緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

関心と気遣いを寄せること

2013-05-13 23:54:33 | 言葉

「スキルの向上だけでは解決しない根本的な資質というものがあると思うのです。患者に対して関心と気遣いを寄せられるかということです。」
*池田優子*



 ああ。これ、これ。そうそう。
 この言葉に出会った時、本当にそう思った。




 医療者って、患者さんでありご家族である「人」に寄り添い、その人の人生とともに歩ませていただいているといってもいいと思います。


 いくら、文献に書いていることをうまく解釈できて人に説明できて、または「こう書いてあった」って記憶していても、その文章に含まれている「意味」理解して、自分なりに相手に合わせながらケアを提供できないとしたら、それは医療者としてあまりにもさみしすぎると思います。


 私は、どんなにたくさん知識があっても、どんなに素敵な理論を知っているとしても、ケアの根本に自分を含めて「その人らしい」ものがないものは本物じゃないと思っています。
 
 あ、知識や理論も大切ですよ。
 でもねー。




 
 人の人生に触れさせてもらって感じることは、案外ケアの中には、言葉にできないことも多いのではないでしょうか。
 そこんとこを無理に言葉にしようとすると、「その人らしさ」が消えてしまう。
 あまりにも言葉を駆使しすぎると、かえって違和感を感じたり、時には温もりのないものになってしまうのではないかとも思うのです。


 患者さんやご家族、さらにはチームのメンバーである医師や看護師と時間をともにし、その場面で一緒にいる(=業務以外でもね)ことで、言葉を超えて伝わってくることや自分が言葉にしなくても伝わっていることってあると思うんですよね。

 だから、看護も面白いのだと思います。




 
 ここんとこ、緩和ケア病棟であっても、緩和ケア病棟だからこそ、この「関心や気遣いを寄せること」についてスタッフに伝えるにはどうしたらいいのだろうっていつも悩みます。
 
 人の死を目の当りにする仕事ってとっても精神的には負担が大きいと思うけれど、人はみんな生きる力を持っていることを信じ、自分が経験したことの中に、必ずいろんな意味が含まれていることに気が付くと、救われるものではないでしょうか…。




 
 業務をこなすだけの仕事は、看護そして医療だけではなく、どの仕事だってつまらないと思います。
 

 「関心や気遣いを寄せること」は、まさに、患者さんやご家族が求めているものだと思います。




 

自分が励まされている

2013-05-10 04:08:09 | 日々の「ケア」

 今の病院に入職して5ヵ月が経ちました。

 今はぼちぼちと業務に慣れてきました。

 

 相変わらず、自分の今後の行く末というのは見えないままなところも多々あるのですが、ちょっとずつ、今の病棟…いえ、病院が見えてくるようになりました。
 

 今までは日勤だけの仕事のパターンでしたが、夜勤をするようになって、業務の合間にスタッフちゃんといろんなお話ができる機会ができました。
 夜勤の時って、なんでしょ、お相手のいろんな話を本音でもって聴くことができるとってもいい機会だと思っています。


 特に、若い子(あ~~、私はおばちゃーん)と一緒に仕事をするときにはお話をするのが楽しみになっています。

 「もっと、私、がんばらないと」と思ってくれているスタッフちゃんが多くいてて、本当に嬉しい限りです。

 
 ただ、今の病棟は残念ながら、その気持ちをしっかりと育める病棟には届いていないような気がしてなりません。
 いくら自分が属している病棟とはいえ、とっても病棟に対して失礼な評価かもしれませんが、本気でそう思います。
 
 10人いたら、10人分の知恵しか活かせていないと思っています。
 10人いたら、もっともっと、10人よりも多くの何かよいものが生まれるはずと信じているからそう思います。


 
 この前の夜勤の時にも病棟で一番フレッシュなスタッフちゃんと一緒にいろんなお話をしました。
 
 彼女は、「自分はだめだ、緩和ケア病棟でいてていいんだろうか」とずっと悩んでいて、自分のケアが「イケテナイ」と日々落ち込んでいたのでありました。
 そんな彼女の話を聴いてみると、実に彼女は自分のことをしっかりと見つめることができていると思いました。
 「イケテナイ」理由がちゃんとわかっているから、後は彼女がどうするかだけだなって思いました。
 


 ポンとしましては、今の緩和ケア病棟を辞して、一般病棟で経験を積んでみることもいいのではないかという提案もしました。
 彼女の悩みの根幹は、「自分には看護の基礎が足りないのではないか」ということだったからです。


 ポンはできるだけ、彼女と夜勤をするときには、基本的な知識や技術、緩和ケアでは普通にやっていることだけど、一般病棟ではこうするかもしれないということなどなどを伝えるようにしました。


 ポンが伝えている内容って、なんてことない内容なのですがね。
 それでも、彼女は「へーーーー」と言いながら聴いてくれます。
 おい、そこんとこを、「へーーーー」と言いながら聴くのか?
 おいおい・・・ってこともありますが…。

 かわいいですわ…、初々しくて。



 そして、今、彼女はもう一度、緩和ケア病棟で基礎からちゃんとお勉強ができるようにがんばってみる、という気持ちになってくれています。
 「ポンさんと、もうちょっと一緒に仕事をしてみます」と。


 へ~~~。
 なんと、うれしいお言葉。
 

 人を支えつつ、実は自分がぼろぼろな状態ではあるのですが…。
 でも、働きたいと思える職場を作らないとと、前の職場を辞めるときに心に誓ったことです。
 ほんのちょっとからでもいいから自分からできることはやらないとと心がけてきた…つもりです。

 だからー。
 なんと嬉しいお言葉でしょ。
 


 そんなお言葉を頂いている自分の方こそ、かなり励まされているところがあります。
 
 
 ちょっとずつ、ちょっとずつ、歩んでいくことにします。