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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
<漢検1級 27-③に向けて その112>
●「文章題訓練」その㊶です。㊴~㊸まで連続5題、「俳人蕪村」(正岡子規)からの出題です。ちょっとおもしろい趣向の出題になったと思いますが如何でしょうか(^^)
●難度は並み・・・チャレンジャーは80%(24点)以上が目標・・・。リピーターは限りなく100%とりたいところ(^^)
●文章題㊶:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「・・・芭蕉も初めは
菖蒲(ア)生り軒の鰯の(イ)髑髏
のごとき理想的の句なきにあらざりしも、一たび古池の句に自家の立脚地を定めし後は、徹頭徹尾(1)キジツの一法に依りて俳句を作れり。しかもそのキジツたる自己が見聞せるすべての事物より句を探り出だすにあらず、キジツの中にてもただ自己を離れたる純客観の事物は全くこれを(2)ホウテキし、ただ自己を本としてこれに関連する事物の実際を詠ずるに止まれり。今日より見ればその見識の(ウ)卑きこと実に笑うに堪えたり。
・・・
蕪村はいかにして理想美を探り出だすべきかを召波に示したるなり。筆にも口にも説き尽すべからざる理想の妙趣は、輪扁の木を断(き)るがごとくついに他に教うべからずといえども、一棒の下に(3)トンゴせしむるの工夫なきにしもあらず。蕪村はこの理想的のことをなお理想的に説明せり。かつその説明的なると文学的なるとを問わず、かくのごとき理想を述べたる文字に至りては上下二千載我に見ざるところなり。奇文なるかな。
・・・
芭蕉は一定の真理を言わずして時に随い人により思い思いの教訓をなすを常とす。その洒堂を(エ)誨えたるもこれらの佳作を斥けたるにはあらで、むしろその濫用を(オ)誡めたるにやあらん。・・・芭蕉これに対して今少し和歌の臭味を加えよという、けだし芭蕉は俳句は簡単ならざるべからずと断定してみずから美の区域を狭く(カ)劃りたる者なり。芭蕉すでにかくのごとし。芭蕉以後言うに足らざるなり。
蕪村は立てり。和歌のやさしみ言い古し聞き古して紛々たる臭気はその腐敗の極に達せり。和歌に代りて起りたる俳句幾分の和歌臭味を加えて元禄時代に勃興したるも、支麦以後ようやく腐敗してまた(キ)拯うに道なからんとす。ここにおいて蕪村は複雑的美を捉え来たりて俳句に新生命を与えたり。彼は和歌の簡単を斥けて唐詩の複雑を借り来たれり。国語の柔軟なる、冗長なるに飽きはてて(4)カンケイなる、豪壮なる漢語もてわが不足を補いたり。先に其角一派が苦辛して失敗に終りし事業は蕪村によって容易に成就せられたり。衆人の攻撃も(ク)慮るところにあらず、美は簡単なりという古来の標準も棄てて顧みず、卓然として複雑的美を成したる蕪村の功は没すべからず。
・・・
一句五字または七字のうちなお「草霞み」「雨後の月」「夜蛇を打つ」「水に銭蹈む」と曲折せしめたる妙は到底「頭よりすらすらと言い下し来たる」者の解し得ざるところ、しかも洒堂、凡兆らもまた(5)ムビにだも見ざりしところなり。客観的の句は複雑なりやすし。
・・・
蚊帳釣りて(6)スイビつくらん家の内
特にスイビというはスイの字を蚊帳の色にかけたるしゃれなり。
(7)クンプウやともしたてかねつ厳島
・・・ただ夏の風というくらいの意に用いるものなれば「クンプウ」とつづけて一種の風の名となすにしかず。けだし蕪村の(8)ケイガンは早くこれに注意したるものなるべし。
・・・
(ケ)茯苓は(コ)伏れ松露はあらはれぬ
・・・
をさな子の寺なつかしむ銀杏かな
「なつかしむ」という動詞を用いたる例ありや否や知らず。あるいは思う、「なつかし」という形容詞を転じて蕪村の創造したる動詞にはあらざるか。はたしてしかりとすれば蕪村は傍若無人の振舞いをなしたる者と謂うべし。しかれども百年後の今日に至りこの語を(9)シュウヨウするもの続々として出でんか、蕪村の造語はついに(10)ジイ中の一隅を占むるの時あらんも測りがたし。英雄の事業時にかくのごときものあり。・・・」「俳人蕪村」(正岡子規)
👍👍👍 🐵 👍👍👍
(1)記実 (2)抛擲(放擲) (3)頓悟 (4)簡勁 (5)夢寐 (6)翠微 (7)薫風 (8)炯眼(慧眼) (9)襲用 (10)字彙
(ア)な (イ)されかうべ (ウ)ひく (エ)おし (オ)いまし (カ)かぎ(原文ルビ「かぎ」。現行読みなら「くぎ」) (キ)すく (ク)おもんぱか (ケ)ぶくりょう (コ)かく
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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
<漢検1級 27-③に向けて その112>
●「文章題訓練」その㊶です。㊴~㊸まで連続5題、「俳人蕪村」(正岡子規)からの出題です。ちょっとおもしろい趣向の出題になったと思いますが如何でしょうか(^^)
●難度は並み・・・チャレンジャーは80%(24点)以上が目標・・・。リピーターは限りなく100%とりたいところ(^^)
●文章題㊶:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「・・・芭蕉も初めは
菖蒲(ア)生り軒の鰯の(イ)髑髏
のごとき理想的の句なきにあらざりしも、一たび古池の句に自家の立脚地を定めし後は、徹頭徹尾(1)キジツの一法に依りて俳句を作れり。しかもそのキジツたる自己が見聞せるすべての事物より句を探り出だすにあらず、キジツの中にてもただ自己を離れたる純客観の事物は全くこれを(2)ホウテキし、ただ自己を本としてこれに関連する事物の実際を詠ずるに止まれり。今日より見ればその見識の(ウ)卑きこと実に笑うに堪えたり。
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蕪村はいかにして理想美を探り出だすべきかを召波に示したるなり。筆にも口にも説き尽すべからざる理想の妙趣は、輪扁の木を断(き)るがごとくついに他に教うべからずといえども、一棒の下に(3)トンゴせしむるの工夫なきにしもあらず。蕪村はこの理想的のことをなお理想的に説明せり。かつその説明的なると文学的なるとを問わず、かくのごとき理想を述べたる文字に至りては上下二千載我に見ざるところなり。奇文なるかな。
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芭蕉は一定の真理を言わずして時に随い人により思い思いの教訓をなすを常とす。その洒堂を(エ)誨えたるもこれらの佳作を斥けたるにはあらで、むしろその濫用を(オ)誡めたるにやあらん。・・・芭蕉これに対して今少し和歌の臭味を加えよという、けだし芭蕉は俳句は簡単ならざるべからずと断定してみずから美の区域を狭く(カ)劃りたる者なり。芭蕉すでにかくのごとし。芭蕉以後言うに足らざるなり。
蕪村は立てり。和歌のやさしみ言い古し聞き古して紛々たる臭気はその腐敗の極に達せり。和歌に代りて起りたる俳句幾分の和歌臭味を加えて元禄時代に勃興したるも、支麦以後ようやく腐敗してまた(キ)拯うに道なからんとす。ここにおいて蕪村は複雑的美を捉え来たりて俳句に新生命を与えたり。彼は和歌の簡単を斥けて唐詩の複雑を借り来たれり。国語の柔軟なる、冗長なるに飽きはてて(4)カンケイなる、豪壮なる漢語もてわが不足を補いたり。先に其角一派が苦辛して失敗に終りし事業は蕪村によって容易に成就せられたり。衆人の攻撃も(ク)慮るところにあらず、美は簡単なりという古来の標準も棄てて顧みず、卓然として複雑的美を成したる蕪村の功は没すべからず。
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一句五字または七字のうちなお「草霞み」「雨後の月」「夜蛇を打つ」「水に銭蹈む」と曲折せしめたる妙は到底「頭よりすらすらと言い下し来たる」者の解し得ざるところ、しかも洒堂、凡兆らもまた(5)ムビにだも見ざりしところなり。客観的の句は複雑なりやすし。
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蚊帳釣りて(6)スイビつくらん家の内
特にスイビというはスイの字を蚊帳の色にかけたるしゃれなり。
(7)クンプウやともしたてかねつ厳島
・・・ただ夏の風というくらいの意に用いるものなれば「クンプウ」とつづけて一種の風の名となすにしかず。けだし蕪村の(8)ケイガンは早くこれに注意したるものなるべし。
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(ケ)茯苓は(コ)伏れ松露はあらはれぬ
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をさな子の寺なつかしむ銀杏かな
「なつかしむ」という動詞を用いたる例ありや否や知らず。あるいは思う、「なつかし」という形容詞を転じて蕪村の創造したる動詞にはあらざるか。はたしてしかりとすれば蕪村は傍若無人の振舞いをなしたる者と謂うべし。しかれども百年後の今日に至りこの語を(9)シュウヨウするもの続々として出でんか、蕪村の造語はついに(10)ジイ中の一隅を占むるの時あらんも測りがたし。英雄の事業時にかくのごときものあり。・・・」「俳人蕪村」(正岡子規)
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(1)記実 (2)抛擲(放擲) (3)頓悟 (4)簡勁 (5)夢寐 (6)翠微 (7)薫風 (8)炯眼(慧眼) (9)襲用 (10)字彙
(ア)な (イ)されかうべ (ウ)ひく (エ)おし (オ)いまし (カ)かぎ(原文ルビ「かぎ」。現行読みなら「くぎ」) (キ)すく (ク)おもんぱか (ケ)ぶくりょう (コ)かく
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