ドッグフード原材料シリーズ、今回は初のドライではないタイプのフードです。
ニュージーランドのフードですが、日本ではブッチ・ジャパンとして日本法人を立ち上げて販売しており
独自の公式通販サイトも運営しているので並行輸入品の心配はないですね。
(冷蔵タイプの製品なので、並行輸入するのは元々無理がありますが)
↑このように、ビニールのパッケージに調理したフードが詰められた、ソーセージみたいなタイプのフードです。
水分量は一般的な缶詰フードよりもやや少なめくらいでしっとりしています。
アメリカではこのタイプ、常温保存のものはニコを飼い始めた頃には既に普通に売っていました。
その後ブッチと同じような冷蔵タイプ=保存料を使っていないものが、
ショップに専用冷蔵庫を設置して販売されるようになったのが10年くらい前だったかな?
だんだんと人気を伸ばし、この数年ですっかり定着した感じです。
「ソーセージみたいなフードおいしいよね〜 ニコ大好き」
ニコは基本的になんでも大好きだけどね。
では原材料を見てまいりましょう。
製品の種類は、ビーフ・ラム・チキンがメインのブラックレーベル、
チキンがメインのホワイトレーベル、チキンと魚がメインのブルーレーベルがありますが
「迷ったらブラック」とメーカーが推しているブラックを取り上げました。
ビーフ33%、ラム25%、チキン18.5%
2%以上~10%未満【フィッシュ(サバand/or マグロ)、
野菜類(ニンジン、コーン、エンドウ豆)、大豆、ココナッツ、米(破砕・ゆで)】
1%~1%未満【凝固剤(カラギーナン、ローカストビーンガム、カシアガム、グアーガム)
ケルプ、天然香料、ビタミン・ミネラル類(ビタミンD,E、Ca、塩化コリン、タウリン、亜鉛、
鉄、チアミン、銅、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、葉酸)】
表記の仕方が、一般的なフードとちょっと違っていて戸惑いますね。
使用されているビーフ、ラム、チキンは全て生の肉でミール類は一切使われていません。
3種類の肉を合計すると76.5%、フード全体の76.5%が肉だということですね。
このフードは原材料がヒューマングレードであることがセールスポイントでもあります。
また低温加熱で調理されているとのことで、アミノ酸の損失が少ないのも嬉しい点です。
サバまたはマグロまたはサバとマグロの混合、これも生の魚が使われているのでオメガ3脂肪酸源として期待できます。
野菜類としてにニンジン、コーン、エンドウ豆、このラインナップ...冷凍ミックスベジタブルと同じですね。
コーンは一般的には穀類とされるので、野菜類に含めるのは無理があると思います。
動物性タンパク質に関してはこだわりが感じられるフードですが、植物性の原材料については
そういう熱意は感じられないですね😅
その次の大豆というのも、これだけしっかりと動物性タンパク質が使用されているのに、
なぜ大豆を使う必要があるのかもちょっと疑問。
ココナッツと書かれているのはココナッツの果肉だと思われます。
ココナッツオイルの効能が取り上げられるようになって久しいですが、果肉も同じ効果が期待できます。
免疫力の調整を助け抗炎症作用のあるラウリン酸を含み、膵臓に負担をかけにくいエネルギー源でもあります。
米は破砕と書かれているので、保管や輸送の際に割れたり欠けたりして底に溜まった部分です。
ブリュワーズライスと呼ばれるものですね。炭水化物源となります。
上記のサバ〜米までが【カッコ】で括られて、2%以上〜10%未満と書かれているのは、
このカッコの中の原材料はそれぞれ2〜10%の間の割合で含まれているということです。
(ニュージーランドのサイトではそれぞれに何%含まれているのかが表記されています。)
そしてその次のカッコの中の原材料はそれぞれ1〜1%未満ということですね。
このグループの一番最初の凝固剤は常々議論の的になる添加物でもあります。
肉や野菜を筒状にしっかりと固めるために使われているのですが、中でもよく話題になるのはカラギーナンです。
カラギーナンは紅藻類と呼ばれる赤い海藻から抽出して作られた多糖類の一つです。
人間用の食品でもアイスクリームやちくわなどの練り物、ドレッシング類など多く使用されています。
しかしカラギーナンは発がん性を指摘する報告や胃潰瘍との関連を懸念する声もあります。
そのためカラギーナンが使用されているペットフードを「危険な原材料使用」という意見もあるのですが
人間でもペットでもカラギーナンが理由だと考えられる健康被害は報告されていません。
カラギーナンの後に続くものも用途は皆同じで、これらはまとめて増粘多糖類とか増粘安定剤と表記される場合もあります。
種類の違うものを混合して使うことで粘性や弾性に変化が出ます。
ローカストビーンガムというのはキャロブの種子から抽出した増粘多糖類です。
キャロブはチョコやココアの代用となるため、犬用ケーキなどにもよく使われています。
カシアガムもマメ科の植物エビスグサの種子から抽出した同類のものです。
グアーガムもグアーというマメ科の植物の抽出物です。
どれも植物性の抽出物で食品から摂取する分には安全だと言われています。
一応、危険だとする声もあると書いておきますが、私自身はあまり気にしていません。
ケルプは昆布です。ヨードの摂取源となります。
そして最後に並んでいるビタミンとミネラル類。
なぜかビタミンAとB群の記載がありません。しかし内臓肉が使用されているという表記もないし
成分分析値を見るとビタミンAやB群もちゃんと含まれている。
ミネラル類でも同様にカルシウムやマグネシウムといった基本的なミネラルの記載がないのに
成分分析値ではきちんと数字が上がっています。
ニュージーランドの公式サイトを見たところ、ビタミンA,B,カルシウム,マグネシウムなどはきちんと記載されていました。
これはちょっと基本的なミスですね。残念なところです。
「それで?おかーさんはどう思うの?」
ブッチではないのですが、このような冷蔵タイプのフードは私も時々利用します。
使い勝手も良いし、犬たちも喜んで食べるのでね。
このブッチのフードは肉や魚中心のシンプルなレシピなので、野菜やハーブなどをプラスするなど工夫し易いし
ドライフードよりも加熱の度合いが低いため、アミノ酸の損失や吸収への影響も少ないですね。
冷蔵タイプなので保存料や酸化防止剤不使用、遺伝子組み換え原料不使用なども嬉しい点です。
手作り派の方には、ちょっと物足りない時や栄養バランスが悪いなと思う時のトッピング用にも重宝です。
開封後は小さく切ってジップロックやタッパーで冷凍しておくと便利です。
ただ上にも書いたように、公式サイトに書かれている情報が甘い点は気になるところです。
少人数の日本法人が立ち上げられたばかりで、きっと業務に追われているところだと想像しますが...。
日本ではこのタイプのフードは出始めたところですが、選択肢として今後増えていくといいですね。
《参考》