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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
・再々中断していた「熟語の読み・一字訓読」シリーズを再開します。
・223回からは、漢検漢字辞典第2版の内容を加味したり、調べる辞典の範囲を大字源・漢字源などまで拡大した内容にて、整理しているので、初期のこのシリーズの記載内容とは濃淡・精粗があります・・・223回からのほうが内容が濃いと思います。お含み置きください・・・追って、初期の内容についても、内容を拡充していきたいとは考えています。
・なお、別の記事などにて、漢検2記載内容を踏まえた「熟語の読み・一字訓読、音訓整理」を案内したものもあり、一部重複しているかもしれません・・・この点もお含み置きください。必要に応じて、なるべく、同記事内容も再録いたします。
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●熟語の読み・一字訓読(その277)です。 ゴチック・太字は漢検2にも記載あり。
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<軫:シン、いた(む)、うれ(える)>*漢検2では「うれ(える)」は意味欄の方でのみ掲載。
・いた(む)、うれ(える):軫念=天子のみこころ、天子のみこころをいためたまうこと、軫懐=うれえる、心配する、痛み思う、軫憂=いたみうれえる(漢字源:きめ細かく心配する)、軫恤(シンジュツ)=いたみあわれむ、あわれみめぐむ、軫慟=痛哭=かなしみいたむ、軫惜(シンセキ)=(天子が)いたみおしむ、軫悼=うれえいたむ、天子がなげきいたむ=宸悼
・その他:車軫、琴軫、軫宿・軫星(28宿の一。みつかけぼし。)
*参考:既出の記事
「③「軫」・・・天子の軫念(シンネン):天子が心を痛めること・天子の心(漢検)・・・
・「シン、いた(む)、うれ(える)」・・・漢検2では「うれ(える)」は意味欄の方でのみ掲載。
・漢検辞典では意味③の「いたむ、うれえる」で「軫念」「軫懐」の2熟語掲載。意味①車の横木、転じて車。意味②ことじ。琴の弦を支えるこま。 (相変わらず、意味の順番と熟語掲載がアンバランス(ーー))
・漢検2の意味①&②の内容は各辞典とも似たり寄ったりだが、漢字源がすこし詳しい・・・漢字源によれば、「①よこぎ(車の後部にあるよこ木。また、車台を組み立てるこまかい材木)②琴の弦を巻いて調節する軸木・・・きめこまかい木で作ったよこぎや柱・・・」。
・この説明に沿うように、漢字源では、
「軫念」=天子が“きめこまかく”心配すること
「軫懐」=心に“深く”心配する 「軫憂」=きめこまかく心配する
という感じで、“こまかく”とか“深く”とか、非常に正確?に意味の説明をしてくれている。他の辞典や漢検では、あっさり「いたむ、心配している」とか「うれえる」とかで、ここまでの緻密な説明にはなっていない・・・。・・・漢字源もなかなかヤルな・・・私の中ではちょっと評価が上がりつつある。
・ついでに、意味①の「車のよこ木・車」に対応する熟語・・・「車軫」、意味②の「ことじ(琴柱)・・・」に対応する熟語・・・「琴軫」・・・なんてのがありました👍 」
<軾:ショク、しきみ、よこぎ>*漢検2「よこぎ」訓ナシ。
・しきみ、よこぎ:拠軾(キョショク)=軾に拠る、軾蛙(ショクア)=「怒蛙(ドア)に軾す」、軾閭(ショクリョ)=賢者のいる門に敬意を表す。伏軾(フクショク)=軾に伏す=車の横木によりかかる=車上で敬意を表す=憑軾(ヒョウショク)=軾に憑(よ)る
<輊(チ、ひく(い)、おも・い)>*漢検2「ひく(い)」訓ナシ・・・意味・熟語(「軒輊」)はあり。
・ひく(い)、おも(い):軒輊=車の前の高低、上がり下がり
*参考:既出の記事
「・「軒輊(ケンチ)」で有名な「輊」・・・よく「輊(ひく)い」の音訓読みで出題されていたと記憶している。
・「輊」は、大字源によれば、「前部が重く低く下がっている車」という意味。「軒輊」=車の前の高低・上がり下がり。
(「大車の両ながえ(轅)のおわり・・・」と説明している辞典もある)
・第1版では「チ」音のみで、訓読みは掲載されていなかったけど、第2版では「チ、おも(い)」が掲載されていて、“意味①”に「ひく・い」が 載って、熟語も「軒輊」と載っている。
・「軒輊」の「輊」・・・「輊(ひく)い」と答えるのか、「輊(おも)い」と答えるのか・・・どうも曖昧だな(ーー)どちらでもOKのような気は するが、この辺、漢検さんや採点者の裁量に任せておくのは危険なような気がする・・・(ーー)
(注)漢検辞典でも「輊:車の前が重くて下がっているさま」とは記載されている。 」
<輅:ロ、くるま、みくるま>*漢検2熟語掲載ナシ。 *“ロ”は漢音。現行音にないが、呉音で“ル”(漢字源)、他に、カク・ラク音(大字源)などあり。
・くるま:輅木(ロボク)=飾りのない車、輅輓(ロバン)=人の力で引く小車
・みくるま:輅鑾(ロラン)、輅馬(ロバ)=大きな馬・天子の乗馬・路馬。輅車の馬(大字源)。鸞輅(ランロ)、輅車(ロシャ)=大きい車・天子の乗車(君主の車)。輦輅(レンロ)
(参考)以下は無視してよいと思います(念の為、記録のため記しておくだけですので・・・。)
「ラク」音:①ながえ(轅)・しばり=轅にしばりつけた横木(大字源)・・・彫輅(チョウラク)(大字源)、輓輅(バンラク)=車引き(「輓」は車をひくっこと、「輅」は人のひく小車・・・大漢和・・・)
「カク」音:人力で引く小車をいう、牛馬などの引く引き車。輓輅(大字源)。・・・輓輅(バンカク)=車前を遮る、横木をひく(大漢和) 車をひく(字通)
*「輓輅」について、字通・大漢和・大字源で読み、意味が異なっている!!
<輒(チョウ、すなわ・ち、たちま・ち)>・・・27-②文章題の読みで出題された「輒(すなわ)ち」・・・>
*許容字体=輙:チョウ、すなわ(ち)、たちま(ち)
・すなわ(ち):輒死、輒殺、輒事
・たちま(ち):輒時(「輒時として・・・」)、輒尽=直ちに用いつくす、輒然(下記参考参照)
*「輒悔」=已に約したことを悔いて、之を変ずること(大漢和)・・・“たやすく、無造作に”の意か?
(参考)・・・公開済み記事の再録・・・
・漢検2でも「チョウ、すなわ・ち」しか、音訓読みでは載っていない。「たちま・ち」の読みも知っていた人は今回迷ったかも・・・。
・大見出しで「輒(すなわ)ち:①そのたびごとに。いつも。②たやすく。すぐに。」と載っている・・・ので、文意からしたら、やはり「すなわち」の方なんでしょう・・・。
・また、大見出しの熟語として「輒然(チョウゼン)」が掲載されていて、「①直立して身動きしないさま ②にわかなさま。突然。 類:忽然 」。
・この「輒然」の②の方の意味が「たちま(ち)」に該当しそうです。 類義語で、「忽然、突然=輒然」なんてのに注意が必要かも(^^;)
・ところで、この「輒然」、
*大字源・字通では、意味①の方しか説明なし。(ちなみに、この意味①の熟語は、有名な荘子の「輒然として我が四肢形体有るを忘るるなり」が、ほとんどの辞書の出典となっている。問題集なんかにもよく出ている文章ですね。)
*大漢和には(さすが)、意味①と②の両方の説明がありました。
*漢字源が面白くて・・・
意味 ①べたべたとくっついている ②密着して一体となったさま ③すぐ、とつぜん。・・・だって。
・・・これだけじゃ理解に苦しむと思いますが、漢字源は親切に「「輒」は、車の両脇に取り付けた耳たぶのような形のもたれ木」と説明あり・・・これだと、なんとなく、意味①や②は理解できますねえ(^^)
・車ヘンの字は、このように、本来、車のどこの構造のことなのかを理解するとわかりやすいものが多い・・・「輒」以外にも、また、追々、お知らせしたいと思います。面白いですよ👍(^^)👍
<その他、ご参考まで>
・「すなわち(そのたびごとに、たやすく、無造作に などの意味)」に該当すると思われる熟語:輒死、輒殺、輒事、輒悔・・・
・「たちまち(にわか、すぐさま、即座に などの意味)」に該当すると思われる熟語:輒尽=ただちに用いつくす、輒時=すぐさま、たちまち
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