老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
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“札束で頬をはる”原発行政 

2020年10月11日 19時54分41秒 | 原発関係

◆受入れ手がなかった、高レベル放射性廃棄物(いわゆる、「核のゴミ」)の最終処分地の建設立地の選定手続きの第1段階である文献調査に対して、北海道の泊原発の近くの寿都(すっつ)町と神恵内(かむえない)の二つの自治体が受け入れ表明をしたことが大きな関心を呼んでいます。

 北海道の鈴木知事は道条例で「核抜き」を明記している事もあり両自治体に対して慎重な判断を要求したが、両自治体の議会が決定したことを受けて、「議会の議論を尊重する」と述べ文献調査については受け入れる意向を示しました。

 両自治体共に泊原発に近いだけに、今迄も原発関係の交付金を受けてきましたが、急速に進む過疎化や地場産業の衰退に伴い、将来への活路を開くためにも今回の受け入れ表明となったようです。

 因みに、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定の建設立地の文献調査を受け入れれば、最大20億円もの交付金を受取ることが出来ますし、その次の概要調査まで進めば、更に70億円の交付金と言う、財政苦にあえぐ自治体には正に魅力的な餌が用意されています。


◆そもそも、原発については、その危険性も大きな原因となり、電力の消費地である大都会近辺での立地は無く、当初から過疎地での立地となっていますが、立地受入れの自治体に対しては、手厚い交付金制度で優遇をしています。

原発立地に関する主な交付金は、チョット調べてみるだけで下記がありました。
・電源立地特別交付金
   原子力発電施設等周辺地域交付金 (着工から運転終了まで)
   電力移出県等交付金       (着工翌年から運転終了まで)
・原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金(運転開始翌年から運転終了まで)
・電源立地等初期対策交付金     (立地可能性調査から運転開始まで)
・電源立地促進対策交付金     (着工から運転開始5年後まで)

 更に、これに加えて原発関連施設の固定資産税や、電力会社からの各種寄付金など過疎化に喘ぐ自治体には非常に魅力的なものがあります。

 現在の原発立地並びに周辺自治体はこれらの交付金を受けて潤ってきましたが、原発の停止や廃炉決定などで将来に対する自治体財政の悪化に対する危機感を持っているようです。

 更に、これらに自治体は、莫大な交付金で不似合いなほど立派なハコモノを造り、その後はその維持費用やメンテ費用の捻出に苦労しているという話も良く聞きます。


◆一方、原発稼働に伴って発生する各種の放射性廃棄物については、原発立地自治体ではそのまま受入れは拒否し、県外への搬出協定を電力会社と結んでいる所が殆どです。
この結果、原発に伴う各種放射性廃棄物に関しては、まだ処分地や処分方法が決まらないまま、原発施設内に仮置きされているのが実情でしょう。


◆また、未だに実現性の少ないままに政府が推し進めている、核燃リサイクル政策については青森県六ケ所村にて使用済み核燃料の再処理を行うことは決めたものの、青森県もこれに伴い発生する高レベル放射性廃棄物については、同県内での最終保管を拒否しており、政府としてはこの処分地の建設場所を懸命に探しているわけです。

 

 以上、大まかな経過ですが、原発については立地/廃棄物処分共に、人口密集地ではリスクがあり過ぎるので、財政困難に喘ぐ過疎地自治体を狙い、まさに北海道の鈴木知事が言われるように「札束で頬をたたく」ようなやり方でしか進めようがないのが我が国の原発政策の一面でしょう。

 特に福島第1原発での過酷事故以降は、原発に自ら協力する自治体は無くなっており、この体質はますます進んでいるのでしょう。

 その結果として、関電と福井県高浜町元助役の間で起こった様な、余りにも酷い金さえ出せばどうにでもなるという醜い金権体質が、原発に関わる人達の間にはびこっているのは歪めない事実でしょう。(まさ)

※ この項は、WIKIPEDIA/毎日新聞(10月9日)、並びに「原発マネーの自治体財政への影響」(http://www.jichiro.gr.jp/jichiken_kako/report/rep_hyogo34/02/0224_jre/index.htm)を参照させて頂きました)


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