Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

鏡でも見えない

2011-04-23 | Others
 日本では大人が若い人のファッションをなぞるようになって久しく、おじさん達の中にも2シームで爪先の反り返った靴や、体型を無視してお尻が出たタイトな上着を着た人もいます。
若返った気分になったりモテ効果でもあるのでしょうか、一度その方向に踏み出した人は、エスカレートしてしまう傾向にあるようです。

TVでみるメドベージェフの肩幅が狭く頭部が大きく見える装いは、何だか日本人店員ぽくも見えるので、そうした傾向を勝手にメドベージェフ化と呼んでいます。



この話に関連して度々引き合いに出す、ケーリー・グラントの「北北西に進路を取れ」だったか「シャレード」だったか「めぐり逢い」で着用したスーツには、頭の幅に対する肩幅を確保するためでしょうか、腋の下から肩の位置が、例えば向かって右肩なら時計でいうと7分くらいを指す角度に付いたものがありました。
それくらい肩幅の比率に拘ったことが察せられます。

1960年にジョージ・フレイジャーがエスクァイア誌に寄せた記事(George Frazierで検索していただくと見つかるか)には、ケーリー・グラントが利用する仕立て屋はハリウッドや香港にあると紹介しています。('80年代アラン・フラッサーが最初の本を出した頃にも、やはり香港の仕立て屋は腕も良く格安と紹介されていましたが、気に入りの一着を持ち込むよう注意することも忘れていませんでした)

ある程度の年齢にも関わらず、冒頭のようなことになってしまうのは、やはり自分のことは誰しも客観視できにくいからでしょうか。
それについて、ルチャーノ・バルベーラは自分を理解してくれる仕立て屋さんと出会うことが、とても大事だと言います。
日本では環境的になかなか難しい選択肢なので、信頼のおける第三者の真摯な言葉に耳を傾けられるよう、常に心の準備をしている他はなさそうです。

ところで、「時代の流行に左右されない、優雅な装い」を提唱したはずのジョージ・フレイジャーという人も、後年の写真で、すっかり裾の拡がったパンツをはいている姿を見たような気がします。その記憶が確かなら、この道もなかなか油断なりませんね。


油断ならないの図 
(the Ultra-Loungeシリーズの The Crime Sceneより)
山田宏一さんの「美女と犯罪」を想い起こさせます。
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