JTDの小窓

川崎市幸区下平間の鍼灸・手技療法『潤天堂』院長のあれこれなつぶやき

傷の湿潤療法

2014-04-17 | 臨床・治療
少し前に放送された「予約殺到 スゴ腕の専門外来」という番組の中で、練馬光が丘病院~傷の治療センター~の夏井睦(まこと)先生が出演され、湿潤療法を紹介されていました。
「消毒をしない」という方法は耳にしたことがありますが、今回詳しくお話をきけたので文字に起こしておきたいと思います。

傷・ヤケドなどには消毒薬は使わない

傷痕、火傷の痕は一生後悔する
最初に正しい治療をするかどうかで人生が違ってしまう

この外来で行っているのは世界で初めて私(夏井医師)が考えた傷の治療

(1)まず傷口を水道水でよく洗う
(2)傷口に「シート」を貼る(薬は塗らない)
  ※このシートに特徴
  
 で、おしまい


湿潤療法

●消毒をしない
●傷を乾かさない

消毒すると非常に痛い
 ↓
あれは傷が深くなったから痛い
 ↓
傷が治る妨害工作なので即刻やめるべき


消毒→細菌の細胞のタンパク質を破壊して殺菌している
 ↓
ところが細菌だけでなく皮膚の細胞も壊してしまう
 ↓  
余計に傷が広がってしまう(深くなってしまう)
 ↓
回復を遅らせてしまう


水で洗うだけで細菌は流れ落ちる

従来は傷口をガーゼで覆い乾燥させてカサブタにして治していた。カサブタができると「治った」と思っていたがこれが間違い。これまで回復の目安だと思っていたカサブタは、実は傷が治っていない証拠だった

カサブタは細胞が干上がり壊死したもの→はがす→カサブタになる ⇒これを繰り返していると傷痕が残ってしまう

湿潤療法で使うシートは空気が通らないので乾燥しないハイドロコロイド被覆材
 ↓
傷・肌に貼り付かないのではがす時も痛くない

乾燥させないことで傷の状態はジュクジュク

悪化しているように見えるが、実はこのジュクジュクが一番大切な物質。傷を治す物質がたくさん出ていて傷を治す準備をしている

ジュクジュク→「浸出液(しんしゅつえき)」
※傷を治す成分がたくさん入った細胞成長因子

浸出液が乾くことなく分泌され皮膚が再生される
 ↓
傷痕が残らない


Q:ジュクジュクにして化膿しないのか?

A:バイ菌がいるだけでは化膿しない

湿潤療法をすると浸出液をどんどんシートが吸い取って常に流れがある状態にある。そうすれば細菌は分裂もしないし増殖もしない。細菌の足場がないから化膿しない。むしろカサブタがあると細菌細胞がとどまるため増殖しやすい

1日1回自宅で水洗いとシートの貼りかえを行い、浸出液がシートにつかなくなったら治った証。

以上


ちなみにこのシートと同じような性質の絆創膏が市販されています。


「バンドエイド~キズパワーパッド」johnson&johnson




3歳の娘のもしもの時のためにさっそく常備することにしました



ちなみにこの夏井医師、
糖質制限ダイエットの提唱者として有名な先生ですね!




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