Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

袖から先のことは.....

2012-05-05 | Others
 昼間の番組で、コメントを求められていた元大臣という人がテーブルに肘を突いた途端、ニョキッと白い手首が10cmちかく剥き出しになりました。
私共が着ないコンバーティブル・カフという袖口で、そのカフがユルユルで裄が短い日本的な着方だったからでしょう。
でも、フレンチ・カフみたいにカフリンクスで留めるものは、オーダーであっても、生地・芯地の厚みといった要因もあり、調度よいカフのサイズ設定が難しいのは確かです。



久しぶりに訪ねてくれた円山さんが、一通り話し終わるとカバンからおもむろに一冊の本を取り出しました。
廻った先で昨日買ったけど、ちょっと目を通してみてと言います。

そう言っておきながら、横からずっと話し続ける円山さんには適当に返事を返しつつ、一応全ページに目を通しました。
著者はどこかのバイヤーという方だそうで、良いスーツを買う為の指南書といった趣です。
同じような仕事でも当然向き不向きがあって、全く目が利かないと、会社によっては不良在庫の山を築いて億単位の穴をあけた人もいると聞きました。

その本によると、同じフロアに置かれた一般的な商品との整合性が心配されるような箇所もありますが、担当商品に関しては、作りに対しての拘りをあますところなく披歴されているようです。
また例えば、流行と伝統的な装いとに齟齬が懸念されるような部分について、「現在の風潮はこうですが、本来はこうあるのが望ましい」といった表現で目配りも忘れていないので、内容的にはたぶん間違った事は書いていないでしょう。

唯一気になったのは、シャツの裄丈についての記述で、「長過ぎたとしても4cmくらいまでだったらボタンをずらすことで対処できる」というような箇所がありました。
日本の百貨店等でワイシャツ売場へいくと、裄をほとんどピッタリに測って選ぶのが一般的で、その為シャツの袖口はユルユルです。

何度か書いた気がしますが、言うまでもなく、次善の策としてボタン位置を動かすわけではありません。
もちろん、既製のままでカフのサイズが合う方は手を加える必要がありませんが、首周りを合わせるのと同様、カフのゆとりも着る人に合っているのが理想です。
その為には、様々の腕の動きに追従してくれるだけのゆとりが袖丈に求められます。
すると、先の例にあった4cmではまだ足りません。

残念ながら、そうした着方に対応できる本物のシャツを揃えている店は、そう多くないのが現実です。

20代半ばにホーズを履いてみましたがすぐには馴染めず、再び試して習慣化したのは20代後半になってからでした。白麻のハンカチーフを持ち始めたのもその頃です。
今日、シャツの首周りも袖口も緩るすぎるより適度に合っていた方が、格段に見映えの良いことを知っています。
しかし、そうした基本的な部分をおさえても、悲しいかな着こなしが良くなるわけのものでもない事も、もっとよく知っています。


「シャレード」より、こちらはフレンチ・カフ。

「昼下がりの情事」より。こちらは更に画像が荒くて申しわけありませんが、左袖のシルエットで、いかにゆとりをもたせているかご覧いただけます。



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