週に2度ほど買い物に行く
たいてい色々まとめ買いして大荷物になる
帰り道、運転しながら
「あ〜またニコが大荷物を見て喜ぶな」と思うのが習慣だった
車のエンジンの音が聞こえたら窓辺に飛んで行って
私の姿が見えるのを今か今かと待っていたニコ

買い物袋を覗き込んで確かめるのもお約束だった
多分ニコは私のことを狩り担当と思っていたのだろう
狩りの獲物である買い物の量が多いほど喜んでいた
それは私の中の楽しい思い出になったと思っていたのに
今日、買い物に行って車に荷物を積み込んだ帰り道
信号待ちの時にふと「ニコが喜ぶなぁ」と考えていた
なんでそんなことを思ってしまったんだろう
買い物袋から食料品を取り出すたびにはしゃいでいた
あのニコはもういないのに
受け容れたはずのニコの不在が
突然予告もなしに足下に現れて
つまずいて転んで頭でも打ったような気分だ
ああ、もう痛いなあ、痛いんだよ
でも久しぶりに「ニコが喜ぶな」と自然に思った気持ちは
思い返してもう一度味わってみると悪くなかった
窓辺で待っているニコを見る時のあの幸せ
あれは間違いなく私の人生の最高の宝物だったし
