富山きのこクラブの皆様
中央植物園友の会きのこ部会の講演会がありました。講師は森林総研関西支所の服部 力博士、演題は「多孔菌類の分類-旧システムでの属解釈と最近の情勢」 であり、前半はサルノコシカケ類の分類について、後半は主な属の特徴についての説明がありました。 写真はちょっとオタッキーに写っていますが…温厚で優しそうな方でした。一緒に飲むと面白いだろうなぁ~と思います。
以下は私のメモで、多分にエラーが有りますので、スライド以外は信用しないでください。
①サルノコシカケの分類は難しい?
例えば保育社の図鑑(1988)では、ハラタケ目には検索表まで載っているのにヒダナシタケ目には属の特徴の記載が少ない(革新的な体系を取り込む時間がなかった)、海外の文献も良く判らない…こんな状況。
④分類の変遷
○フリース・サッカルド時代
子実層托形状、多年生か否か?
○ボンダルツェフ・シンガー・今関時代(1943年頃~)
全体の形状・肉質・胞子形状・(層状構造)
○リバルデン・ギルバートソン時代(1986年頃~)
菌糸型・ヨウ素反応・シスチジア・クランプ・腐朽タイプ
⑤担子菌類の古典的分類(例えば山渓「日本のきのこ」)はどうもおかしいな…1995年頃からDNA解析が普及し始め、分子系統的研究から高次分類群レベルで、腐朽タイプ・菌糸型と菌糸の形状をベースに分類。
⑦ Dictionary of the Fungi 10th ed. に関しては、あくまで暫定的なもので無理して暗記する必要は無い
⇒これを聞いて助かりました(^^;
⑨Binder et al. (2005)の研究を基に「多孔菌類の取りあえずの情勢」ということで12クレードの解説
⑩リバルデンのシステムは他よりBetter、 先ず属まで
⑪形態分類体系を学んで名前をつける、DNAでどうにもならない状況にある
後半は多孔菌主要属の解説をされました。
◆マスタケ[ Laetiporus sulphureus (Fr.) Murrill ]
クランプを欠く原菌糸と結合菌糸を有する。肉質は柔らかくゴミっぽい臭い。対するシロカイメンタケはクランプのある原菌糸と骨格菌糸を有し、肉色はややピンクを帯びる。味は酸っぱく臭いは漢方薬。⇒以前、武田先生から頂いたのはこれだ!菌糸を見ると一発で判る由。
従来は、マスタケ・アイカワタケ・ヒラフスベで分けられていたが、マスタケには孔口がレモン色の針葉樹タイプと孔口が白~クリーム色の広葉樹タイプが有り、ヒラフスベはアイカワタケの担子胞子を作らないタイプで、形態が異なるだけとされている。
◆白色腐朽と褐色腐朽
オシロイタケ対オオオシロイタケ、クジラタケ対ホウロクタケ等腐朽のタイプが分類の重要なポイントとなっており、グアヤクチンキや1-ナフトールが白色腐朽菌が含むラッカーゼに反応する呈色反応も有用。(グアヤクチンキは色々な物と反応するので、先生のお薦めは1-ナフトールだそうです)
配布された資料は、内容が不完全なので転載・引用を控えで貰いたい由…詳述できないのが残念ですが、60弱の属の説明があり、私自身も再度、反芻しなくては内容が濃すぎて消化できないでいます。
池田先生の顕鏡図とサンプルを見ながら同定される服部先生(はやくも老眼か?)。サルノコシカケ類の胞子を観察するときは、担子器に付いているものを観察すること。数が多くとも誤る可能性が大きいとのこと。
あまりにも面白いお話が満載で、3時間の講演があっと言う間に過ぎてしまいました。
今まで判らなくて敬遠していましたが、ちょっと多孔菌類を勉強しようかな~という気になりました。
服部先生有難うございました。
早乙女さんがんばって!
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