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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第398回(2019年 10月 7日(月)配信)・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
ものづくり・工場改善 会社編⑩ 石匠六代 但馬石材
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はじめに
昨年の9月に父が亡くなり、今年のお盆が初盆でした。
初盆までには墓をつくりたいということで、但馬石材さんにお願いをしました。
今回は、ものづくりの視点から、
・墓地がきれいになっていく様子 と、
・石材やさんで一番難しいと聞いた墓石への文字の彫り込み を、
ご紹介したいと思います。
但馬石材さんの紹介
但馬石材さんは、写真の看板にあるように、なんと、
墓石専門に200年6代に渡り石匠をされています。
また、出身中学校の日高西中学校の前に石の加工工場があることから、
わりかし身近な感じがしていました。
今回、父のお墓をお願いすることにしました。
墓等に関しては全く経験・知識が無く、いろいろと困りごとも出ましたが、
いろいろと相談に乗ってもらいながら進めました。
墓地をきれいにしました
①荒れ放題の墓地
我が家の墓地は、約140年前に現在の位置に移転してきたようで、
また、その後あまり不幸が無かった為、3基のお墓を追加で作っただけで、
写真のように荒れ放題になっていました。
・お盆の花が飾ってあるせいでしょうか、遠目に見ると悪くはなさそうですが・・・
・近づいてみると、墓地の後ろ側は草ぼうぼうですし、
・右側の墓石の列は、苔が付き、傾いたり、壊れたりしていますし、
・左側の墓石の列では、墓石がつくられずに放置されています。
②まず、後方の石垣をつくり墓地の区域が明確になりました
・墓地の工事が始まると、この蜘蛛のような機械が据え付けられ
・墓石自体が後側と左側にどかされ、(写真は後ろ側にどかされた墓石)
・中央部分はきれいさっぱり何も無くなりました。
・そして、まず後ろ側に石垣がきれいに積まれました。
(え、まず石垣をつくるのですかとびっくりしました。)
左右の石垣とも違和感なくマッチしています。
(とてもきれいに積まれているので、素晴らしいですねと社長さんに言うと、
いつもやっていることですからとのことでした。)
③左右の墓石の列つくり(左側を例に取り上げています)
・土を掘り、墓石が傾かないように、地盤をコンクリートで固め、
・一直線に伸びた縁石が設置され
・墓石のレイアウトを確認して、
・墓石が整然と設置されました
④全体の出来上がり
・出来上がった全体の状態はこんな感じです。
・父の墓もできました。
墓石で一番難しい墓石への文字の彫り込み
技能・技術が必要なポイント
墓石に刻まれている戒名の文字は、よくよく見てみると、
太い部分は深く彫られています。
(「大」の右下のはねる太い部分は深く彫られています。)
(尚、太い部分は後で書いていますサンドブラスト工程で、長時間サンドを吹き付け、
細い部分は短時間のサンド吹き付けになります。難しそう。)
かつ、周囲が掘られた島のようになった部分は欠けたり取れてしまわないように
しないといけません。
(「姉」の「女」の中央に残った島が取れてしまわないようにしないといけません。)
(これを防ぐには、後で書いていますが、マスクとなるゴムシートの石との
密着を確実にしておくことが大切です。)
この2点が一番技能・技術が必要なポイントだそうです。
(失敗が許されないので、難しそうですね。)
(また、文字にも楷書とか草書とか行書とかいろいろあり、
楷書と草書は特に難しいそうです。・・・この部分、豊岡市商工会
会報のスマイルの数森石材様(豊岡市但東町)の記事を参照)
墓石に戒名を刻むには、
①まず戒名を普通はパソコンソフトでプリントアウト
ただ、今回は母が習字の心得があり、自分で書きたいということなので
戒名の文字は人が書きました。
(母は上手に書かれていると褒められ、ご満悦のようでした。)
②戒名を書いた紙を墓石に貼り付け
温めた墓石に厚さ約4mmのゴムシートをまず貼り、
ゴムシートをゴムハンマーでたたいて密着性を高めます。
さらに、その上から戒名を書いた紙を貼り付けます。
紙の周囲を養生テープで剥がれないように貼っておきます。
下の写真の左側が習字で書いた文字です。
右側が墓石に紙を貼り付けたものです。グレーの文字が転写された状態です。
③ゴムシートの文字の部分を彫刻刀で切り、剥がす
写真のような彫刻刀を使い、ゴムシートの文字の部分に切れ込みを入れてゴムを剥がします(カッティング)。
丁寧にきれいに剥がさないと文字がゆがんだり変形するなどの問題が出る可能性があります。
作業終了後、再度ゴムシートをゴムハンマーでたたき、密着性を向上させ、
後工程のサンドブラスト工程で問題が発生しないようにします。
(今回は手書きでしたが、今はゴムシートに印刷して専用の機械が切り抜きが
一般的だそうです。)
④文字の部分を機械で荒彫りする
荒彫り機械で文字の部分をざっと荒彫りします。
荒彫り機械は、ドリルのようなものが回転して、石を削るイメージです。
(素人目には既に出来上がっているように見えますが。)
⑤サンドブラスト機械で文字をさらに深く彫る
サンドブラスト機械は、文字の部分にサンド(砂という意味ですが、社長さんによると鉄を使うそうです)を一方向から吹き付けて(ブラストは風という意味です)ゴムシートをとった部分の石を削り彫る機械です。
ゴムシートがマスクの役割をすることで、きれいに文字が深く彫れます。
むかしはこれをいちいち人が手でやっていたのですから大変な手間ですね。
また、出た石の粉を肺に吸い込み病気になられる職人さんが多かったそうです。
以上の工程をまとめると以下のようになります。
⑥必要により、文字に色を付ける
墓石自体が白っぽいので、文字(の彫った部分)は黒色に、
まだ生存している母の戒名の一部分は赤字にします。
⑦ゴムラバーを剥がす
ゴムラバーを剥がして出来上がりです。
良い石匠さんは掘られた文字が「きれい」とのことなのですが、
素人の私にはなかなかその「きれい」の違いが分かりませんが、
但馬石材さんには父の立派なお墓をこしらえて頂きました。
ありがとうございます。
井上 直久
◆但馬石材さん連絡先等
本社
所在地:豊岡市日高町十戸滝ノ前
TEL:0796-44-0777
工場
所在地:豊岡市日高町十戸西中学校前
TEL:0796-44-0227
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