富山きのこクラブ

富山のきのこ情報・きのこ料理の情報が集まります。

顕微鏡観察講座 中級編

2010年06月27日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様

鬱陶しい季節になりましたが、サッカーワールドカップで寝不足の日々が続いてはおりませんか?
今日は央植物園/友の会/きのこ部会の顕微鏡講座(中級編)が開かれ、13名の参加がありました。講師は栗林さんです。

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今日のテーマはキクラゲ類の担子器の観察です。
アラゲキクラゲを観たのですが…何れが担子器やら…多分染まっているヤツだと思うのですが…難しかったです。
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「きのこ雑記」からの引用も資料として配布されましたので、掲載します。

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2010年6月21日(月) 故今関博士の思いと昨今

 先日、あらためて保育社『原色日本新菌類図鑑(II)』の「読者と共に日本のきのこを研究しよう」(p.282~285)を読み返した。故今関六也博士の思いが以下の見出しにそって語られている。たった4ページではあるが、図鑑本文よりも重みがあると常々感じてきた。

 きのこはどんなに大きくても微生物
 顕微鏡に親しむことの重要性
 標本の作製・整理・保存の重要性
 博物館を仲立ちにして専門家とアマチュアの連携

 はじめて読んだとき、非常に印象的だったのは次の一節だ。少し長いがそのまま引用しよう。

 近年,きわめて多数の地方的きのこ図鑑が出版されている。写真には美しいものが少なくないが,特徴のとらえ方に不備な写真が少なくない。その上に解説文は簡略に過ぎ,しかも胞子その他の顕微鏡的に重要な特徴を全く欠いている。その結果,読者の心には肉眼的観察だけできのこを見分けることができるという誤解が育てられる。そしてきのこの勉強は次第に科学性を失ってくる。肉眼的観察が基本的に重要であることはいうまでもない。しかし,それは眼光紙背に徹するような観察眼であってほしいが,その観察眼は顕微鏡的観察の裏付けがあって磨かれるのである。

・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・

 そのためには顕微鏡を敬遠せず,顕微鏡に親しんでほしいと敢えて訴えるのである。顕微鏡は学者の独占物ではなく,学者の看板でものない。星好きの人にとっての天体望遠鏡,スポーツ愛好家にとってのゴルフ用具,スキー用具,サーフボード,ヨット,オートバイなどと変わらぬ道具だといえるであろう。

・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・

 植物の場合,アマチュアの専門的知識はきわめて高い。残念ながら国家的に育てられなかった日本の菌学界にはまだその力がない。若い菌類分類学者の輩出とアマチュアのきのこ研究者の奮起と,これを育てる博物館の発展を切望してやまない。

図鑑出版から21年・・・・、アマチュア研究者の層はずいぶん厚くなってきた。また、アマとプロとの間の風通しは良くなってきたが、顕微鏡観察の普及はあまり進んでいるとは言い難い。

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「石川きのこ図鑑」からの引用もありました。
丁寧に組織の観察の要領が記載されていますが…私は読んだ事が有りませんでした。皆さん、一読されては如何でしょうか?
小学校の理科教育でも顕微鏡観察が復活した様子ですが…顕微鏡を扱える先生が居ないとか…愚妻がぼやいておりました。
取敢えず顕微鏡講座を頑張りましょう!

帰りに頼成の森で開催されている花しょうぶ祭りを見てきました。あまりの蒸し暑さに花を愛でる余裕も無く、大汗をかきながらさっさと退散いたしました。
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お知らせ:石川きのこ展

2010年06月20日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様

北陸も入梅し、県内の鮎釣りも解禁になりましたね。

お知らせ①
石川きのこ会の創立20周年記念行事の一環で、9月18日~9月20日まできのこ展を開催します。
会場は金沢市キゴ山ビジターハウスです。一昨年、3県交流会を行ったメイン会場です。みんなで冷やかしに行きましょう!
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初日の18日には池田先生のスライド映写会「石川県産キノコあれこれ」と科博細矢先生の記念講演「国立科学博物館の標本で考える日本のキノコ(菌類)の多様性」が企画されています。(一般的に題名が長いのは…)
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お知らせ②
国立科学博物館の細矢博士が6月末に「カビの話」の内容で出版されるとのことでした。
すみませんが詳細情報は不明です(^^;

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天野典英さんからコメントを頂きました。

細矢君の本は全国農村教育協会から7月に刊行予定です。

科博きのこ展でのみ販売されていたガイドブックを,改めて一般向けに販売するようにした図書だと思います。きのこ展でガイドブックを買い求めたヒトは内容を確認してから購入されることをお勧めします。

カビ図鑑
― 野外で探す微生物の不思議 ―

細矢 剛(国立科学博物館)・出川洋介(筑波大学)・勝本 謙(元・山口大学)/著
伊沢正名(隠花植物写真の第一人者・糞土師)/写真
B5判 160頁 オールカラー
定価 2,500円+税
ISBN978-4-88137-153-4
http://www.zennokyo.co.jp/book/index_kb.html

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細矢さんを囲んでPart2

2010年06月13日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様

細矢さんを囲んでの観察会は、有峰の交通事情が悪いために、南砺市利賀に場所を変更して行われました。夕方から雨の予報、石川きのこ会員を含めて参加は19名でした。
Dscn0524 今回の観察場所は利賀地区坂上、私は初めてここを訪れました。

晴天続きのため、乾燥状態でしたが「オオッツ!」という細矢さんの挑発的な発声に会員が駆け寄ります。
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カシノアシナガキクイムシに冒されたミズナラが伐採処分されており、至る所で枯死した木が無残な姿を晒しておりました。
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より湿った環境を求めて、南砺市指定天然記念物の「坂上の大桂」の近辺に移動しました。
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Hymenoscyphus(ビョウタケ目)
Dscn0530桂の樹下では色々な子嚢菌が観察されました。

ミズナラの伐採跡地にアラゲコベニチャワンタケの仲間が群生しておりました。同じ場所に2種類の発生が確認され、センセーションを巻き起こしました。
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Anthracobia
地面から発生し、毛がある。
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ピロネマキン科(Pyronema?)
上の種よりもオレンジ色が薄く毛がない。
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蕎麦の里で昼食後(随分と待たされましたが…蕎麦は美味しい)、同定会となりました。
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Hymenoscyphus(ビョウタケ目)
Dscn0541 このタイプで柄の付け根が黒くなっている場合には注意が必要。基質中にストロマ(子座)を有する菌核菌の可能性がある由。ニセキンカクアカビョウタケが「ビョウタケ」から「キンカク」へ移ったのは好例。

前出の2種…焼け跡のような環境(直射日光が当たる乾燥状態)に出てくるカロチノイドを作る科だそうです。
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Cosmospora(広義のNectria)
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Lachnum⇒混沌としているそうです
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Diatrype(黒い方:ホスト)、Cosmospora(赤い方)
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前出の黄色いヤツ:Hymenoscyphus(ビョウタケ目)
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Mollisia(ヘソタケ)
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Lachnum
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シロヒナノチャワンタケ[Lachnum virgineum (Batsch.: Fr.) Karsten]+Mollisia
Dscn0550 大桂の樹下で発見!このほかヒナノチャワンタケも観察されました。

Enthormophthora(Erynia?)
Dscn0551 これは非常に珍しい接合菌だそうで、虫の回りを菌糸が覆っている様子が…イラストで説明されて初めて理解できました。見付ける方も見つける方ですが同定する方も同定する方ですよね。

午後3時過ぎ、北陸も入梅したのかぽつぽつと雨が降り出しまして、今回の観察会はお開きとなりました。
Dscn0552 小さな小さな子嚢菌の世界にすっかり驚かされてしまいました。ルーペは必携ですよ。どうやって断面の切片を作るのか?実体顕微鏡での作業になるのでしょうかネ?
細矢先生、ありがとうございました。面白い世界を垣間見ることができました。

ちなみに顕微鏡講座で観察した…こいつは?
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菌糸が座布団の様に広がっている様子だそうです。
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シロヒナノチャワンタケ
[Lachnum virgineum (Batsch.: Fr.) Karsten]
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立山寺でチンした冬中夏草は…
オオセミタケ[Cordyceps heteropoda Y. Kobayasi]
Dscn0399 床尾さんからご教授いただきました。こいつはホストが浅いので割りと簡単に掘り出すことができるのだそうです。

富山きのこクラブの皆様
木や葉っぱばかりの写真で済みませんでした。美しい子嚢菌の世界は…ご自分でご覧くださいね。
昨日の講演のスライドの一部を掲載します。
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細矢さんを囲んで Part1

2010年06月12日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様

富山県中央植物園友の会の講演会が開かれました。
講師は国立科学博物館の細矢博士。特別展「菌類のふしぎ」展へ有志で出かけた際にお世話になりましたのでご存知の方もいらっしゃると思います。
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とてもきさくな先生で「私はきのこが嫌いです」から講演がスタート!
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Ⅰ 国立科学博物館の紹介
 最初につくば研究所の概要と標本庫・標本の管理方法の説明がありました。
「火事になったら真っ先に運び出さなければならないタイプ標本と見捨てて燃やしてしましたい標本がある」由。

きのこの分類の世界は大きく揺れ動いている状態だそうです。今日は古典的な分類(もう変わりようが無い)での紹介。
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顕微鏡講座でもでてきました、子嚢の種類。
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Ⅱ 子嚢菌類の研究最前線
細矢博士が行ったブナノミシロヒナノチャワンタケの研究内容が報告されました。全国のサンプルを集めて遺伝子分析を行い、どのようにこのきのこが分かれて行ったか?富山でも標本の採取に協力したそうです。
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最後に観察のスタイルと道具の説明がありました。
「沢山の人が集まって観察している様子は異様で、まるで落としたコンタクトレンズを探しているようです。明日は皆さん、こんな格好で観察してもらいますよ」
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夕方、有志で食事会がありました。
既に酔菌…メタボな私とツーショット
Dscn0519 「菌類のふしぎ」展の企画のご苦労など…おもしろいお話を聞くことができました。
Dscn0523 池田先生も参加され楽しいひと時を過ごすことができました。
明日は利賀村で観察会です…とても楽しみです。

富山きのこクラブの皆様
細矢博士が講演で使用されたシートを頂きました。公表・配布のお許しも頂きましたのでご希望の方はご一報ください。ここで紹介し切れなかった内容が多数あります。

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顕微鏡講座 初級編

2010年06月06日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様

富山県中央植物園友の会/きのこ部会の顕微鏡観察会が開かれました。
今日のテーマは「子嚢菌類の観察」で金子さんが講師をされ、10名の参加がありました。
橋屋さん・金子さんが前日に採取されたサンプルを観察いたしました。
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① 私が最初に観察した…菊花状の不明種。
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実体顕微鏡で見ると周辺が波打っています。
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まだ胞子は未熟ではっきりしません
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② これも不明種
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メルツァーで染まらない。子嚢の蓋は確認できず。
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胞子の表面はスムースではなく、トゲ?襞?あり
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③ チャワンタケの仲間
子嚢の頂口がメルツァー試薬で青く染まって、美しい風情。
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④ ジャガイモタケ[Octavianina columellifera Y.Kobayashi]の胞子
表面に翼がある…私にはそのようには見えないですが…もっと精進が必要なようです(^^;
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⑤ これもチャワンタケの仲間?
実体顕微鏡で観ると、表面が細毛で覆われていました。
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なかなか面白いですね。
次回は6月27日(日)13:00から、栗林さん講師の中級講座です。皆さんふるってご参加ください。

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