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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
<漢検1級 27-③に向けて その115>
●「文章題訓練」その㊹です。復習・おさらい用にどうぞ👍
●難度はかなり易・・・チャレンジャーは80%(24点)以上はとりたい・・・。リピーターは限りなく100%とりたい(^^)
●文章題㊹:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「・・・午前中、稜鏡(プリズム)羅針儀を借りて来て仕事にかかる。この器械に私は一八七一年以来触れたことがなく、又、それに就いて考えたこともなかったのだが、兎に角、三角形を五つ引いた。エディンバラ大学工科卒業生たるの誇を新たにする。だが、何という怠惰な学生で私はあったか! ブラッキイ教授やテイト教授のことを、ひょいと思出した。
午後は又、植物共のあらわな生命力との無言の闘争。こうして斧や鎌を揮って六(ア)片分も働くと、私の心は自己満足でふくれ返るのに、家の中で机に向って二十(イ)磅稼いでも、愚かな良心は、己の怠惰と時間の空費とを悼むのだ。之は一体どうした訳か。
働きながら、ふと考えた。俺は幸福か? と。しかし、幸福というやつは解らぬ。それは自意識以前のものだ。が、快楽なら今でも知っている。色々な形の・多くの快楽を。(どれも之も完全なものとてないが。)其れ等の快楽の中で、私は、「熱帯林の静寂の中で唯一人斧を揮う」この伐木作業を、高い位置に置くものだ。誠に、「歌の如く、情熱の如く」此の仕事は私を魅する。現在の生活を、私は、他の如何なる環境とも取り換えたく思わない。しかも一方、正直な所を云えば、私は今、或る強い嫌悪の情で、絶えずゾッとしているのだ。本質的にそぐわない環境の中へ強いて身を投じた者の感じねばならない肉体的な嫌悪というやつだろうか。神経を逆撫でする荒っぽい残酷さが、何時も私の心を押しつける。(1)ウゴメき、まつわるものの、いやらしさ。周囲の(2)クウジャクと神秘との迷信的な不気味さ。私自身の荒廃の感じ。絶えざる(3)サツリクの残酷さ。植物共の生命が私の指先を通して感じられ、彼等のあがきが、私には歎願のように応える。血に塗れているような自分を感じる。
・・・
やがて又も河床は乾き、いよいよヴァエア山の(ウ)嶮しい面を上って行く。河床らしいものもなくなり、山頂に近い台地に出る。彷徨すること暫し、台地が東側の大峡谷に落ちこむ縁の所に、一本の素晴らしい巨樹を見付けた。(エ)榕樹だ。高さは二百(オ)呎もあろう。巨幹と数知れぬ其の従者共(気根)とは、地球を担うアトラスの様に、怪鳥の翼を拡げたるが如き大枝の群を支え、一方、枝々の嶺の中には、羊歯・蘭類がそれぞれ又一つの森のように(カ)叢がり茂っている。枝々の群は、一つの途方もなく大きな円蓋(ドーム)だ。それは層々累々と盛上って、明るい西空(既に大分夕方に近くなっていた)に高く向い合い、東の方数(4)マイルの(キ)谿から野にかけて(5)エンエンと拡がる其の影の巨きさ! 誠に、何とも(6)ゴウトウな観ものであった。
・・・
マターファの大(7)キョウエンに招かれているので、朝早く出発。同行者――母、ベル、タウイロ(うちの料理番の母で、近在のの(8)シュウチョウ夫人。母と私とベルと、三人を合せたより、もう一周り大きい・物凄い体躯をもっている。)通訳の混血児サレ・テーラー、外、少年二人。
カヌーとボートとに分乗。途中でボートの方が、遠浅の礁湖の中で動かなくなって了う。仕方がない。跣足になって岸まで歩く。約一マイル、干潟の徒渉。上からはかんかん照り付けるし、下は泥でぬるぬる滑る。シドニイから届いたばかりの私の服も、イソベルの・白い・縁とりのドレスも、さんざんの目に逢う。午過ぎ、泥だらけになって、やっとマリエに着く。母達のカヌー組は既に着いていた。最早、戦闘舞踊は終り、我々は、食物献納式の途中から(といっても、たっぷり二時間はかかったが)見ることが出来ただけだった。
家の前面の緑地の周囲に、(9)ヤシの葉や、荒布で囲われた仮小舎が並び、大きな(10)クケイの三方に土人達が別に集まっている。実にとりどりな色彩の服装だ。タパを纏った者、パッチ・ワークを纏った者、粉をふった(ク)白檀を頭につけた者、紫の花弁を頭一杯に飾った者…………
・・・それから、未だ見たこともない不思議な情景が現れた。突然、ポポ父子が立上り、長い棒を手に、食物の(ケ)堆く積まれた庭に飛出して、奇妙な踊りを始めた。父親は腕を伸ばし棒を廻しながら舞い、息子は地に蹲り、其の儘何ともいえない恰好で飛び跳ね、此の踊りの画く円は次第に大きくなって行った。彼等のとび越えただけのものは、彼等の所有になるのだ。中世のダンテが忽然として怪しげな情ないものに変った。此の古式の(又、地方的な)儀礼は、流石にサモア人の間にさえ笑声を呼起した。私の贈ったビスケットも、生きた一頭の(コ)犢も、ポポにとび越えられて了った。が、大部分の食物は、一度己のものなることを宣した上で、再びマターファに献上された。・・・」「光と風と夢」(中島敦)
👍👍👍 🙊 👍👍👍
(1)蠢 (2)空寂 (3)殺戮 (4)哩 (5)蜿蜒 (6)豪宕 (7)饗宴 (8)酋長 (9)椰子 (10)矩形
(ア)ぺんす (イ)ぽんど (ウ)けわ (エ)がじゅまる (オ)ふぃーと (カ)むら (キ)たに (ク)びゃくだん (ケ)うずたか (コ)こうし
👍👍👍 🙊 👍👍👍
<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
<漢検1級 27-③に向けて その115>
●「文章題訓練」その㊹です。復習・おさらい用にどうぞ👍
●難度はかなり易・・・チャレンジャーは80%(24点)以上はとりたい・・・。リピーターは限りなく100%とりたい(^^)
●文章題㊹:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「・・・午前中、稜鏡(プリズム)羅針儀を借りて来て仕事にかかる。この器械に私は一八七一年以来触れたことがなく、又、それに就いて考えたこともなかったのだが、兎に角、三角形を五つ引いた。エディンバラ大学工科卒業生たるの誇を新たにする。だが、何という怠惰な学生で私はあったか! ブラッキイ教授やテイト教授のことを、ひょいと思出した。
午後は又、植物共のあらわな生命力との無言の闘争。こうして斧や鎌を揮って六(ア)片分も働くと、私の心は自己満足でふくれ返るのに、家の中で机に向って二十(イ)磅稼いでも、愚かな良心は、己の怠惰と時間の空費とを悼むのだ。之は一体どうした訳か。
働きながら、ふと考えた。俺は幸福か? と。しかし、幸福というやつは解らぬ。それは自意識以前のものだ。が、快楽なら今でも知っている。色々な形の・多くの快楽を。(どれも之も完全なものとてないが。)其れ等の快楽の中で、私は、「熱帯林の静寂の中で唯一人斧を揮う」この伐木作業を、高い位置に置くものだ。誠に、「歌の如く、情熱の如く」此の仕事は私を魅する。現在の生活を、私は、他の如何なる環境とも取り換えたく思わない。しかも一方、正直な所を云えば、私は今、或る強い嫌悪の情で、絶えずゾッとしているのだ。本質的にそぐわない環境の中へ強いて身を投じた者の感じねばならない肉体的な嫌悪というやつだろうか。神経を逆撫でする荒っぽい残酷さが、何時も私の心を押しつける。(1)ウゴメき、まつわるものの、いやらしさ。周囲の(2)クウジャクと神秘との迷信的な不気味さ。私自身の荒廃の感じ。絶えざる(3)サツリクの残酷さ。植物共の生命が私の指先を通して感じられ、彼等のあがきが、私には歎願のように応える。血に塗れているような自分を感じる。
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やがて又も河床は乾き、いよいよヴァエア山の(ウ)嶮しい面を上って行く。河床らしいものもなくなり、山頂に近い台地に出る。彷徨すること暫し、台地が東側の大峡谷に落ちこむ縁の所に、一本の素晴らしい巨樹を見付けた。(エ)榕樹だ。高さは二百(オ)呎もあろう。巨幹と数知れぬ其の従者共(気根)とは、地球を担うアトラスの様に、怪鳥の翼を拡げたるが如き大枝の群を支え、一方、枝々の嶺の中には、羊歯・蘭類がそれぞれ又一つの森のように(カ)叢がり茂っている。枝々の群は、一つの途方もなく大きな円蓋(ドーム)だ。それは層々累々と盛上って、明るい西空(既に大分夕方に近くなっていた)に高く向い合い、東の方数(4)マイルの(キ)谿から野にかけて(5)エンエンと拡がる其の影の巨きさ! 誠に、何とも(6)ゴウトウな観ものであった。
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マターファの大(7)キョウエンに招かれているので、朝早く出発。同行者――母、ベル、タウイロ(うちの料理番の母で、近在のの(8)シュウチョウ夫人。母と私とベルと、三人を合せたより、もう一周り大きい・物凄い体躯をもっている。)通訳の混血児サレ・テーラー、外、少年二人。
カヌーとボートとに分乗。途中でボートの方が、遠浅の礁湖の中で動かなくなって了う。仕方がない。跣足になって岸まで歩く。約一マイル、干潟の徒渉。上からはかんかん照り付けるし、下は泥でぬるぬる滑る。シドニイから届いたばかりの私の服も、イソベルの・白い・縁とりのドレスも、さんざんの目に逢う。午過ぎ、泥だらけになって、やっとマリエに着く。母達のカヌー組は既に着いていた。最早、戦闘舞踊は終り、我々は、食物献納式の途中から(といっても、たっぷり二時間はかかったが)見ることが出来ただけだった。
家の前面の緑地の周囲に、(9)ヤシの葉や、荒布で囲われた仮小舎が並び、大きな(10)クケイの三方に土人達が別に集まっている。実にとりどりな色彩の服装だ。タパを纏った者、パッチ・ワークを纏った者、粉をふった(ク)白檀を頭につけた者、紫の花弁を頭一杯に飾った者…………
・・・それから、未だ見たこともない不思議な情景が現れた。突然、ポポ父子が立上り、長い棒を手に、食物の(ケ)堆く積まれた庭に飛出して、奇妙な踊りを始めた。父親は腕を伸ばし棒を廻しながら舞い、息子は地に蹲り、其の儘何ともいえない恰好で飛び跳ね、此の踊りの画く円は次第に大きくなって行った。彼等のとび越えただけのものは、彼等の所有になるのだ。中世のダンテが忽然として怪しげな情ないものに変った。此の古式の(又、地方的な)儀礼は、流石にサモア人の間にさえ笑声を呼起した。私の贈ったビスケットも、生きた一頭の(コ)犢も、ポポにとび越えられて了った。が、大部分の食物は、一度己のものなることを宣した上で、再びマターファに献上された。・・・」「光と風と夢」(中島敦)
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(1)蠢 (2)空寂 (3)殺戮 (4)哩 (5)蜿蜒 (6)豪宕 (7)饗宴 (8)酋長 (9)椰子 (10)矩形
(ア)ぺんす (イ)ぽんど (ウ)けわ (エ)がじゅまる (オ)ふぃーと (カ)むら (キ)たに (ク)びゃくだん (ケ)うずたか (コ)こうし
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