヒゲ


・エゾツツジの蕾(蝦夷躑躅、Therorhodion camtschaticum、ツツジ科エゾツツジ属またはツツジ属の落葉低木)
日本では本州北部(早池峰山・岩手山・秋田駒ヶ岳)と北海道の高山に分布する。高山の過酷な環境のため、高さ10~30cm程度にしかならない。


・キバナシャクナゲ


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
北海道に分布する。高山の湿った所に生育する。


チングルマの群落が続いていた。


・ヒメイワタデ(姫岩蓼、Pleuropteropyrum ajanense、タデ科オンタデ属の多年草)


・キバナシオガマ( 黄花塩竃、Pedicularis oederi var. heteroglossa、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
日本では北海道の大雪山系と空知のみに分布する。高山の乾いた草地に生える。




・エゾオヤマノエンドウ(蝦夷御山の豌豆、Oxytropis japonica var. sericea、マメ科オヤマノエンドウ属の多年草)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
北海道と本州の飯豊山以北の東北地方に分布する。花序は長く、細毛を密生し、花は7~12段つく。花冠と萼との境で背軸側に曲がる。


晴れていたら白雲岳(標高2230m)に登頂するつもりだったが、厚い雲がかかっていたので避難小屋の方へ直接向かった。

途中に観たエゾノツガザクラの大群落も見事だった。


岩場にはキバナシャクナゲが群生していた。


・キバナシャクナゲ


・エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花、Anemone narcissiflora. var. sachalinensis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
北海道から東北地方北部の高山帯に分布する。ハクサンイチゲとの違いは、葉の幅が広く先端がとがらない。




・ウコンウツギ(鬱金卯木・鬱金空木、Weigela middendorffiana、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)
北海道から東北地方北部の亜高山帯に分布する高山植物。大雪山などでは登山道から大群落が見られる。


・チシマノキンバイソウ(千島の金梅草、Trollius riederianus、キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草)
北海道から中部地方以北の高山帯に生える高山植物。雪渓が溶けたあとの湿った草原に生える。






白雲岳避難小屋が見えてきた。あと少しの頑張りだ。


・ミヤマバイケイソウの蕾(深山梅蕙草、Veratrum alpestre、ユリ目シュロソウ科シュロソウ属の多年草)


もう少しで避難小屋に到着だ。


・トカチフウロ(十勝風露、 Geranium erianthum f. pallescens、フウロソウ科フウロソウ属の多年草)
チシマフウロの1品種で、主として大雪山系および日高山脈に見られる。母種のチシマフウロとの相違点は花色が淡い点にあり、チシマフウロの淡紅紫色に対して、トカチフウロでは淡青紫色である。




・ミヤマアズマギク(深山東菊、 Erigeron thunbergii subsp. glabratus、キク科ムカシヨモギ属の多年草)
日本の北海道から中部地方以北に分布し、高山帯の乾いた礫地や草地に生える。


白雲岳避難小屋のキャンプ指定地に13時43分に到着した。テントを張り終わるとしばらくして雨が降り始めた。日が暮れてから雨が強くなり、嵐のようになった。
この日から4日間、天気予報では晴れだったので、軽量化のためテント(1.9kg)ではなくツェルト(0.8kg)にしようかとも思ったが、テントを持参して良かったと思った。
雨は翌朝に上がった。翌日雨の中を歩くことはなかったが、濡れたテントの所為で荷物がいっそう重くなったのは仕方ないことだった。

この日は避難小屋が満杯で、まるでイワシの缶詰のような状態だった。テント場も混雑していたが夕刻に到着した人でもテントを張れたようだった。

1日目に歩いた距離は10.7km、累積標高差は登りが1032m・下りが640mで、歩行時間は途中休憩(42分)を含めて6時間50分だった。
表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その③(白雲岳避難小屋→忠別岳) に続く。
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