こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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便の話

2010-06-02 23:48:24 | 訪問看護、緩和ケア
時々初回訪問とかで、ひどく便が貯留している方に出会います。

「今までは?」ときくと意外に「毎日出ています。」と言う方も多く、「便秘です。」と言う方も「3日前には出ました。」というお返事があったりします。

「入院中は毎日出てました。」と言っていた今日の患者さんも、直腸にぎっしりと便が詰まっていて、おなかも結構張っていました。
どうも、おむつ交換の時に、少しでも出ていたら「排便あり」と記録されるからなのだと思います。

でも、どう考えても1日2日の便じゃないんですよ~。

施設も病院も忙しいから、時間でおむつ交換はするものの、直腸までは確認しないのでしょうね。

中には、肛門が押し広げられている方もいます。

この前はターミナルの方が、座薬が入らないほど便で詰まっていました。

ご家族の前で、摘便をすると粘度のような便がとめどなく出てきたため、奥さまはびっくりしていました。
「これじゃあ、苦しかったでしょうねぇ。こんなことをしてもらったことはないし、誰も気ずいてくれなかったし・・」と言っていました。
血圧もかなり低かったので、浣腸はかけずに結局毎日大量に摘便をしても、次の訪問にはまた詰まっている状態でした。
ほとんど食事は撮れていず、IVHの方だったのに、いつからこんなに溜まっていたのか、不思議でした。

寝たきり状態で、意識レベルが下がっていたり、認知が進んでいたりすると、便意もわかりませんし、いきむことも忘れてしまいます。
だから、「ちょっとずつ毎日出ています。」という方は要注意です。
必ず、直腸診をします。

そして、そこから排便コントロールが始まります。

この排便コントロール。
以外にも、ご家族やご本人の信頼を得るのに一番の近道になります。

たとえば、かなりサービス全般に拒否的だった方が、夜になって便秘で四苦八苦し、苦しんだ挙句緊急訪問で排便があったときには、この瞬間からものすごい感謝感激されたりします。
そして、次の訪問からはもう、「どうぞどうぞ」になって、私たちの言うことだけは受け入れてくれるようになったりします。

これは本当に、魔法のようなケアですね。

「下の世話のなかでも、家族でもできない汚い仕事を、夜に来てくれて嫌な顔をせずにやってくれた。」
と言って、お別れの後でもご家族から『あの時は・・』と言っていただけます。

とはいえ、別にありがたがってもらうためにやるのではなくて、直腸に便がぎっしり詰まっている状態で、誰がごはん食べられますか?
ということなんです。
座薬だって出てきちゃいます。

便秘症の方は経験あるかもしれませんが、ひどく便秘して硬くて出せないときには、座るのもお尻が痛くて辛いんですよ。
脱肛や痔のある人はもっと辛い。

在宅での排便ケアは、なくてはならない花形の援助です。