横手駅での乗り換え時間は4分でした。
北上線の一番ホームから連絡橋を渡り、隣プラットホームに停車中の、湯沢発秋田行きに乗車しました。
電車は18時7分に横手駅を発車しました。
隣の2番線の電車を写した写真に、ガラス窓に反射する西陽が重なりました。
そう言えば、横手の街はいつも素通りばかりです。
横手にはバラ園があるので、バラが咲く頃に訪ねたいと思いますが、人生の持ち時間の中で実現するでしょうか?
兎にも角にも、私は欲張りで、やりたいことが多すぎるのです。
横手駅を出た電車は程なく後三年駅に停車しました。
後三年という駅名は、前回の18きっぷの旅の途上で目にしてから気になっていました。
後三年の名は、この辺りが後三年の役の古戦場だったことに因ります。
後三年の役は、11世紀の平安時代後期に奥羽を実質支配していた清原氏が消滅し、欧州藤原氏登場のきっかけとなった戦です。
実は私は、高校時代は日本史が嫌いでした。
あの頃、何の為にこんなことを覚えるのか? と思いましたが、受験の為に仕方なく勉強した記憶があります。
しかし今は、その土地毎の山川などの自然環境、稲作や海運街道などが密接に関わる暮らし、統治と戦が複雑に交錯し関連する現象としての日本史を楽しんでいます。
後三年駅を出た電車の窓に、横手盆地を縁取る峰に沈み始めた夕陽が見えました。
いつもであれば、植物園で撮影した写真の整理を終え、ようやく床に就く時間の、朝4時過ぎに家を出て始発電車に乗り、その後も延々と電車に揺られ続けましたが、日没を迎えると、後の旅は単なる移動時間に変わります。
電車が停まった駅のホームに飯詰の駅名を認めました。
地図で確認すると、この付近は仙北郡美郷町に属しますが、私は幾度も車で、この辺りの角館街道を走り抜けた経験があります。
緑豊かな農村地帯に平穏な雰囲気の集落が点在する光景を思い出しました。
そして夕陽は輝きを増し、
出羽山地の裏に沈んでゆきます。
今日も本当に素敵な一日でした。
そして電車は大曲に停車し、陽が沈んだ後のガラスが、分刻みのスピードで鏡に変化し始めます。
夜のとばりが車外の景色を覆い、乗客を追憶と回想の世界へ導きます。
そういえば、大曲で想い出すのが花火大会です。
何年前のことかは覚えていませんが、雄物川の堤防に車を停め、運転席に座ったまま、川面に上がる花火を見上げた夜を思い出しました。
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