森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

人間を侮ってはならない

2012年02月03日 08時35分22秒 | 日記
少し前のテレビにほめるとパフォーマンスがあがると取り上げられていた.
だれしも,けなされるよりも褒められる方がうれしい.
しかしながら,それを行動主義的にとらえてもらったら,
結局は,刺激を与えましょう,と
刺激―反応連関に舞い戻ってしまう.

Enrich environmentも同じである.
人間って,そんなに単純なんだろうか.
例えば,お金持ちの親に毎日ほめられた子どもが,
成績を必ず伸ばすだろうか.
結果をほめられた子どもは逆に壁にぶつかった際に
それを乗り越ええようとしないや,
外部報酬を与えられた行動を変えていた者は,
外部報酬が与えられなくなったら,それを継続しなくなる.
なんていう結果は,いまだ行動主義を脱していない.

結局は,与える―受けるの構図では,ポジティブな結果が出たり,
出なかったりと,本質をついていない.

これでは何も変わらないのである.
感覚を入れましょう!って運動療法を組み立てていっていたころと変わらない.
報酬を与えましょう!と.

二項関係から三項関係へ.
共同注意の関係から,報酬が創発されるように,
関係性を築くことが大切である.

報酬は関係性からほわっと生み出されるものである.

そのために他者がいて環境がある.

信頼関係のない他者にほめられたら,むしろ嫌悪感いっぱいで不愉快であるという感覚はだれしも経験しているはずである.

絶妙な最近接領域にて,報酬が創発されるように.
これはものすごく難しい現在進行形の現象学である.