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我孫子・手賀沼と愛猫レオンの徒然日記。漢検1級チャレンジャーの方の参考となるブログ。2018年7月から“俳句”も開始。

漢検1級 27-③に向けて その109 文章題訓練㊳

2016年01月17日 | 文章題
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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>

<漢検1級 27-③に向けて その109>
●「文章題訓練」その㊳です。・・・ご健闘を祈ります👍
●難度は並み・・・チャレンジャーは80%(24点)以上が目標・・・。リピーターは限りなく100%とりたいところ(^^)

●文章題㊳:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10

「・・・定基は(ア)勿論悪人というのではないが、つまりは馬で言えば(1)カン強(づよ)な馬で、人としては(2)キ一本の人であったろう。で、女房を逐い出し得てからは、それこそせいせいした心持になって、渾身の情を傾けて力寿を愛していたことであろう。任地の三河にあっては第一の地位の三河守であり、自分のほかは属官僕隷であり、行動は自由であり、飲食は最高級であり、太平の世の公務は清閑であり、何一ツ心に任せぬことも無く、好きな狩猟でもして、山野を(3)チクして快い汗をかくか、天潤いて雨静かな日は明窓浄几香炉詩巻、吟詠翰墨の遊びをして性情を(イ)頤養するとかいう風に、心ゆくばかり自由安適な生活を楽んでいたことだったろう。ところが、それで何時迄も済めば其様(そんな)好いことは無いが、花に百日の紅無し、玉樹亦凋傷するは、人生のきまり相場で、造物豈独り此人を憐まんやであった。イヤ去られた妻の呪詛が利いたのかも知らぬ。いつからという事も無く力寿はわずらい出した。当時は医術が猶幼かったとは云え、それでも相応に手の尽しかたは有った。又十一面の、薬師の、何の(ウ)修法、彼の修法と、祈祷の術も数々有った。病は苦悩の多く強いものでは無かったが、美しい花の日に(4)ヘイチュウに萎れゆくが如く、清らな瓜の(エ)筺裏に護られながら漸く玉の艶を失って行くように、次第次第衰え弱った。定基は(5)ショウソウしだした。怒りを人に遷すことが多くなった。(6)シュウを独りで味わっていることが多くなった。療治の法を求めるのに、やや狂的になった。・・・・

 定基は東山如意輪寺に走った。そこには大内記慶滋保胤のなれの果の寂心上人が居たのである。定基は寂心の前に端座して吾が淵底を尽して寂心の明鑑を仰いだのである。寂心は(7)シュツジンしてから僅に二三年だが、今は既に泥水全く分れて、湛然 清照、もとより浮世の膠も無ければ、仏の(8)キンパク臭い飾り気も無くなっていて、ただ平等慈悲の三昧に住していたのである。二人の談話は何様どんなものだったか、有ったか無かったか、それも分らぬ。ただ然し機縁契合して、師と仰がれ弟子と容れられ、定基は遂に剃髪して得度を受け、寂照という青道心になったのである。時に永延二年、齢はと云えば、まだ三十か三十一だったのである。よくも思いきったものであった。

本来を云えば弥陀なり弥勒なり釈迦なりを頼んで、何かムニャムニャを唱えて、そして自分一人極楽世界へ転居して涼しい顔をしようと云うのは、随分虫のいいことで、世の諺に謂う「(オ)雪隠(9)マンジュウを食う」料簡、汚い、けちなことである。証得妙果の境界に入り得たら、今度は自分が其の善いものを有縁無縁の他人にも施し与えようとすべきが自然の事である。そこで菩薩となり仏となったものは化他の業にいそしむことになるのが自然の法で、それが即ち菩薩なり仏なりなのである。弥陀の四十八願、観音の三十三身、何様な苦労をしても、何様なものに身を為しても、一切世間を善くしたい、救いたい、化度したいというのが、即ち仏菩薩なので、何も蓮花の上にゆったり坐って百味の(カ)飲食(キ)啖い飽こうとしているのが仏菩薩でも何でも無い。寂心は若い時から慈悲心牛馬にまで及んだ人である。それが出家入道して、所証日に深く、浄土は隣家を看るよりも近々と合点せられるに至ったのである。終には此世彼世をひと(10)マタぎの境界に至ったのである。そこで昔はあれほど想い焦れた浄土も吾が手のものとなったにつけて、浄土へ行きっ切りとなろう気はなく、自然と娑婆へ往来しても化他の業を執ろうという心が湧き上ったに疑い無く、言語の端にもおのずから其の意が漏れて、それから或人の夢や世間の噂も出たのであろう。その保胤の時から慈悲牛馬に及んだ寂心が、自己の証得愈々(いよいよ)深きに至って、何で世人の衆苦充満せる(ク)此界に喘ぎ悩んでいるのを傍眼にのみ見過し得ようや。まして保胤であった頃にも、其の明眼からは既に認め得て其の文章に漏らしている如く、世間は漸く苦しい世間になって、一面には文化の華の咲き乱れ、(ケ)奢侈の風の蒸し暑くなってくる、他の一面には人民の生活は行き詰まり、永祚の暴風、正暦の疫病、諸国の盗賊の起る如き、優しい寂心の心からは如何に哀しむべき世間に見えたことであろう。寂心は世を哀れみ、世は寂心の如き人を懐かしんでいた。寂心娑婆帰来の談の伝わった所以でもあろう。勿論寂心は(コ)辟支仏では無かったのである。・・・」「連環記」(幸田露伴) 
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<解答>
(1)癇 (2)生 (3)馳駆 (4)瓶中 (5)焦躁 (6)愁 (7)出塵 (8)金箔 (9)饅頭 (10)跨
(ア)もちろん (イ)いよう (ウ)ずほう(すほう・しゅほう) (エ)きょうり (オ)せっちん(「せついん」でも間違いではないだろうが・・・) (カ)おんじき (キ)くら(「く」でも可か) (ク)しかい (ケ)しゃし (コ)びゃくしぶつ
*(注)辟支仏:原文ルビは「ヘキシブツ」だが、「ビャクシブツ」(広辞苑)と読む。
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