こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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支えたいという思い。

2010-06-24 23:35:20 | 訪問看護、緩和ケア
たくさんの患者さん。
たくさんの出会いのなかで、泣いたり笑ったり怒ったりしていますし、この地域で出来る限り在宅での生活を支えたいと思っています。
その中でも、「絶対に支える!支えたい!」という強い衝動にかられる事があります。

仲の良いご夫婦。
子供はいないので、いつも夫に甘えて頼って暮らしてきたのだそうです。
その夫が、突然予後宣告を受けました。

IVHを在宅で行うために、カフティポンプもつけられます。
輸液の交換もしなければいけないし、たまに空液のアラームが鳴ったりします。

この空液アラームは、ご利用さんのご家族には、恐怖だと思います。
ほとんどのご家族が、あわてて電話をかけてきます。

中には、難なく操作を覚えてしまう方もいらっしゃいますが、一般の方は直接身体の中へ薬を送り込む機械ですから、出来ることなら触りたくないのが本音です。

この日も、なれないカフティポンプの操作や、創の消毒の仕方を一緒にやっていました。
一生懸命メモに取ったり、復唱したりと必死の妻。
でもあせってしまうのか、なかなかうまくできません。

「もう!あなたも一緒に見ててよ。私よりあたまいいんだから!」妻が夫に甘えます。

「駄目だ。もう、俺に頼るな。お前一人でやるんだ。俺はもうすぐ寝たきりになるんだぞ!」

妻は一瞬言葉を飲み込みましたが、また笑顔で手順を復唱しながら懸命に私の手先を覗き込んでいました。

それから、「私、全部この人に頼ってきたから、恩ががえししないと行けないのに・・」と。


その時思ったのです。

私はこの人たちを絶対に支える。

この妻の手で、夫の介護が全部できるようにする。


強く、そう思いました。

何より、ご主人の妻に向けるまなざしの優しさを感じたから・・・

一人でも、出来るように。



ちなみに、高カロリー輸液は閉鎖式のポリバックに入っていて、中央が閉じており、使うときに上部の薬の入った突起をパキンとおり、さらに上の部分の袋を手で思いっきり押すと、真中の仕切りが圧力でさけ、薬が全部混ざるようになっています。
このときに、やたらジャバジャバ混ぜると、細かい気泡が大量に出現してソーダー水みたいになってしまいます。

これをすぐにルートにつなぐと、溶け込んでいる気泡が少しずつ合体したり膨張したりして、カフティポンプのセンサーに引っかかってしまいます。

ですから、泡立てないように数回懇和したら、点滴台につるして泡を少し指でポンポンと叩いてみます。
すると、袋の内側から小さな気泡が泡だって登って行くのがわかります。
交換の30分くらい前に混ぜてつるしておくと、気泡が上にあがってルートに入りくくなります。
また、保管してある部屋と輸液をする部屋の温度差が大きくても、気泡が発生しやすいように思います。

もし、空液アラームが鳴ったら、あわてずにポンプのスイッチをきります。
そして、輸液のクレンメ(指で回して滴数を調節するところ)を完全に止めてから、ポンプのカセットを外します。
付属のカチットスタンドに、しるしを合わせてカチッと音がしたら、中の泡を指ではじいて飛ばします。
再びカセットを戻して、蓋を閉めクレンメヲ全開にします。
スイッチを入れれば完璧です。

この練習は、入院中に病棟で行ってくることもありますが、ほとんどはあまりよくわからない状態での帰宅になることが多いです。
ご高齢の方は、むりに覚えて頂く事はせず、緊急対応で対処しますが、お若い方は訪問そのものも高額になってしまうので、なるべく覚えて頂きます。

覚えてしまえば何でもないことでも、体に直接作用するものへの恐怖心は、医療関係者が考える以上のストレスになるのです。

私たちがすべておぜん立てして、やってしまうことが看護ではないと思っています。

時には、見守る事、待つことも大切にしたいと思います。