昨日も今日も、母のいる老健施設へ行って来た。
母は、一時食が細くなり、心配の種だったが、何とか持ちこたえ、やっと回復してきた。ひと安心している。
母の席のそばに、Kさんというお年をかなり召された女性がいる。
この女性が、面白い事に、誰をつかまえても、「先生、先生」と呼んで話をする。
いつだったかは、私に向かっても「先生」というので困ってしまった。
母も「先生だって」といい、職員の方も、「Kさんはみんなに先生っていうから困っちゃうわー」と言ってその場が和んだ。
思えば、仏教で不軽菩薩という方は、あなたには仏性がある、と言って合掌礼拝崇敬して万人の前で一人一人を敬って拝んだ。のちにこれが仇となり、迫害されてしまった。
このKさんも、まあ、この場合の「先生」は、自身の保身の為の処世術かも知れないが、しかし、「人生、皆、師なり」を地で行き実践する、本人はそこまで思っていないかもしれないが、誉めてもよい事だろう。
お年寄りのいるホームは、死が迫っている世代なので、切羽詰まっているかと思いきや、さにあらず。何とも穏やかで温かい、人のぬくもりが感じられる、微笑ましい世界が広がっていた。