早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和四年八月 第八巻二号 近詠

2021-05-23 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和四年八月 第八巻二号 近詠

祇園會の四条いくたび西東

祇園會や接待水に朱ヶの椀

月餅の月を見上げて京は照る

ちまき投るや鉾の上より知り越し

歸り著き鉾くずされんずる急囃子

鉾町やとある凹みに甘酒屋

夕茜鉾の見返し染めにけり

船鉾の肌の網代解かれけり

神輿三座怪しき刈葱の青さ哉

弦召の大扇ひらく容儀かな

好きを著て比叡差す三五祭りびと

ケーブルに老鶯を聴きすてにけり

祇園會の京はや燈る山下かな

白靴は四明ヶ嶽に暮れ残る

夏霞湖の末なる膳所大津

駕で来し人の阿呆や山涼み

木下闇辨慶水に音しけり

蜩や僧にも逢わず比叡の夏

大講堂の晝の提灯風涼し

下山して再び京の夜の夏

川床や燈もさらさらと宵浅き

妓と見えて隣へ扇づかひかな

柳川や諸事ちんまりと燈の下に

乙訓の藪の小すそに蚊火の家

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