前回の記事で、オプソ(モルヒネ塩酸塩の速放製剤)の空包の処理はどうしているのか、という質問を投げかけさせていただきました。
実は、これに関しては、ずっと感じていたことがありまして。
医療用麻薬の管理は、非常に、非常に厳密さを要求されているところです。
緩和ケア病棟のように、大量に医療用麻薬を扱う部署では、管理の方法は手馴れているところがある一面、
緊張感に欠けてしまうときがあり、トラブルを起こすと、ぞくぞくっとするくらい、怖さを感じるところがあります。
医療用麻薬の管理については、これまで、いくつかの病院に勤務してきましたが、病院の決まりごと(実際は、薬局または薬剤部の決まりごとなのでしょうか)に従ってきました。
ところが、
今の病院に来て、疑問に思うことがでてきました。
それが、
オプソの管理です。
前病院では、オプソの空包は廃棄していました。
つまり、使用が終わると、ゴミ箱に「ぽいっ」していたのです。
今の病院では、オプソの空包は、医療用麻薬の空アンプルのように厳密に扱われていて、空包まで置いておいて、数を合わせて薬剤部に返却しないといけないのです。
ですから、空包が足りないと、「事故届」を提出することになります。
でも、
事故届が必要なくらい重大なことなのに、どうして施設間で違いがあるの?という疑問をずっと持っていました。
私は、これまでずっと、自治体によって医療用麻薬の管理は違いがあるのだと思っていました。
それが勘違いだったと気が付いたのは、厚生労働省と自治体が主催する講習会に参加した時のことでした。
厚生労働省のお役人さんと、県の薬務課のお役人さんがいらっしゃる場でしたので、率直に質問させていただきました。
どうして、オプソの管理が施設によって違うのか、それは、自治体によって違うものか、と。
そしたら。
モルヒネ塩酸塩のような空アンプルについては、返却は絶対ですが、オプソの空包については、返却しないといけないという規則はない、とのことでした。
座長さんからいただいたコメントとしては、
「それは、薬剤部のやり方によるものでしょう」とのことでした。
あららーーーー。
私の不勉強。
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そうなんやーーーー。
それって、薬剤部のやり方だったのだーーーー。
座長さんの気配りで、会場の参加者のみなさんに、オプソの空包を返却しているか、廃棄しているかを挙手してもらうように質問してもらえました。
ざっと見積もって、
返却しているが30%くらい、廃棄しているが70%くらいだったでしょうか。
ここで、オプソの管理について思うことを挙げてみます。
1)オプソの空包は捨ててもよいものなのに、保管しておかないといけないと厳密に管理することは現場に必要以上の緊張感と負担感を強いる。
2)捨ててもよいものなのに、保管できていないことによって、「事故届」を求められることによって、管理できていないという烙印を押されるような気持ちになる=医療用麻薬の事故は、事故を起こした者にとっては「超・へこむ」できごとです。
3)捨ててもよいものは捨てて、医療用麻薬の保管の規則に則って、保管しないといけないものに対する労力を注ぐべきではないか。
4)オプソの空包の管理(=勤務帯ごとに員数点検すること)の時間と手間がかかる(これは現場の看護師が一切を負っています)=本来は必要ないことに労力を注ぐことになる
5)オプソの空包を保管しておくと、空包に残った薬液が保管の容器に漏れ出して、容器がべとべとになったり、夏場はカビが生えていた=非常に不清潔
6)空包の数を数えるときに、手に薬液が付着して、べとべとになる。
以上のことは、自分が思う問題点ばかり挙げましたが、さらに思うことがありまして。
オプソの管理については、病院によって違いがあるとはいえ、決まりは決まりなので、決まりを守れないこと自体に問題があるのではないか、ということも気になるところです。
実際に、当病棟では残念ながら、医療用麻薬の事故がちらほら起こっています。
リスクマネジメントの観点から、事故を起こさないために規則を厳しくして、事故を起こした時には厳密に処理されることによって、抑止力を働かせて事故を防ぐといったことも、方法のひとつかもしれません。
しかし、事故防止のために、抑止力を強めて、単にそれに従うといった方法は、よい方法とは思えません。
実のところ、私は医療用麻薬の管理については、不当に負担感を負わされているといった感覚があります。
そこのところは、自分の考え方と、薬剤部や部署のスタッフとの感覚のずれがあります。
このことについて、深く考えている看護師は全くいません。
医療用麻薬の取り扱いについては、病棟独自のマニュアルを作っていつでも確認できるように、ファイルも作成しました。
事故が起こらないように、注意を喚起する意味で、迷った時に、いつでも思い返せるように、ファイルを作成しました。
そして、医療用麻薬の管理について、トラブルが起こると話し合いを持つようにお願いをしましたが、そのお願いに対する反応がありません。
ファイルを見てくれる看護師は皆無です。
(ほぼ、関心ゼロ)
とほほーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ。
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医療用麻薬の管理が十分に行われていないところは、そこが問題だと思っています。
ですから、
自分の部署での医療用麻薬管理について思うところは。
1)薬剤部が現場での医療用麻薬の管理方法について現場任せにせずに、薬剤部も実際的に参加すること。
2)看護師は医療用麻薬の管理について病院の規則に単に従うだけではなく、規則の「根拠」、医療用麻薬の管理方法そのものに関心を払うこと。
できるだけ客観的に、医療用麻薬、つまりオプソの管理について記載したつもりですが、実際には施設全体の体制の問題が根本にありまして、うまくいかないのは避けられないと思っています。
(きっと、自分がどう働こうが、うまくいかないということ)
この類のことって、「うちの病院の信じられないこと」はどこの病院にもあることと思っています。
病院という組織は、医療用麻薬の管理に限ったことではなく、人の命、人の人生を扱う非常に繊細な組織であるにもかかわらず、そこのところに非常に無頓着な、非情なものが存在します。
あれ。
ちょっと、本題とずれてしまいましたね。
ぼそっ…と、
私の言いたいことというのは、医療用麻薬の管理は、病院の医療用麻薬管理に関する責任者とスタッフの考えによって、管理の方法が違うので、そこのところをまずは把握しておこう、というところでしょうか。
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