早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和三年十一月 第六巻五号 近詠・俳句

2021-02-23 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和三年十一月 第六巻五号 近詠・俳句

   近詠
夕べ踏む我家のかどの木の実かな

草紅葉段ともつかず石のある

秋ふかし我をつつみて山の音

犬蓼の花押しみだしなが夜かな

池水に柳ちるなり燈のかざり

秋すでに月に仰ぐや枇杷の花

壁のうちたへず藁打ち蟲さむし

入租の水に著しや秋時雨

足に散る影いとまなき野菊かな

草の實や娘のすなるあそびごと

冬近きものの芙蓉の實

欄干へ舟つけて来ぬ後の月

   萩夕べ 九月十九日 曾根萩の寺にて
   萩
萩の中われもかくれて行くうれし

萩むらの夢とゆるるがゆれつげり

かゞまりて浮き立つ萩を仰ぐ哉

   きぬた
砧盤艸よりおこし来りけり

砧盤踏むことありて冷かに

  早春社十月本句會 兼題「木の實」 
山を去る惜みに拾ふ木の實哉

鵙なける田を田をよびて帰る人

  早春社十月中央句會 兼題「渡鳥」席題「月代」
月夜のうつりて壁のぬかごかな

松風をよすがに鳥の渡るかな

月代のあらはれて去る一帆かな

  早春社神戸例會
我かどや月夜となりし艸の音

水艸の花にむらさき秋の暁け

  早春社尼崎例會
鯊舟に霧冷やけく動きけり

  早春社上町倶楽部例會
秋の蝉ぬかごの蔓をかきのぼり

降りかかる落葉のありて女郎花

  早春社桜宮例会
露泥の地に委しはてぬ唐辛子

手の中にむづむづ親子螽哉

  早春社大鐘会創設句會
野菊山あらぬ方より月出づる

ひとところ野菊鮮やか月と

  朔宵會
童のうたうて雨の野菊哉

  無月句會
谷わたる蝶に雨晴れ秋涼し



  

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