早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和九年四月 第十七巻四号 俳句

2021-08-07 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和九年四月 第十七巻四号 俳句

   子規の句碑 祝建碑
句碑建ちし子規句碑成りし春麗

句碑の前句を読み仰ぎ春の風

風光る句碑南面して高し

   凧
一翁のうづくまり野は凧

凧を見て河内大和と旅にある

凧の子の野深帰ると連れにけり

町川や大船よりぞ凧のぼる

名の浦の蛤汁や夜に著いて

蛤の籠を舳に舟著きぬ

玉を洗ふ音にも似たり小蛤

  早春社三月本句會
夜の音は水邊いずれぞ花近し

山なみに夜明かりのして花近し

囀れる頬よまのあたり

頬を行く風は浦輪に花近し

  早春社わだつみ例會
俎に二月の小魚揃えけり

子が持つを吹いてまはすや風車

  早春社浪速例會
芦の角風ひたぶって雲にあり

春あられ臨水亭に朝して

  早春社無月例會
残寒や雀が土にひるがへる

枝の中透く日のあれば春落葉

  早春社立春例會
春光の檪ふかふか枯れながら

蛤も乾きて厨の晝しづか