早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和三年四月 第五巻四号 近詠・俳句

2020-11-27 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和三年四月 第五巻四号 近詠

   花

花ざかりしずか照る日に山の水

花の中ふかきに仰ぐ空の色

鳥は地に水にかけりて花旦

わたる風花の梢のおちこちに

水の邊に巌たち櫻月夜かな

かたらひつ落花を指につまみつつ

花の彼方に懈くもつゞく山の波


   滝野行
青を踏みて浅ければ瀬を渉るかな

菫いち早くしほれる草を摘む

芽柳にあはれ人老ひおもちゃ賣る

   早春社中央句会 光西寺 

塀の外松の根走り下燃ゆる

夜にそみて梢風あり春寒し

寺町の果つるに燈あり春の水

  早春社尼崎例會 櫻井神社

春寒の末社のともし枯大木

春の星鳥居重ねて稲荷ある

  早春社上町倶楽部例會

掌にはねて二月の小魚かな

春浅し小窓高きに鳥うつる

  打出句會

夜の雪を窓にかるたのほてり哉

春近く野の水溜まり波立てて

つやつやと雨の落ち葉の寒さかな

寒ぬくし杉の枯色花椿

つまゝれて尾を反る諸子哉





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