※natuto10さん/写真AC
夫(つま)のゆく後ろ姿や木の葉髪
季語:木の葉髪(冬)
※俳句歳時記:【木の葉髪】冬の抜け毛を落葉にたとえていうことで、「十月の木の葉髪」などとも言われる。
人間の頭髪が、特別、初冬に多く抜け落ちることはないのだが、木の葉の落ちるころにはそれを意識することが多く、冬の季節感とあいまって侘しさを感じる。
作品の背景:何十年も夫を送り出し、後ろ姿を見ているけれど、最近夫の髪が日に日に薄くなってきた。
俳句に「木の葉髪」という季語があるのを知って、こういうことかと思い詠ってみた。
提出した句:【夫(つま)の出る後ろ姿や木の葉髪】
先生の添削:「木の葉髪」が冬の季語ですね。旦那様への視線が感じられ、お二人の時間の流れが表現されているようにも思いました。
「出る」と言う言葉が、やや直接的な言葉となってしまっていますので「ゆく」というやわらかい表現でまとめてみてはいかがでしょう。
夫の「出社する」後ろ姿をイメージしたので「出る」としたけれど、なるほど「ゆく」のほうがやわらかな句となった。
《夫/妻(つま)とは、端(つま)の意。夫婦や恋人が、互いに相手を呼ぶ称。※goo国語辞書》
出社する夫への、ナラの後追いが凄かった。
最初のうちはバスに乗るところまで一緒に連れて行った。でも夫の乗ったバスと並行して走る。
何しろラブラドールは30キロほどある犬なので、一緒に走っている私の方が転びかねない。
そこで、玄関からずーっと見えなくなるまで(三軒先辺りから右に曲がると見えなくなる)見送ることにした。
そのうち見えなくなると諦めることを覚えた。それが15年続いた。
そのせいで、ナラが亡くなっても何故か今でも夫を見送っている。手を振ったりして。
歳とった妻が歳とった夫の出社を手を振って見送るって、傍目には(ご近所には)どう映っているのだろう。
ナラの居た生活習慣から抜けきらないだけなのだ・・・が。
玄関先のナラの写真は若いまま。
でもナラが居なくなって7年過ぎて、ナラパパの頭は(木の葉髪)で徐々に薄く…それも白いところが多くなった…。