緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

ありがたみを、今さらに感じる

2013-10-22 18:54:37 | 触れ合ってくださる人々

 現在、自分が所属している病院、そして緩和ケア病棟は、お世辞にも時代の流れに乗っている病院ではないと思っています。
 (ごめんなさい)

 ハード、ソフトの面において、このままじゃ、あかんでーと思うこともしばしばあります。
 
 同じ業務を行うにしても、効率的に行える職場とそうではない職場があるのだと思い知らされました。
 入職した当初は、いえ、今も。
 どうしてこんなにしんどいのだろうと思っています。

 そうそう。 
 効率に大きく関与するのは、看護師が本来専念すべき業務に専念できることと、看護師以外のチームメンバーの力を借りることができること。
 これは、看護師の…そして、病院全体の業務の効率化には欠かせないのではないかと思います。

 


 ここにきて、思うことが膨らんできました。


 

 私、今までの環境に、ある程度、感謝してはいたものの。
 いえ、本当の意味で感謝できていなかったのだろうと。



 心が痛みます。




 私が、今、あらためて、心の底から感謝しなくてはならないこと。



1. 薬剤師さん
 これまでの病院は薬剤師さんが定期的に処方される内服薬については、薬の入っているカートにセットしにきてくれていました。
 薬剤師さんの人数不足にもかかわらず、薬局の幹部の皆さんは、必要性を理解してくださり、一般病棟との兼務でしたが、緩和ケア病棟専属の薬剤師さんのポストを作ってくださいました。
 おかげで、薬剤師さん全員の顔をしっかりと認識しながら仕事をすることができました。
 薬剤に関する相談に関しては、尋ねると全力で、かつ、速攻で返答をしてくださいました。
 反対に、尋ねられることもありました。
 双方向のやりとりは、結局、自分にとってかなり実りのあるものになりました。

 今。
 内服薬はすべて、看護師が毎日、セットして、輸液のセットも看護師の業務。輸液のボトルに患者さんの名前と内容をペンで記載している状態です。
 これは、かなりの業務の時間のロスです。
 そして、ほぼ、管理は看護師に任されてしまっているところが、怖くもあります。
 薬剤師さんが病棟に現れることはありません。
 薬剤師さんのお名前も知る由もなく…。

2. リハビリスタッフの皆様
 緩和ケア病棟にリハビリの専門職が介入をしても、今のシステムではコストに反映することができません。
 しかし、以前の病院では緩和ケア病棟の患者さんにも緩和的なリハビリは必要だと、リハビリ部門の管理者がしっかりと認識してくださり、緩和ケア病棟にリハビリに来てくださっていました。
 困ったな、と思ったら、すぐに電話をして質問できる。
 PT(理学療法士)さんは忙しい中、定期的に来てくださっていました。リハビリをしながらコミュニケーションもとってくださるので、カルテの記載はとても参考になります。
 OT(作業療法士)さんは日常生活の細かい動作の工夫にかなり協力してもらいました。
 便座の高さを調節できないか、ナースコールを押しやすくするにはどうしたらいいか、楽しみをもって手先のリハビリをする協力をしてもらえないか…。
 無理難題もありましたが、いつも速攻で応答してくださいました。
 なにより、ST(言語聴覚療法士)さん。
 かなり、人手不足であるにもかかわらず、合間をぬって、発声や嚥下の評価や訓練に協力してくださいました。
 
 リハビリスタッフの熱意にはいつも脱帽でした。
 どうして、全くお金にもならない部署で業務をしてくださるのかしら…。
 首をかしげたくなるくらい。
 
 これには、リハビリ部門のボスの人間味が大いに影響しておりました。
 私、リハビリ部門のボスのことはとても信頼しておりましたから…。

 
 今。
 リハビリ部門のみなさんとの接点はありません。
 リハビリは看護師が「ぼちぼち」やっていますが、十分ではありません。
 もう少し、リハビリさんに協力してもらえれば、患者さんのQOLも変わるのではないだろうか…と思えるところが多々あります。
 しかも、STさんはいません。


3. 事務のスタッフ
 主たる委員会や部会のメンバーには必ず、事務のスタッフがメンバーとして参加しています。
 事務部門のみなさんも忙しいにも関わらず、知りたい統計情報があれば、ちゃんと整理して資料を提供してくれたり、会議録を作成して回覧できるようにしてくださっていました。
 
 今。
 事務部門の方々との接点は、病棟専属の方以外はありません。
 しかも…。事務方のスタッフの接遇がとても気になっています。
 だって、挨拶をしても挨拶を返してくれない人がとても多いからー。




 以上の記載以外にも、放射線技師さん、栄養士さん、お掃除のスタッフ、介護部門のスタッフなどなど、かなりの方々と一緒にお仕事をさせていただきました。




 今。
 もちろん、自分の今のポジション(=ただのスタッフ)では横断的に活動ができないのは当たり前ともいえますが、それにしても、なんと、横のつながりが薄いことよ…。


 この頃、「ああ、こんな時には〇〇さんに相談していたなぁ」ということに多々遭遇するので、思わず、回想してしまいました。


 




 現状に不満を言いたいわけではありません。 
 仕方ないです、そんなにすぐに、システムもスタッフの認識も変わりませんから。

 
 
 本当に、今まで、自分は恵まれていたのだなぁ…と、実感。
 日々、感謝していたつもりだけど、離れてみると皆さんの存在の偉大さを実感。
 離れてみると…なーんて、まるで恋愛みたいじゃぁあないかっ。
 



 ぼそぼそ…。


 施設によって、やっぱり、患者さんの生活の質は変わってくるものだなぁ…。




 さあ。
 明日も、「現状」と向き合いながらの仕事の始まりだっ。

 

ウエディングベール

2013-10-07 22:10:05 | 緩和ケア病棟

 患者さんの誕生日のお祝いパーティをスタッフが計画してくれました。


 患者さんの誕生日と、奥さんの誕生日が同じ日と聞いて…。
 お祝いパーティのお手伝いを何かしたいと思いました。


 ・・・・ということで。

 
 奥さんへのプレゼント。





 病棟にあるガーゼでウエディングベールを作ってみた。
 ガーゼは白くて薄い生地だから、結構、いけたっ。



 
 自分も着用してみて、着け心地をかくにーん。


 パーティの脇役として活躍しましたー。



 


 
 裁縫の才能がもう少しあれば…と思いましたが、これはこれで、


 ま、

 えっか。

 

生きるって大変なことやわぁ

2013-10-04 16:09:14 | 日々の「ケア」

 終末期のがん患者さんのお世話をさせていただいていると、必ず死というものに向き合わなくてはなりません。

 それは、患者さんやご家族が向き合うという意味もありますし、
 なにより、私たち、医療者も同じように死と向き合わなくてはなりません。



 
 いろんな文献を読みながら、自分のこれまでの経験を思い出しつつ、そして、目の前にいる患者さんの生き様から学ばせていただきながら、
 自分の命の限りが近づいてきていることが確実になった人の心の在り様ってどんなだろう?ということを感じとらせていただいてます。


 自分が感じ取っていることは、目の前の患者さんが経験し、感じていることとは比べ物にならないくらい、些細なものであることは自覚しています。




 私は、目の前にいる患者さんにはなれない。
 だから、患者さんのことはちゃんと理解することはできないだろう。


 この気持ちも大切だし、


 私は目の前にいる患者さんにはなれないけれど、
 患者さんの気持ちを知ろうとすることはあきらめないでいよう。


 この気持ちも大切だと思います。



 「こんな状態で生きていて、何になるっていうんですか」
 「こんな状態なら、死んだ方がましです。みんなに迷惑をかけてしまって」
 「こんなにナースコールを鳴らしてしまって、みなさんに迷惑をかけていることはわかっています。だけど、押さずにはいられないんです」
 「何も悪いことをしていない私が、何でこんな目に合わないといけないんですか」
 


 こんな患者さんのお気持ちを聴かせていただくことは多々あります。


 教科書的には、こんな患者さんの気持ちを聴くときには、
 「そんな風に感じておられるのですね」と言うとよいですよ、と書いてあります。
 
 確かに、その一言は患者さんの気持ちを受け止めるうえでとても大切ですが、じゃ、その先は何と会話すればいいんでしょう。


 これがとても悩ましいのです。




 教科書にはこう答えようと書いてありますが、私はそんなときの会話は、患者さんと自分の関係性や状況などなどを考えると、『患者さんを思う気持ち』、『患者さんを思いやる気持ち』があるのなら、正解は決められないと思っています。




 だから、私はいつもこう言ってしまいます。




 「生きるって、大変やなぁ。」
 「自分と付き合うって、大変やなぁ。」




 患者さんは言います。



 「そうなんよぉ…。」




 最近、病棟が激しく忙しくて、自分の気持ちの余裕が崩壊しつつある今日この頃。


 

 終末期のがん患者さんのお手伝いをしていると、自分自身を振り返らざるを得ないことが、趣深くもあり、もどかしさも感じます。



 生きるって、大変なことやわぁ。