恐怖の痴呆症

　温泉の脱衣場に入った途端、風呂場からわめきが聞こえてきた。
　喧嘩でもしているのかと思いながらこわごわ中に入って行った。

　80歳代の姉妹と思える二人組みが体を拭いて出る支度をしていた。
　「出るよ、分ったね！」一人は命令調の大声で言いながら先に出た。

　もう一人はついて行くと思ったのに、湯に浸かリに行くではないか？
　瞬時に出て、かけ湯して、体を拭いて、タオルをゆすいで出る支度。

　又もや湯にザボン！その行為を何度も繰り返してフラフラしている。
　服を着終わった相方が鬼の面相で戻ってきて無理に引張って行った。

　私は体を洗うのも忘れて見ていた。他人事と思えず怖くなった！