列車が山部駅を出ると、右手に芦別岳の山裾が見えました。
雲の合間に、山稜の中へ切れ込む谷が見えます。
あの谷がユーフレ川で、その奥に避難小屋のユーフレ小屋があります。
私が所属した山岳会はユーフレ小屋をベースに、その裏手の夫婦岩や芦別岳に直登する本谷周辺の岩壁でロッククライミングに勤しみました。
今本棚を確認すると、1978年の12月30日からの正月を夫婦岩の岩峰で過ごした記録が出てきました。
山部駅を出た列車は、空知川に沿って南下し、
下金山駅に停車しました。
この駅が開業したのは1913年ですが、1921年から1954年にかけて、西達布の東大演習林からこの駅の貯木場まで、馬車軌道の森林鉄道が木材を運搬していました。
しかし来年の2024(令和6)年4月、富良野駅-新得駅間の根室本線の廃止にともなって下金山駅も廃駅となる予定です。
下金山駅周囲で数件の民家が、セイタカアワダチソウやオオイタドリが繁茂する草藪に飲み込まれそうな風情で立ちすくんでいました。
根室本線と並行する国道237号に「くみあい配合飼料」と記されたトラックが占冠村方面へ向かいます。
この辺りから占冠までは27km程の距離です。
占冠には特急列車が走る石勝線と千歳空港や札幌へ伸びる高速道路のICがありますので、来年4月に根室本線の富良野-新得間が廃止になれば、国道237号の役割が増すことでしょう。
列車は程なく金山駅に停車しました。
素朴で鄙びた雰囲気の駅舎が見えます。
金山駅は1900(明治33)年の開業です。
この辺りは西に位置する夕張岳山稜から流れるトナシベツ川からトナシベツの地名でしたが、周囲の川から砂金が採れることから金山の地名になったそうです。
私が帯広で学生生活を過ごしていた頃、サークルの仲間が、帯広駅を22時頃に発車する札幌行き普通夜行列車に乗って、夜明け前の3時頃に金山駅で降り、夜明けと共にトナシベツ川沿いの林道を7km程歩き、その後尾根に取り付いて夕張岳に登った話を聞かされました。
私もそれを聞いて、夕張岳固有種であるユウバリコザクラなどが咲く季節に登りたいと思いましたが、願いは叶えられませんでした。
しかし65歳になった2016年、サークルの後輩で札幌在住の森幸二さんが付き合ってくれて、念願の夕張岳に登ることができたのです。嬉しかったな~
森さん、あの時はお世話になりました、本当に有難う。
列車は7時49分に金山駅を発車しました。
車内に目を向けると、ベンチシートに女子高生らしき姿が見えます。
通学途中のようです。
前回の「青春18きっぷ」 「青春18きっぷ」花の旅 北海道
「花の旅」の全て 「花の旅」 総合目次
筆者のホームページ 「PAPYRUS」