神足勝記を追って

「御料地の地籍を確定した神足勝記」を起点として「戦前の天皇・皇室・宮内省の財政について」のあれこれをとりあげる

No.218 明治建白書集成

2024-07-02 00:25:00 | 先行研究
【コレクション 9】

         A4判大・平均1100ページ

 『明治建白書集成』は筑摩書房から刊行されました。1986年10月20日に第1回(第3巻)、87年4月20日に第2回(第6巻)発売が予定され、これ以後は半年ごとの刊行が予告されています。平均1000ページ。定価は5万円。
 このパンフレットは、横長の紙を観音開きに三つ折りにして表裏6ページとし、ほかに内容見本として1枚(表裏2ページ)を挿入した計8ページ仕立てです。
 全体の構成と主な内容は次のようなものです。
1.上掲の表紙
2.色川大吉・我部政男 刊行にあたって
3.全巻内容と担当者
  第1巻 明治元~5年3月(内田修道)
  第2巻 5年4月~6年12月(内田修道・牧原憲夫)
  第3巻 7年1月~9月(まきはらのりお(牧原憲夫)
  第4巻 7年10月~8年10月(牧原憲夫・茂木陽一)
  第5巻 8年11月~13年4月(茂木陽一・鶴巻孝雄)
  第6巻 13年5月~15年12月(鶴巻孝雄)
  第7巻 16年1月~18年2月(大日向純夫)
  第8巻 18年3月~20年12月(大日向純夫・安在邦夫)
  第9巻 21年1月~23年12月・索引(安在邦夫)
4.資料調査、提供に協力いただいた方がた
5.内容組見本
6.推薦文
  遠山茂樹(横浜市立大学名誉教授) 明治初期政治史を見直す 【下に掲載】
  柴田三千雄(東京大学教授) 近代を読み直す一大資料
  安岡章太郎(作家) 建白書集成に期待する
7.全体写真
8.特色など
 以上。

   
    キレイキレイ

 このパンフレットの魅力は、原本が掲載されていて、写真とはいえ、直に見ることができるところです。そして、これを読むと、末尾にあたる左端に「武蔵野国西多摩郡深澤村7番地 平民 深澤権八 23年9ヶ月」とあるのがわかります。これは、土蔵から「五日市憲法」が見つかった深澤家と当の深澤権八のことですから、この企画の重要さが一瞬でわかるたいへん興味深いデザインでもあります。
 今回、久しぶりに読み直したところ、「刊行にあたって」に次のような苦労話の一端が書かれていました。
 「・・・十年がかりの大事業となってしまった。」
 「・・・各地の府県資料に・・・、・・・多くの建白書が未公開のまま死蔵されていた・・・。」
 「・・・読解困難な文書を各巻の担当編集委員は黙々と筆写し、原稿化し、何度も校正を重ねるという難行苦行を続けた。」
 「・・・着手以来七年にしてようやく刊行開始にこぎつけた…。」

 私も、『御料局測量課長 神足勝記日記』(J-FIC)の解題の冒頭にいくらかの経緯を書きましたが、こういう文書や作業に出える機会というのはそうはないものです。機会に恵まれたということ自体が研究者として幸せなことと思います。
 最後に遠山茂樹先生の推薦文を載せておきます。ほかのお二方のものは残念ですが割愛します。
   
    上記パンフより

 遠山先生の著書・著作は若いころにずいぶん勉強しました。学恩に感謝。なつかしい。
 きょうもよい日でした。
 まだこれから本論のつもりが、ここまでで手一杯となりました。では。

   
    多摩川有情 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする