「スキルの向上だけでは解決しない根本的な資質というものがあると思うのです。患者に対して関心と気遣いを寄せられるかということです。」
*池田優子*
ああ。これ、これ。そうそう。
この言葉に出会った時、本当にそう思った。
医療者って、患者さんでありご家族である「人」に寄り添い、その人の人生とともに歩ませていただいているといってもいいと思います。
いくら、文献に書いていることをうまく解釈できて人に説明できて、または「こう書いてあった」って記憶していても、その文章に含まれている「意味」理解して、自分なりに相手に合わせながらケアを提供できないとしたら、それは医療者としてあまりにもさみしすぎると思います。
私は、どんなにたくさん知識があっても、どんなに素敵な理論を知っているとしても、ケアの根本に自分を含めて「その人らしい」ものがないものは本物じゃないと思っています。
あ、知識や理論も大切ですよ。
でもねー。
人の人生に触れさせてもらって感じることは、案外ケアの中には、言葉にできないことも多いのではないでしょうか。
そこんとこを無理に言葉にしようとすると、「その人らしさ」が消えてしまう。
あまりにも言葉を駆使しすぎると、かえって違和感を感じたり、時には温もりのないものになってしまうのではないかとも思うのです。
患者さんやご家族、さらにはチームのメンバーである医師や看護師と時間をともにし、その場面で一緒にいる(=業務以外でもね)ことで、言葉を超えて伝わってくることや自分が言葉にしなくても伝わっていることってあると思うんですよね。
だから、看護も面白いのだと思います。
ここんとこ、緩和ケア病棟であっても、緩和ケア病棟だからこそ、この「関心や気遣いを寄せること」についてスタッフに伝えるにはどうしたらいいのだろうっていつも悩みます。
人の死を目の当りにする仕事ってとっても精神的には負担が大きいと思うけれど、人はみんな生きる力を持っていることを信じ、自分が経験したことの中に、必ずいろんな意味が含まれていることに気が付くと、救われるものではないでしょうか…。
業務をこなすだけの仕事は、看護そして医療だけではなく、どの仕事だってつまらないと思います。
「関心や気遣いを寄せること」は、まさに、患者さんやご家族が求めているものだと思います。