6月20日、谷川岳の1320m地点にある天神平(ロープウエイの駅)から、1977mのオキの耳(山頂)まで、花々を観ながら往復した。
今回は、登山道からの景色と、登山道脇に咲いていた花々を順にご覧いただきたいと思う。
しかしながら登りの時間帯は、山にガスがかかり展望が効かなかった。そこで、ご覧いただくのはお花がほとんどになる。
先ず、天神平登山口からすぐの所に咲いていたのが、シラネアオイ(キンポウゲ科シラネアオイ属)だ。標高1900mを越えた山頂近くでも観られた。
シラネアオイは、北海道から本州中北部の日本海側にかけての山地帯と亜高山帯のやや湿り気のあるところに分布している。けっこう垂直分布も広いようだ。
高さは20~30cm。花期は5~7月頃。花弁はなく、7cmほどの淡い紫色の大きな萼片が4枚ある。
日光白根山に多く、花がタチアオイに似ることから名付けられたが、日光白根山ではニホンジカの食害に遇い大きく数を減らしている。
順序が逆になったが、この日歩いた道をYAMAPの地図でご覧いただきたい。
コーヒーカップの印は休憩地点を示している。このうち肩の小屋の手前の2カ所はアイゼンの装着・脱着のため立ち止まったところだ。
谷川岳ロープウエイの天神平駅を出て、右手に行くと登山道が始まる。雪のある時期はいきなりの急登に感じるが、夏道は緩やかだ。
田尻尾根に取り付くところまで上がると、イワカガミ(イワウメ科イワカガミ属)が観られ出す。イワカガミも垂直分布の幅が大きく、山頂近くまで観られた。
登山道脇に、イワウチワ(イワウメ科イワウチワ属)が咲いていた。イワカガミと同じくイワウメ科の植物で、田中澄江の『花の百名山』では、大岳山を代表する花として紹介され、『新・花の百名山』では、雲取山を代表する花としても紹介されている。
北陸の低山では、4月上旬に観られる花だが、2ヶ月遅れて谷川岳で観られたのは嬉しかった。
紫色のスミレが咲いていた。スミレの名前はよく分からない。谷川岳にはタチツボスミレ、ミヤマスミレなどが咲くようだ。
花色、葉の鋸歯の様子が異なるように見える。
※スミレの名前は、順にミヤマスミレ、タチツボスミレだそうです。keitannさんから教えていただきました。
スミレについては、標高を上げると黄色いスミレも咲いていた。谷川岳ではオオバキスミレ、ナエバキスミレなどが見られるようだ。
※こちらも順に、ナエバキスミレ、キバナノコマノツメだそうです。keitannさんありがとうございました。
エンレイソウ(シュロソウ科エンレイソウ属)が咲いていた。
ムラサキヤシオ(ツツジ科ツツジ属)が咲いていた。
ムシカリ(レンプクソウ科ガマズミ属)が咲いていた。別名をオオカメノキという。花序の中心部に小さな両性花が集まり、その周りに白い装飾花がつく。
タムシバ(モクレン科モクレン属)も咲いていた。コブシに似るが、葉が細長く葉裏が白色を帯びる。また、葉芽の鱗片が無毛である点、花の基部に葉がつかない点、萼片が比較的大きく(花弁長の1/3から1/2)無毛である点などで異なる。
マイヅルソウ(キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属)もたくさん咲いていた。この辺りでは小さな虫が飛び交い、中には刺すものもいて、うっとうしかった。
片側が崖の所や、やや急な坂も現れたが、特に危ないところはなく、歩き始めて45分で熊穴沢避難小屋に到着した。
避難小屋には立ち寄らず、お花の種類も変わらなかったので、ややペースを上げて歩いた。
岩場の深くえぐれた道に、にアカモノ(ツツジ科シラタマノキ属)が並んで咲いていた。かわいい大好きな花だ。
近くに殻が茶色い大きめのカタツムリがいた。調べたらチャイロヒダリマキマイマイというようだ。左巻きのカタツムリは珍しいらしい。
鎖場を過ぎるとタニウツギ(スイカズラ科タニウツギ属)がきれいな花を咲かせていた。主に日本海型気候の山地の谷沿いや斜面に多く見られ、谷川連峰でもよく見られる。
途中、岩場に鎖があるところが数カ所あったが、登りでは使う必要がなかった。下りでロープを頼るところが1カ所あった。
昨年より鎖の数が増えたように思う。
岩場の途中で一度休憩した。近くに咲いていたのは、ナナカマド(バラ科ナナカマド属)と、ベニドウダンツツジ(ツツジ科ドウダンツツジ属)のようだった。
天狗の溜り場を過ぎるとガスが濃くなってきた。そろそろ雪の出てくる予感がした。
こんな高所でもウグイスやホトトギスがよく鳴いている。私は勝手にタカネウグイス、タカネホホトギスと呼んで、シタマチウグイス等とは区別している。
ダケカンバの周りでタカネウグイスが、ササ藪でタカネホトトギスが鳴いていたが、姿は見えなかった。この写真の中のどこかにいるかもしれない。
この辺りでよく観たのがミヤマキンポウゲ(キンポウゲ科キンポウゲ属)と、ミヤマハタザオ(アブラナ科シロイヌナズナ属)だった。
こちらは、恐らくシロバナノヘビイチゴ(バラ科オランダイチゴ属)だと思うが自信がない。数は少なかった。
シロバナノヘビイチゴは、日本では、本州の宮城県から中部地方まで、および屋久島に分布し、山地帯から高山帯下部の日当たりの良い草地に生育する。
根茎は肥厚し、枝はよく分枝し、長い匍匐枝を伸ばし、地をはう。
葉は根生し、長い葉柄をもった3小葉からなる。頂小葉は卵形から長楕円形で長さ2~5cm、各小葉は側脈が目立ち、縁には鋭い鋸歯があり、裏面には伏毛がある。葉柄と花茎に開出毛がある。
花期は5~7月。細い花茎の先端に少数の花をつける。小花柄の毛はやや斜上し、果時には湾曲して下向きに果実(果床)をつける。
花は白色で径15~20mm、円い花弁は5個で、萼片、副顎片も5個になる。雄蕊は黄色で長さ3~4mmになり、果実(果床)は花後に径1cmの球形から卵形になり、赤熟し、食用になる。
天神ザンゲ岩を越えて少し行ったところところで、いきなり雪が出てきた。ガスも濃くなった。ザックからアイゼンを出して装着した。
長くなったので、続きは『谷川岳お花見ハイキング - その②』 でご覧いただきます。
今回は、登山道からの景色と、登山道脇に咲いていた花々を順にご覧いただきたいと思う。
しかしながら登りの時間帯は、山にガスがかかり展望が効かなかった。そこで、ご覧いただくのはお花がほとんどになる。
先ず、天神平登山口からすぐの所に咲いていたのが、シラネアオイ(キンポウゲ科シラネアオイ属)だ。標高1900mを越えた山頂近くでも観られた。
シラネアオイは、北海道から本州中北部の日本海側にかけての山地帯と亜高山帯のやや湿り気のあるところに分布している。けっこう垂直分布も広いようだ。
高さは20~30cm。花期は5~7月頃。花弁はなく、7cmほどの淡い紫色の大きな萼片が4枚ある。
日光白根山に多く、花がタチアオイに似ることから名付けられたが、日光白根山ではニホンジカの食害に遇い大きく数を減らしている。
順序が逆になったが、この日歩いた道をYAMAPの地図でご覧いただきたい。
コーヒーカップの印は休憩地点を示している。このうち肩の小屋の手前の2カ所はアイゼンの装着・脱着のため立ち止まったところだ。
谷川岳ロープウエイの天神平駅を出て、右手に行くと登山道が始まる。雪のある時期はいきなりの急登に感じるが、夏道は緩やかだ。
田尻尾根に取り付くところまで上がると、イワカガミ(イワウメ科イワカガミ属)が観られ出す。イワカガミも垂直分布の幅が大きく、山頂近くまで観られた。
登山道脇に、イワウチワ(イワウメ科イワウチワ属)が咲いていた。イワカガミと同じくイワウメ科の植物で、田中澄江の『花の百名山』では、大岳山を代表する花として紹介され、『新・花の百名山』では、雲取山を代表する花としても紹介されている。
北陸の低山では、4月上旬に観られる花だが、2ヶ月遅れて谷川岳で観られたのは嬉しかった。
紫色のスミレが咲いていた。スミレの名前はよく分からない。谷川岳にはタチツボスミレ、ミヤマスミレなどが咲くようだ。
花色、葉の鋸歯の様子が異なるように見える。
※スミレの名前は、順にミヤマスミレ、タチツボスミレだそうです。keitannさんから教えていただきました。
スミレについては、標高を上げると黄色いスミレも咲いていた。谷川岳ではオオバキスミレ、ナエバキスミレなどが見られるようだ。
※こちらも順に、ナエバキスミレ、キバナノコマノツメだそうです。keitannさんありがとうございました。
エンレイソウ(シュロソウ科エンレイソウ属)が咲いていた。
ムラサキヤシオ(ツツジ科ツツジ属)が咲いていた。
ムシカリ(レンプクソウ科ガマズミ属)が咲いていた。別名をオオカメノキという。花序の中心部に小さな両性花が集まり、その周りに白い装飾花がつく。
タムシバ(モクレン科モクレン属)も咲いていた。コブシに似るが、葉が細長く葉裏が白色を帯びる。また、葉芽の鱗片が無毛である点、花の基部に葉がつかない点、萼片が比較的大きく(花弁長の1/3から1/2)無毛である点などで異なる。
マイヅルソウ(キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属)もたくさん咲いていた。この辺りでは小さな虫が飛び交い、中には刺すものもいて、うっとうしかった。
片側が崖の所や、やや急な坂も現れたが、特に危ないところはなく、歩き始めて45分で熊穴沢避難小屋に到着した。
避難小屋には立ち寄らず、お花の種類も変わらなかったので、ややペースを上げて歩いた。
岩場の深くえぐれた道に、にアカモノ(ツツジ科シラタマノキ属)が並んで咲いていた。かわいい大好きな花だ。
近くに殻が茶色い大きめのカタツムリがいた。調べたらチャイロヒダリマキマイマイというようだ。左巻きのカタツムリは珍しいらしい。
鎖場を過ぎるとタニウツギ(スイカズラ科タニウツギ属)がきれいな花を咲かせていた。主に日本海型気候の山地の谷沿いや斜面に多く見られ、谷川連峰でもよく見られる。
途中、岩場に鎖があるところが数カ所あったが、登りでは使う必要がなかった。下りでロープを頼るところが1カ所あった。
昨年より鎖の数が増えたように思う。
岩場の途中で一度休憩した。近くに咲いていたのは、ナナカマド(バラ科ナナカマド属)と、ベニドウダンツツジ(ツツジ科ドウダンツツジ属)のようだった。
天狗の溜り場を過ぎるとガスが濃くなってきた。そろそろ雪の出てくる予感がした。
こんな高所でもウグイスやホトトギスがよく鳴いている。私は勝手にタカネウグイス、タカネホホトギスと呼んで、シタマチウグイス等とは区別している。
ダケカンバの周りでタカネウグイスが、ササ藪でタカネホトトギスが鳴いていたが、姿は見えなかった。この写真の中のどこかにいるかもしれない。
この辺りでよく観たのがミヤマキンポウゲ(キンポウゲ科キンポウゲ属)と、ミヤマハタザオ(アブラナ科シロイヌナズナ属)だった。
こちらは、恐らくシロバナノヘビイチゴ(バラ科オランダイチゴ属)だと思うが自信がない。数は少なかった。
シロバナノヘビイチゴは、日本では、本州の宮城県から中部地方まで、および屋久島に分布し、山地帯から高山帯下部の日当たりの良い草地に生育する。
根茎は肥厚し、枝はよく分枝し、長い匍匐枝を伸ばし、地をはう。
葉は根生し、長い葉柄をもった3小葉からなる。頂小葉は卵形から長楕円形で長さ2~5cm、各小葉は側脈が目立ち、縁には鋭い鋸歯があり、裏面には伏毛がある。葉柄と花茎に開出毛がある。
花期は5~7月。細い花茎の先端に少数の花をつける。小花柄の毛はやや斜上し、果時には湾曲して下向きに果実(果床)をつける。
花は白色で径15~20mm、円い花弁は5個で、萼片、副顎片も5個になる。雄蕊は黄色で長さ3~4mmになり、果実(果床)は花後に径1cmの球形から卵形になり、赤熟し、食用になる。
天神ザンゲ岩を越えて少し行ったところところで、いきなり雪が出てきた。ガスも濃くなった。ザックからアイゼンを出して装着した。
長くなったので、続きは『谷川岳お花見ハイキング - その②』 でご覧いただきます。
shuさんの行動範囲の広さ、凄いです(@_@)
谷川岳のたくさんの花々、楽しませていただきました。
そしてシラネアオイ、イワカガミ、イワウチワ、オオバキスミレ、・・・
どれも毎年見に行くカタクリの里で、3月後半から、4月前半に見たんですよ(@_@)
(最近、自己満足ばかりでブログ書いてないんですが😰)
谷川岳では、今時期、咲くんだ、
いかに高い山なのかを感じます。
植物によっては、標高が100mほどの幅の中でしか咲かないものもありますね。
その花を見ると標高が分かるので、高度の目安になります。
一方、シラネアオイやイワカガミは、かなりの標高の差があっても咲いています。
しかし、当然ながら下の方では早く咲き始め、上に行くと遅い時期に咲き出します。
登山をしながら、そんなお花の咲き方を見ていくのも楽しいものです。
毎年行かれるカタクリの里。カタクリだけでなくいろんな山野草や、高山植物が楽しめるのですね。
谷川岳は今がお花のシーズンです。
白山や、日本アルプスの山々では、7月から8月がシーズンです。
私の山登りも、たいていはその山のお花の時期に合わせて出かけています。
どちらに行かれたのかと思っていたら、谷川岳だったのですね!
山の素人なので、谷川岳といえば遭難の多い山という印象しかなかったのですが、こんなに花の多い場所だったのですね。
さすがは高山、まるで季節が4月に遡ったようなラインアップ!
イワウチワまで見られるなんて素敵です♪
山に慣れておられるshuさんなので、ガスがかかる中、片方が崖の山道などを易々と行かれるのですね。
私だったら、写真を撮る余裕も無さそうです。
ところで、シロバナヘビイチゴらしき花、ちょっと見た雰囲気が違うように感じました。
花の見た目は、ビロードイチゴやニガイチゴなどのキイチゴの仲間によく似てる気がします。
谷川岳は「魔の山」として恐れられている一方、ロープウエイを使って手頃に登れる山でもあります。
私がこの山に登るのは4回目で、昨年は2度登りました。首都圏から電車でも行ける、近くていい山です。
蛇紋岩の山なので、お花に特徴があります。
明日はそれらのお花もご覧いただこうと思います。
最後に載せたバラ科の花ですが、やはりシロバナノヘビイチゴだと思います。
拙い写真で恐縮ですが、すぐそばに石ころが見えるでしょう?
高さはせいぜい20cmほどでした。
似た花を咲かせるノウゴウイチゴは、花弁が7~8枚なので違います。
谷川岳では、ノウゴウイチゴとシロバナノヘビイチゴの両方が生育しています。
本来、雄しべが黄色いのですが、この花はまだつぼみのようで、雄しべが見えません。
おはようございます。
山登りをしている頃
谷川岳と言えば、劔岳、穂高と並ぶ日本三大岩場の一つで、クライマーの憧れでした。
確か一ノ倉沢でしたか?
大岩壁があるのは?
と言っても上ったことのない山です。
今ではロープウエイで手軽に登れるのですね。
高山植物の宝庫でもあるのですね。
いつもながら羨ましい!
今でも一ノ倉沢ではクライミングが盛んです。
私はクライミングではなくハイキングです。今回もお花を見ながらの山行でした。
谷川岳は、至仏山や早池峰山と同じ蛇紋岩の山なので、お花の種類が独特です。
今回はそんな植物を探しながらの山行でもありました。
山はまるで知らない私ですが、こんなに沢山のお花を見せて頂くと嬉しくなります。
皆さんの投稿のおかげで、知っている花も幾つかありました。
イワカガミ、イワウチハは綺麗ですね。
霧の中や恐ろしそうな岩、花の写真を撮られるshuさんは凄いです。
カタツムリはちょっと大きくて不気味です。^^;
雪が出て来たのには驚きました。
明日はどんなお花を見せて頂けるでしょうか。
雪解け直後が、高山植物にとっていちばんいい季節です。
毎年同じ山に行くと、今年のあのお花はどうだろう・・と気になります。
まだ行ったことのない山もいいものです。
たいてい、何かの大切なお花を見逃して、下調べが不足したことを悔やみます。
今年はこれから初めての山へ出かけます。
お花は仮に見逃しても、事故だけは遇わないよう、準備をしたいと思います。
来月のクロスワードは、久しぶりに高山植物です。
タイトルは「谷川岳お花見ハイキング」なのですね。
谷川岳というと、天候の変化が厳しい山というイメージです。
お花見ハイキングという、タイトルとのギャップに驚きました。
私もshuさんのお陰で、多少は高山植物を知るようになりました。
今回登場した中で、イワカガミはよくわかります。
タニウツギもスイカズラ科なので、花のイメージはわかります。
色々の種類のスミレの花も見られるのですね。
その他の花は、すべて私には初めて目にするものばかりです。
今回も、私が日頃見ることのできない多くの高山植物の数々、
詳しい解説と美しい写真で、楽しむことができました。
ありがとうございました。(^.^)
タイトルは『谷川岳お花見ハイキング』です。実際、お花を見ながら登山道を歩いてきました。
谷川岳は、仰るとおり天候の変化が大きい山です。
この日も、前橋市を通過したときは、上空に一つも雲がありませんでした。
赤城山も榛名山も、山頂までよく見えました。
ところが、谷川岳は雲の中でした。
その理由は、谷川岳が本州の脊梁山脈の一角であり、日本海側の天気にも太平洋側の天気にも影響を受けるからです。
実際、この日は一時晴れ間が出たかと思うとすぐに曇り、下山後は雨が降り出しました。
とても天気が変わりやすい山です。
今日はまだ高山植物らしい花は僅かでした。
明日は、もっとたくさん出てきますので、楽しみにお待ちくださいませ。