富山きのこクラブの皆様
栗林さんから、ピスの押し出し工具の試作レポートが寄せられました。ファイルが重たいので、写真などを一部編集してお伝えします。
_/_/_/ ピスの押し出し工具作成 栗林義弘 _/_/_/
今日、早速『髄の押出し工具』作りました。
橋屋さんのを使ってみて、アルミ棒より、鋼材かステンレス材の方が強度があって、良いことがわかりました。
帰りに材料を買って、家で試作しました。一応5㎜と6ミリのものを2組作成しました。1時間程度で完了しましたので、手順書を作成しました。
① 購入品(カーマ呉羽店)
6mm×300mmの丸鋼クギ(v形ペグ) @108×2=216円
5mm×350mmの丸鋼クギ(打込みLカン) @89×2=178円
カツラ(木)丸棒25φ×300 @248×2=496円
合計=890円
② 取っ手の作成
取っ手用に100mm程度に切断し、ヤスリで切り口を仕上げる。1本で3ケ作成できる。
③ 丸鋼の切断
次に、丸鋼の切断には電気サンダーを用いる。切り口が直角になるように仕上げ、面取りをする。
取っ手のために切断した丸棒の中心に5mmと6mmの穴をあける。(電気ドリルを使用)50mm程度の深さにする。
丸鋼の長さをの長さに切断する。曲がっているほうを切断する。
④ 完成品
5mmと6mmの双方に別け、穴に釘を入れてハンマーで打ち込むと、上の写真のように仕上がる。
同様に4mmと7mmのものを作成すると、太さに合せて髄を抜く時の使用勝手が良い。
⑤ タニウツギの枝
ニワトコやタニウツギ又はキブシ・ヤマブキ等の昨年伸びた枝を、100mm程度の長さに選定はさみで切断する。なるべく直線のものが良い。また、節の部分は内部が歪なので丸鋼が中で引っかかり易いため、節~節間で切断すると良い。
太い髄が良いのだが、枝が太いから髄も太いとは限らない。同じ枝でも枝分かれした元の部分より、枝の先端に行くほど髄の占める割合が多いので、枝の中間辺りが一番良い状態の髄が取れるようだ。
⑥ 髄の押し出し
枝の髄の部分に押し工具を当て、写真のようにして髄を押しぬく。
押し出す方向は、細いほうに当て、太いほうに抜く。
枝の切断面を見て、髄の太さに応じて工具の丸鋼のサイズを選ぶので、3ミリ~7ミリ程度の間の太さを揃えておくとベターである。
又、枝の長さは100mm程度の長さが一番良いが、ミクロメーターで使用するときは、30ミリ程度に切断して使うので、小さくても良い。
ただし、枝の長さが小さいと、左手で持つのに小さすぎて力が入らないし、押し出したとき、柄と枝の間で手の皮膚を挟で、血豆を作ることになる。長すぎると押し出すのに、非常に大きな力が必要になる。従って、100mm程度で節がないのが丁度良い。
髄は、圧縮されて勢いよく飛び出す。柄と材の間に左手の皮を挟むので、怪我をしないように注意をして作業をする必要がある。
押し出された髄は、顕微鏡観察のためのピスとして使用するが、そのままだと長い時間が経つと『カビ』が発生するので、一日ほど冷蔵庫に入れた後、日陰の風の当たる所で乾燥する。
⑥ 押し出された髄と樹皮
剃刀の刃で切断してみると、キブシの髄が一番ピスとして良い。髄自体がきめこまかで柔らかである。
ニワトコの髄は一番太いものが取れるが、髄の目は一番粗いのでぼそぼそ感があり、剃刀の刃が少し切れなくなると引っ掛かる。
その他ではヤマブキの髄も使い勝手が良い。しかし、あまり太いものがないので3mm程度の『押し出し工具』がないと使用できない。
髄の太さは6mm以上のものが良いが、こればかりは枝を切ってみないと中の状態がわからない。ついつい枝の細い部分も採取してしまう。(勿体ない思いがあり)しかし、細いピスはミクロメーターを使用する場合に、隙間が出来て切片を切るときにピスが動き、作業がしにくいし失敗が多い。また、手で切る場合も試料を挟みにくいし、大きな試料ははみ出すので使えない。
以上。