植物園の橋屋です。
先日(7月12日)に薬勝寺池公園の定点観察会で伊藤さんが見つけられました冬虫夏草の仲間について報告します。
この種類はまだ新種報告はされていません(つまり学名はCordyceps sp.)が、和名はマイヅルナガエムシタケという名前が清水大典先生の冬虫夏草図鑑(家の光協会)に載っています。
名前の通り、この種は最初(1990年)京都府の舞鶴で小西思演氏によって発見されました。ついで北陸の石川県金沢市の倉ヶ岳で1992年に見つかりました。
さらに3ヶ所目は1998年7月19日に富山県砺波市の頼成の森で、友の会きのこ部会の観察会の際に見つかりました。しかし、頼成の森の発生地は森林管理のため付近の雑木や下草を伐採したため、以後この場所でのマイヅルナガエムシタケの発生は今も見られません。
今回の発見は全国で4ヶ所目のマイヅルナガエムシタケの発生地だと言えます。
また今回の発見は日本で4ヶ所目(世界でも4ヶ所目ということ)でありますが、今まで見つかった場所では継続して発生していないそうなので、今のところ確実な産地は世界でここだけと言えると思います。
また採集した虫付きの2個体の標本のうち、1個体は来週大山で行われる日本冬虫夏草の会へ床尾さんに持って行っていただくことになりました(最初の発見者の小西氏に見ていただくことになりました)。
ただ、採集した個体は未熟であり子のう胞子がまだ出来ていません。このため成熟した個体を採集したいと思いますので、今しばらく採集はお控え下さい(またこの種の絶滅にも繋がります)。8月にはより成熟すると思いますので、表面の子のう果の様子(棒状の表面ににきびのようなぽつぽつが多数表れる)を見てから採集したいと思います。
どうぞ、このことをご了承ください。
_/_/_/_/_/ 富山県中央植物園 橋屋 誠 _/_/_/_/_/