神足勝記を追って

「御料地の地籍を確定した神足勝記」を起点として「戦前の天皇・皇室・宮内省の財政について」のあれこれをとりあげる

No.400 簡単を旨とすべし

2025-02-05 00:13:04 | 雑評
(1)財政史の中で「経費膨張の法則」ということが出てきます。これは、19・20Cあたりからの各国の財政を見ると、どの国の財政も次第に規模が大きくなってくるが、なぜ財政規模は大きくなるのかという疑問です。

(2)いくつか学説がありますが、その中の代表的なものの一つに「ドイツ財政学」があります。ドイツ財政学の代業者アドルフ・ワグナーは「社会が発展し、文明が進化すると経費が膨張する」と言いました。しかし、これはごまかしです。意味が分かりません。簡単に言うと、社会・経済に変化が生じてくるからです。

(3)当時のドイツは(ロシアや日本も)まだ経済の後進国でした。
 ドイツでは国内産業を保護し、同時に、イギリスやアメリカの先進資本主義に対抗して、国家財政を通じて経済発展を図ろうとしました。日本の殖産興業も同様です。
 かつての英米先進国(や現在の日本)などでは、経済の発展が政治を抱え込んで動かしていくのが特徴ですが、当時のドイツは遅れを国家の政策を通じて解消していく政策をとったということです。
 一方、経済が小規模企業の時代から大企業体が国内産業を支配する時代に入りましたから、中小企業との格差・労働者の貧困化などが表面化し、国家が財政資金を通じて政策をとる(社会政策)必要が拡大してきました。
 1800年前後に産業革命が進むと、1840年代には経済恐慌も現われ、郎度運動が激化し、やがて1917年にはロシア革命も起こりますから、その政策を国家がとることが求められたわけです。
 
(4)つまり、経費が膨張する理由は、社会経済の「国家への依存」が増したこと、逆に、社会経済への「国家の干渉・介入」の場面が増えたことです。
 現在では、国内問題だけでなく、国際的にも国家が果たす役割が大きくなっています。やっていることの是非は別にして、プーチン・習近平・トランプなどの各氏の動きを見ているとよくわかります。とくに軍事費。

(5)日本では、成長とか景気対策のためといって公共投資をやって大盤振る舞いし、憲法に違反して防衛費をどんどん増額して無駄使いを続けてきたことが経費膨張の大きな理由であり、赤字財政の原因です。
 ちなみに、福祉や高齢化が原因だという人もいますが、それは政府の政策を弁護するものです。実際、この30~40年ほどの期間でも、大手の法人税減税や高額職者の所得税減税をやり、その穴埋めを消費税の増税でやりました。
 そうしておいて、中小企業対策費や農業対策費、教育費、社会保障費などは本来の憲法で唱えているようにはなっていないのですから、知らないか、知っていての責任転嫁です。
 今のコメの価格高騰、埼玉の陥没などがこれまでの政策の是非を問うています。

    

【コレクション 159 協調会 最近の社会運動】
 日本の社会保障や福祉が立ち遅れている理由の一つは、戦前の治安維持法にあると言われています。
 社会保障や医療・福祉、中小企業対策・農業政策、教育政策には膨大な財政資金が必要です。政府や与党は、裏金問題で暴露されたように、献金をしてくれる方にはいい顔をしますが、そうでない方には財政資金を使うのを渋ります。ましてや社会保障などには膨大な資金がかかります。政府に対して圧力となる強い国民の意思表明がないとやりたがりません。
 治安維持法によって、労働者政党や自由主義的な思想をいち早く弾圧したことがその後に大きく影響しているのです。
 今日は、戦前の社会運動を知ることのできる資料です。

 これは、大きさは、B5判6㌻です。B5判3枚分の横長の用紙を、最初に左から3分の1を折り込み、ついで右から3分の1を折り込むと出きます。
 全体は、
 1・2・4(一部)㌻を下に載せましたから、ここは内容説明を略します。
 1㌻ 見て楽しいというものではありませんが、格調があります。
 2㌻ 協調会の説明と、本書の特色・観光案内が出ています。
 3・4(一部)㌻は、推薦文と内容目次です。
   推薦文 
    隅谷三喜男 東京大学名誉教授 包括的に把握するのに最適
    岩井 章 総評元事務局長 大変参考になること
    松尾尊兊 京都大学教授 形成期日本社会運動の百科全書 *下に掲載
 5㌻ 組見本
 6㌻ 関連宣伝
          1㌻ 


          2㌻


       3㌻


 以上です。
 昨日は書いたものの大半が消えてしまい、その徒労感はなんとも言えませんでした。
 書いているといろいろのことが思い出されて、あっちを見たりこっちを検索したりとやり始めます。それがもとでパソコンが狂いだす・・・。
 要するに、ブログは簡明を旨とすべし、なんですね。
 ワシ曰:「我、No.400にしてブログの極意を知る。」

   
    北桔橋門より:正面は毎日新聞社と共立大学?
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No.399 羊さんのその後

2025-02-04 01:02:31 | 後日譚
(1)前に帝室林野局の職員だった野田羊〔のだ・ひつじ〕さんのことを紹介しました。しかし、それがどこか探して当てられませんでしたから、あらためて紹介します。

(2)野田羊さんのプロフィールは次のようになります。(宮内公文書館所蔵『進退録 7』昭和20年526号より)。
 生年月日:大正8〔1919〕年1月1日
 出身地:鹿児島県肝属郡鹿屋町
 最終学歴:昭和14〔1939〕年3月、鹿児島高等農林学校林科卒業
 履歴:同年4月、帝室林野局札幌支局夕張出張所に配属
   
(3)羊さんは元旦生まれです。メデタイすね。子に「羊」と名付けるとは、ご両親はずいぶんやさしい方だったのではないかと思われます。
 ところが、羊さんはその後つぎのような経過をたどります。
 昭和15年2月10日休職・入営
 昭和16年2月 9日再休職
 昭和17年2月 8日再休職
 昭和18年4月28日召集解除・大夕張出張所に復帰
 昭和18年9月15日臨時招集
 昭和20年3月17日硫黄島で戦死

(4)悲惨ですねえ。硫黄島の戦闘は激烈だったとことで知られています。その中に羊さんもいました。
 ウクライナの戦争に動員されているロシア人兵士、「祖国の軍事強化」のために差し出されている北朝鮮兵士、そのほか世界各地で続いている紛争・軍事支配に動員されている軍・兵士、いったい何人の「羊さん」がいるのか、胸が痛みます。

    
 
 きょうはまたまたパソコンの調子が悪く、このあと、【コレクション】の説明部分などもふくめて全部が消えてしまいました。もうタイムリミットなので、明日にします。
 
  



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No.398 And follow, follow, follow...

2025-02-03 00:53:57 | あそび
(1)今日は、昼食後にテレビのチャンネルを切り替えると、運よく13時からNHK BSで映画『サウンド・オブ・ミュージック』が始まるところでした。これまでにもこの映画を2~3回は見ていますが、いつも途中からで、初めて全部を見ました。みなさんの中にも見たという人があることでしょう。今この映画の解説はしませんが、ひとことだけ。
 ジュリー・アンドリュースの伸び伸びとした声量、ごまかしのない明瞭な発音、今日も「うっとり、ほれぼれ」でした。
 でもね、私がいちばん好きなのは ”Try to remember" を歌ったときです。
 どこが?
 うん、まあ、全部だね。
  
(2)昨日、ブック・オフへ寄ったところ、馬場のぼるさんの本が目に入ったたのでパラパラと見てめくると、なんと探していた「たらふくまんま」が3㌻分載っていました。
 あまりのなつかしさに、目が釘付けになってしまいました。
 脇に1958年に学習雑誌に掲載された作品と出ていましたから、私の記憶と一致します。
 夕方、思い出して「馬場のぼる たらふくまんま」で検索したところ、2016年2月に「こぐま社」からと復刻出版されていることがわかりました。もう10年も前です。前にも検索したことがあるのに、その時はなんでヒットし〔みつから〕なかったのか? 
 明日、さっそく探しに行きます。うふふ。

(3)今日はいい日でした。そう思っていたところ、7時半からのNHK総合「ダーウィンが来た」で恐竜をやってましたから、これにもはまりました。
 小学生のころ、石器集めのほかに化石採集をやったことがあります。それで、そういうロマンを自慢して先生に話したところ、
 「日本の地層は新しいから、恐竜の化石は出ない・・・」と。
 いま、つくづく子どもに「本物を語り・見せる」ことの重要性を思います。
 私の頃は、図工の時間といえば、6月4日は「虫歯予防デー」のポスターを書かされ、6月10日は「時の記念日」のポスターを書かされ、その間、先生は何か事務をやってました・・・。

    

【コレクション 158 婦選】
 よく、何か「意見を言い・主張すること」を「闘う」と言い表します。それは間違っていないと思いますが、現在のジェンダーなどに見られるように、古い意識に粘り強くものを言い続けて新しい意識に作り替えていくという過程、地道に新しい意識を浸透させていくという面があります。「自然成長」まかせではダメだが、その「遊び」の面を理解しないと軋轢ばかりとなりやすい・・・。
 最近の「国民民主党」を見ていると、ああいう思い付き的な政策をきっかけにして国民の意識が変わり始めているのを見ます。社会が変わっていく契機となる運動というものはおもしろい。
  
 このパンフは、A4判8㌻、A3判大の用紙2枚を重ねて二つ折りしてできています。
 全体は、
 1㌻ *下に掲載
 2㌻ 復刊にあたって 市川房枝略歴 *下に掲載
 3㌻ 婦選第1号1㌻ 久布白落実〔くぶしろおちみ〕婦選の発刊に際して *下に掲載
 4~5㌻ 推薦文 もろさわようこ 歴史家 時代状況と「婦選魂」
      伊藤康子 中京女子大学教授 「婦選は鍵」の全体像把握のために
   バーバラ・モロニ― サンタ・クララ大学准教授 世界のフェミニズム運動の一環として 
      土井たか子 衆議院議院議員 日本の女が今、世界から求められていること
      縫田曄子 ジャーナリスト・(財)市川房枝記念会理事長
           婦人参政権運動の歩みを辿るために
 6・7㌻ 関連文献紹介・関連年表
 8㌻ 刊行案内 体裁:第1巻 A4判/第2~13巻 A5判/B5判 第14~19巻
    定価:本体揃29万5000円 別巻2000円
    配本案内:1992年 
       1㌻   


       2㌻


       3㌻

       これは一読の価値あり

 以上です。
 今日はここで。

   
    春を待つ:卵
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No.397 もうすぐ400回

2025-02-02 00:16:36 | 雑評
(1)ブログを初めてもうすぐ400回になります。番外を入れればもう優に400回を超えているでしょう。ブログだけではありませんが、書くという行為は「ハジカキ」の面を持つので恐いですが、やはり楽しいものです。

(2)昨日は、書いているうちにどんどん長くなってしまい、やむなく半分をカット〔削除〕しました。ところが、スッキリしたことを期待して読んでみたところひどいブツ切れで・・・唖然。しかし、書き足すにも推敲するにももう時間がなく、とうとう不本意なまま「公開する」をクリックする羽目になり、困ってしまいました。
 400回を機会に少し簡明に書くようにし、お休み日(検討中)も作ろうと思います。

 (3)ところで、電車に乗ったときに、家並みがどんどん後ろへ走っていくのを見ながら、「家の数だけ悩みがある」、「日本の政治はそれをくみ取れているだろうか」と思ったりしたというのは本当です。
 人それぞれに車中での過ごし方があるはずですが、車窓に人や人の暮しを見ようとする自分に気が付いて、つくづく「貧乏性だ」と自嘲したことがあります。

(4)ヒトは皆日々の生活に励んでいます。励んでいるということは、何かを考えているはずです。その中で何も悩みがないなどということは、およそ人間的ではないと思います。
 真下信一さんの言に「傷ついた犬の眼は人間の眼をしている」というのがあります。これはだいぶ前にも一度書きましたが、犬だってケガでもすれば、その痛みのために、自分はなぜこんな痛い目に遭わねばならなかったのかと「哲学」している眼をしているように見えるというのです。ましてや、現在は新自由主義が横行する社会で、その中で日々の生活に励んでいる人間ならば、当然何かの障害に出くわしているはずですから、意識するとしないとにかかわらず「悩み」を持っているでしょう。
 もちろん、あの横柄なマスク氏やトランプ氏だってそうです。どんな悩みを持っているか、考えてみるとずいぶん興味深い・・・。

    
    昨夕、私が鳥語で話しかけたら、5分くらいじっと聞いてました。
      鳥語に興味のある方には伝授いたします。

【コレクション 157 大日本国誌】
 明治10年代には皇室財産設定の動きが始まります。また、その一環とみられる神足勝記の地質調査所での巡回なども始まります。神足の巡回を見ていると、何かを手掛かりにして巡回しているに違いないのですが、それがわかりません。この『大日本国誌』はそのこととどこかでつながるに違いないのですが、まだわかりません。
 この大きさは、B5判、8㌻です。B5判4枚分の横長の用紙を、最初に左右から4分の1を折り込み、ついで二つ折りするとできます。
 全体は、
 1・2㌻ 下に掲載
 3㌻ 本書の特色
 4・5㌻ 構成の紹介 
      造本体裁:A5判 各巻平均550㌻
      刊行:昭和63〔1988〕年1月 ゆまに書房
      価格:1期 8冊   86,000円
         2期 6冊   62,000円
         3期 9冊 113,000円
         4期 7冊   71,000円
 5・6㌻ 既刊一覧(既刊の宣伝)
 7㌻ 日本地誌提要・皇国地誌・大日本国誌の内容比較
 8㌻ 内容見本  
         1㌻      
 
 
         2㌻


 以上です。
 今日はここで。

     
     
 
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No.396 共感がたりない

2025-02-01 00:45:19 | 閑話
(1)昨年発生した能登半島地震は、新年早々に日本が地震国であるという認識と備えを求める大災害でした。そして一年がたった今思うのは、阪神淡路の時や東日本大震災の時と同様、やはり今度も復興のスピードは遅いし、政府の指導性がよく見えなかったな、ということです。

(2)この先のことはわかりませんが、この先もきっと元のようにはならず、いくらか復興したように見えながら、住民の要望・希望とはズレたものだったり、肝心な住民が住まなくなっていくところで、絆とか復興というスローガンのリフレーン〔繰り返し〕を聴きながら、結局は自助努力を強いられる、それが関の山だろうと思われて憂鬱です。

(3)少し話が変わりますが、私は電車に乗って出るとき、これは、日常の生活範囲を越えたところへ出かける場合ですが、本を読むことをしませんし、眠ることもまずありません。どうしているかというと、ずっと景色を見ています。

(4)たとえば、東京から新幹線に乗ったとします。東海道方向でも東北方向でもどちらでもよいですが、乗ってから1時間、家が途切れないことがあるでしょうか。これは、見えないという意味でなくて、続いているという意味です。多分ありません。あってもいいのですが、言いたいのは、そういう景色でも飽きずに見続けているということです。
 見ていると、いろいろなことが浮かんできて、ますます引き付けられるのです。たとえば、上に書いた連続する家並みを見た時などは、選挙時の開票が浮かんできたことがありました。そして、この一軒一軒の人が投票に行ってその結果があそこに集約されるのか・・・と。

(5)いや、何が言いたいかというと、政府とか政治とか政治家とかいうものは、我々が思っているほど、国民のことを見ていないのではないかということです。
 だれかが困っていても、たとえば地震の被災者が困っているのがはっきりしているのに、自分の親兄弟がその当事者ならば、なんとかして救助しようとするだろうに、実際はそうしない。
 家が全壊・倒壊して住めなくなっているのなら、使いもしない軍事費を増額するようなことをせずに、その資金で立て直ししたらよいのに、そしてその方が経済的波及効果もあるのに、そうすると「家は私有財産だから」とか言い出す。

(6)だいぶ雑駁になりましたが、電車に乗ったときに、一軒一軒の投票結果が開票結果に現われてくることを考えたことがあると上に書きましたが、実は、いつも思うのは、「一軒一軒が抱える悩みは何だろうか」ということです。
 カネがないと悩む。しかし、カネあれば悩みがないわけではない。カネがある悩みもある。
 そうして、「震災は、悩める民が政治不審を集中的に醸し出す機会」なのではないかということです。

   

【コレクション 156 旧幕府】
 今日、久しぶりに取り出して拾い読みをしました。実におもしろいです。旧幕府というタイトルですが、おもに幕末のことです。
 大きさは、B5判、8㌻です。B5判4枚分の横長の用紙を二つ折りし、さらに二つ折りするとできます。
 全体は、
 1㌻ 下に掲載
 1~5㌻ 解題・推薦 中村彰彦 順逆史観を超えて
            樋口雄彦 雑誌「旧幕府」に集った人びと
            紀田順一郎 『旧幕府』とその時代
 6㌻ 収録記事一覧(抄) 下に掲載
 7㌻ 主要執筆者紹介
 8㌻ 刊行案内 体裁:A5判 全5巻 計4500㌻
         定価:7万円(予価:5万円)
         発行:平成15〔2003〕年1月 マツノ書店
         1㌻

  
        6㌻


 以上です。
 今日はここで。

     

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