早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和六年十月 第十二巻四号 近詠

2021-06-29 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和六年十月 第十二巻四号 近詠

   近詠
いにしへの寺を字名に草の花

わらんべの野分を往くや牛のかげ

夕辻に蟲聴く草の一所かな

枝ざくろそれも押し添え秋の花

  眼病
朝のほど視力うれしき野菊かな

秋の水に金魚二つが戀をする

我廂いと低けれど月を待つ

机いつものところ芭蕉に月の透く

秋の夜の女のかいな薄着かな

故郷の秋いふて按摩が空眼かな

ラジオから後の夜更や秋の雨

稲妻や満洲頓に兵火の地

   青燕君へ
ハルピンに一人知るあり雁わたし

大阪が生みし西鶴はた山陽忌

大龍寺の松宗寺の拓本得たる子規忌哉

亡き友や子規忌に因み伴修す

親の日が彼岸の入や庭の秋

ふところに勝留め海贏と柿とかな

干し竿に秋は日の雨鳩とまる



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