森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

たたき上げ!っていいでしょう

2012年05月07日 09時45分19秒 | 日記
先日、ベトナム国立大学のToi教授をむかえ、
うちの大学のスタッフと情報交換を行いました。
http://www.kio.ac.jp/information/2012/04/post-501.html


島津製作所からのご依頼であり、
いつも無理をいっている関係であるため、
私たちで協力できる範囲で対応させていただきました。

Toi教授はお人柄のよい方で、
ご自身の大学のことや研究室でやられている研究に関して紹介いただきました。
一方、私たちは、私の方で研究室の研究の方向性、
そして、グループの前岡氏から痛みの脳内機構に関する研究、
中野氏からは運動学習における脳内機構に関する研究について紹介がありました。

私の方はプレゼンの依頼が4日前であったために、
十分な英語での準備ができないことから、
幼稚な英語だったかもしれませんが、
無事にディスカッションまで行うことができました。

彼らは姿勢バランスに興味をもっているようで、
グループの冷水氏の研究に興味をもっていました。
冷水氏の研究は自己観察フィードバックによる姿勢バランスの向上です。

実際の情報交換会に関しては、企画部の伊藤氏にも少しお手伝いいただきました。
彼はTOEIC900点以上の英語脳をもっており、
サポートいただきました。
彼のfacebookには私の英語がまさにたたき上げであることを示してくれました。

実は私は英検やTOEICなんかにはまったく触れない生活であり、
英語の文法なんかそもそも興味がなく、
そのまま渡英して、語学学校に入った経験があります。
午前中は語学学校、午後はバースの王立病院の臨床で、
セラピストや患者さんと適当な英語でしゃべっていました。
適当な英語なので、今でも自分の英語はおそらく幼児なものだと思います。
しかし、幼児でも日本語によるコミュニケーションは成立しており、
いかに共同注意による現場学習が大事かがわかります。

書く、読むことは教育、学習が必要ですが、
話すことは形式的な教育、学習はとりたてて必要でなく、
母親との共同注意によってはぐくまれるものです。
だから、私の英語もそのようなものなのかなと思います。

しかしながら、英語圏でまくしたてたれると、幼稚園児なので、
対応が不十分なわけです。
自分の留学先が英語圏でなく、
フランス語圏であったため、途中でとまっているわけです。
イタリア語、フランス語、希望を使える会話は成立しますが、
それ以外は成立しません。

このあたりも、幼児の命名期における、疑問符による会話ににています。

いずれにしても、言語は共同注意から学習するものであって、
人との関係で生み出すものであり、
そこには行為や道具が欠かせないわけです。
三項関係をどのように構築するか、
それが語学学習には大切なのではないでしょうか。


さて、たたき上げという言葉から、
実は私には明確な師匠はいません。

研究にしろ、論文執筆にしろ、臨床にしろ、
論文投稿手続きにしろ、
何にしろ、誰かに教わった経験はありません。
すべて、盗み模倣しながら経験をつくってきました。
だから我流なんです。

学ぶというものは、自らの経験から得られる。
あくまでも受け身では成立しない。

その際、このような人生をあゆみたい、
こんな人生になりたい。
とかあることかが、能動性を後押しすると思います。
一方、切迫感も大切でしょう。
将来への不安は、ネガティブでとらえられる一方、
人間をたくましくする手続きでもあります。

今の日本は若者にとっては不安なようですが、
僕は日本が変わるチャンスだと思っています。

残念ながら、自分は自分が何者であるかが、
もうわかりました。
だから、不安感はありません。

けれども、若者はまだ自分が何者であるかがわかりません。
いや、何者でもないという方がよいでしょうか。
だから、不安になるわけです。
だから、仕事が向いていないとか、思うわけです。

何者でもないという感覚は、
不安感をもたらす一方で、挑戦というものをもたらします。

何者かを見つけるために、挑戦してみてください。
たたき上げっていいでしょう。