富山きのこクラブ
きのこ染め講習会参加の皆様へ
植物園の橋屋です。
明日(16日、土曜日)の午後1時より、植物園管理研修棟2階実習室にて、ロクショウグサレキンによるきのこ染め講習会①を行います。
申し込まれた方はお忘れないようにお願いします。
持ち物は、汚れても良い服装、ゴム手袋、タオルなど染める絹布は橋屋が用意します。
費用は絹布代(大きさや質、織り方などによって若干違いがあります。1枚約1,000円弱)と諸経費若干です。
染めでは強アルカリを使いますので、必ず指導者の指示には従ってください。
これは絶対お願いいたします。
なお、この講習会は事前申込で、既に定員に達しておりますので当日いきなりの参加はできません。悪しからずご了承ください。
_/_/_/_/_/ 富山県中央植物園 橋屋 誠 _/_/_/_/_/
2月16日にきのこ染め講習会がある。
中央植物園のきのこ部会の定例行事にしようと、昨年の準備会からスタートした取り組みだ。
今回はロクショウグサレキン(モドキ)を使って行う予定。昨年、山に行くたびに少しずつ集めてきた、菌に染まった木を薄く削って染料を抽出するのだ。
「ロクショウは毒だから…気を付けないと」
…とピンボケな事を言う妻と、収集した木片のクリーニングから作業開始。
「おおっ…これはなかなかの上物!」といいながら、スタートは快調!
少しのかけらも回収しようと、まるで宝石の原石探しみたい。昼前から延々と作業を続けて夕方の5時に一旦終了。今回の必要量は350グラムで…集めてきた材料は3kgほど有るから楽勝!と考えていたのが甘かったようだ。
一日で終わるはずが、明日に続く…
富山きのこクラブの皆様
富山県中央植物園の平成19年度研究発表会がありました。副題は「植物園を支える研究活動(12)」、合計10テーマの発表がありました。
テーマは
●富山県を代表する植物群落の30年の変化
地球温暖化の為か、ハイ松の枝の成長が著しいなど面白い研究成果が紹介された。
●立山自然保護センターで採取した靴底土から発芽した植物
立山を訪れた人が運び込んだ土から、ミニトマト(お弁当由来)やオオバイヌビワ(台湾~東南アジアからの観光客由来)が発芽した由。みなさん…立山に入るときには靴の泥を拭いましょう!とのこと。
●富山県で新たに生育が確認された植物(11)
シンジュボシマンネングサを本邦初確認、新和名を付けて報告…井上さちこ姉御が大活躍。他にも新種の確認には友の会の会員の活躍があったとのこと。真珠星が天空に輝く頃に開花するとのこと。
●アマギザサ節のササは富山県にも分布するか?
ササは分枝の形態で見分けが付くそうだ。
●日本産エビネ属の種子発芽に及ぼす影響
試験管の中での最適発芽条件の探索。
●オオオニバスの栽培
●富山県中央植物園における植物季節現象
●アキギリ属の園芸利用
サルビア…世界で500種以上、地中海・メキシコが中心。基準種はセージ。挽き肉+セージでソーセージ!…今日は賢くなった。
●トウツバキ園芸品種の保全に関する日中共同研究
中国雲南省の昆明植物研究所との共同調査研究…確認されただけで300本あまりのトウツバキの古木があり、DBを作成中。
橋屋さんからは「富山県で記録されたきのこ(12)」の報告がありました。
きのこの調査でも友の会会員の活躍が目覚しい由。
発表の6種のうち5種は会員の発見に依るものだそうです。
ササクレヒメノカサHygrocybe caespitosa Murrill
全体は明るいオレンジ色で、カサの計1~3cm、表面に粘性がなく、細かなササクレがある。束生し、傷つけると灰色に変色する。諸功徳不明。富山市寺家 寺家公園 2007年7月10日 橋屋氏採集 富山県初記録。
オニカワウソタケInonotus ludovicianus (Pat.) Murrill
常緑性シイ・カシ類の大径木に発生。全体はこげ茶色、表面に不鮮明な環紋あり。古くなると裂け目ができ、乾くともろい。不食。富山市寺家 寺家公園、アカガシ老木の幹上、2007年10月11日、橋屋氏採集、北陸初記録。
コフキクロツチガキ Geastrum pectinatum Pers
. 外皮は放射状に裂けて反転し、中央の内皮は丸い玉状で、下には短い柄がある。口部の孔縁盤はひだ状で突き出ており、周りに円座が見られない。内皮の表面は灰青色。不食。富山市五福 城山公園、落ち葉等の腐植上、2008年1月10日、黒川氏採集。北陸初記録。
キノボリイグチSuillus spectabilis (Peck) Sing
ハナイグチに似るが、傘の表面には圧着した細かなリン片が見られ、管口部は最初から汚黄色、つばは暗赤色で、粘性があることにより簡単に区別できる。食用。富山市有峰、カラマツ林内地上、2007年10月18日、野沢恭子氏採集、北陸初記録。
アカエガマホタケTyphula phacorrhiza (Reich.) Fr
. きのこは細長く約8~12cm、全体はうす紫色をしており、下部は濃色で短い柄がある。柄の下にはうす茶色で約7mmの丸くて押しつぶした形をした菌核がある。上新川郡立山町栃津 樹木園、湿った腐植上、2007年11月17日、橋屋氏採集、北陸初記録。
キッコウスギタケPholiota cf. destruens (Brond.) Gillet
カバノキ科の倒木や根際部に発生する。傘には圧着したリン片があり、つばは綿毛状。きのこは肉質で、傘が開くとマツタケ臭のような強い匂いがある。食毒不明。富山市有峰 猪根平、ウダイカンバの落枝上、2007年10月18日、橋屋氏採集、北陸初記録。
富山県中央植物園は現在、「花と緑の銀行」が指定管理者となっており、年間8万人の入場者目標に対して1月末で8万5千人だそうです。来年から2年間、同じく「花と緑の銀行」が管理機関になったそうで、累計の入場者数も100万人(県民の10人に1人)に達するそうです。また、このような調査研究活動を行っている植物園は数えるほどしかなく、現在植物の国外移動を禁止している中国との共同研究は特筆するに価するものと思われます。
参加者は50人強で、昨年よりも多かったように思います。私のようなド素人にも、判り易く・面白く研究内容を説明してくださる(実はこれはとても難しい!)…とても有意義な研究報告会でした。研究論文をHPで発信して貰えると有難いと思うのですが…。
来年も楽しみです。さて…100万人目は何処へ?