宋斤の俳句「早春」昭和六年十月 第十二巻四号 近詠
近詠
いにしへの寺を字名に草の花
わらんべの野分を往くや牛のかげ
夕辻に蟲聴く草の一所かな
枝ざくろそれも押し添え秋の花
眼病
朝のほど視力うれしき野菊かな
秋の水に金魚二つが戀をする
我廂いと低けれど月を待つ
机いつものところ芭蕉に月の透く
秋の夜の女のかいな薄着かな
故郷の秋いふて按摩が空眼かな
ラジオから後の夜更や秋の雨
稲妻や満洲頓に兵火の地
青燕君へ
ハルピンに一人知るあり雁わたし
大阪が生みし西鶴はた山陽忌
大龍寺の松宗寺の拓本得たる子規忌哉
亡き友や子規忌に因み伴修す
親の日が彼岸の入や庭の秋
ふところに勝留め海贏と柿とかな
干し竿に秋は日の雨鳩とまる
近詠
いにしへの寺を字名に草の花
わらんべの野分を往くや牛のかげ
夕辻に蟲聴く草の一所かな
枝ざくろそれも押し添え秋の花
眼病
朝のほど視力うれしき野菊かな
秋の水に金魚二つが戀をする
我廂いと低けれど月を待つ
机いつものところ芭蕉に月の透く
秋の夜の女のかいな薄着かな
故郷の秋いふて按摩が空眼かな
ラジオから後の夜更や秋の雨
稲妻や満洲頓に兵火の地
青燕君へ
ハルピンに一人知るあり雁わたし
大阪が生みし西鶴はた山陽忌
大龍寺の松宗寺の拓本得たる子規忌哉
亡き友や子規忌に因み伴修す
親の日が彼岸の入や庭の秋
ふところに勝留め海贏と柿とかな
干し竿に秋は日の雨鳩とまる
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