こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
看護師さんも募集中!!

看護師ブログのランキングです。ポチッってしてもらえると励みになります。(^^)/

にほんブログ村 病気ブログ 看護・ナースへ
にほんブログ村

38回地域緩和ケア研究会

2010-06-15 22:44:28 | めぐみ在宅緩和ケア関連
今日は朝から、昨日の記事をめぐって、後日談があったりいろいろなコメントをいただいたりで、考えさせられた一日でした。
いやいや、難しい判断に迫られることが多いですね。

昨日から、うちのステーションには看護協会の『訪問看護研修ステップ1』の研修生が来ています。
その一人を連れて、めぐみ在宅主催の38回地域緩和ケア研究会に行ってきました。

今日は人数も多く、しかも初めての参加者が多かったようです。
そして、今日も研究会は雨でした。

今回の事例検討は、困難事例中の困難事例って感じでした。

さすが女組長Yさん。
あの悪名高いI団地の困難事例を一手に引き受ける方だけありますね。
ケアマネとしては、辣腕です。

精神疾患のご兄弟によるお看取りで、そのご家庭の抱えるさまざまな問題を、辛抱強く一つ一つクリアしながらのプランニングはさすがです。
訪問看護ステーションは、同じ地域のIステーションで、彼女たちもかなり苦しみながらの援助だったようです。

回収事例で詳しい事は書けませんが、いつものグループワークと発表のあとに、ケアマネYさんが言った言葉は考えさせられました。

ある日、区の担当者がたまたま病人を発見し、重体だったために救急搬送した。
搬送先の病院で、精神障害を持ったお子さんたちが、病状や状況を理解できずに騒いだり暴れたりしてしまい、追い出されてしまった。
どこの病院ももう受け入れてもらえず、途方に暮れた区担当者からの依頼でケアマネを引きうけ、訪問診療と訪問看護を入れて、大騒ぎのうちに看取りまですることが出来た。

そこで、彼女が言った事。
「経済的にも困窮し、病状理解も死の受容も出来ていず、常識が通じないと思われるかもしれないが、実際は彼らはとても常識的だと思うし、親に対する思いは周囲が考えるよりも深い理由で生きて欲しいと願っていただけ。
今回も区の担当者が見つけるまでは、そのご家族でずっと介護してきたわけだし、誰も気がつかなければ、彼らなりの愛情表現や介護で自己完結していたであろうケース。
それを、救急車に乗せて病院に連れて行き、彼らの納得の行かない治療をすることで、大騒ぎになったり暴れたりと言う事になってしまった。
はたして、本当に自分たちが介入してよかったのかどうかを、今でも考えてしまう。」と。

そういう事、結構あると思います。

自分たちの提供するものの方が、良いにきまっているし、それが一般的だとして、ケアプランや訪問看護が入っても、実はその家族独自の世界観や価値観があって、なかなかしっくりこない事。

たとえば、ゴミ屋敷の中で暮らす人が病気になって、近所の人の通報でケアマネやらいろんな人が入り、なんだかんだと説得してゴミをトラックに積んで捨ててしまったとして、確かに家は清潔できれいになったけれど、その人の失ったものはとてつもなく大きいかもしれませんよね。
(これは実際あった話で、そのケアマネさんはゴミを捨てるのがどんなに大変で汚かったかを誇らしげに語っていました。)

うまく言えないけれど、良かれと思って結果良かったのだろうと思いつつも、『本当にこれでよかったの?』と考える事が、実はすごく大切なのだと思いました。

ともすれば、上から目線になる可能性を持ち、自分の価値観で清潔やQOLを判断してしまう危険性の大きい仕事です。

自分に自信を持つことは大切ですが、もう一度相手にとって快適であるのかどうか考えないと、どこかで大間違いをしてしまいますよね。