15年くらい前の話。
雨の中125ccのスクーターで走行中、交差点の左折時にマンホールの蓋で前輪が滑り激しく転倒。左肩を強打した。その時は「すぐに起きなきゃ」という思いと恥ずかしさからすぐに立ち上がり、バイクを起こして道路わきまで移動させたが、アドレナリンがでていたせいかその時肩は少し痛む程度しか感じなかった。幸いバイクは動いたので乗車してそのまま帰宅した。
翌朝、肩の激痛で目が覚めた。おそらく寝返り。起き上がって腕を動かそうとすると、激痛で可動域が制限されている。腕を(前にも横にも後ろにも)体幹から離せないような状況のまま仕事をこなし、時間が空くと自分の右手で左肩や肘に鍼をしたり灸をする日々が続いた(状態としては重症の五十肩のような動きしかできないような感じ)。
1カ月くらい自分で治療を続け、90度くらいまでは前と横には上がるようになった。
その頃、月一回神奈川県鍼灸師会の保険部のレセプトチェックのお手伝いをしていて、当時の事務所になっていた伊藤昌芳先生の治療院に伺った際、肩痛の経緯を話したところ
「そんなの俺が治してやるよ〜」
と言われ、
正直なところ「いやいや、外傷性のマジなやつなので、炎症の鎮静も待たないといけないだろうから即効性を期待するよりはこまめに治療して消炎作業をするしかないと思う。なによりも、気を使って『効いたような気がします』と言うのも苦手な性格」なので、困って「いや大丈夫です、大丈夫です!」と言って断ろうとしたが
「大丈夫だよ、やってやるよ〜」
と言っていただき、結局治療してもらう事になった。
「僕、嘘つけないので変化がなかったら『変わりません』ってはっきり言います」と、かなり失礼なことを申し上げたうえではじめていただいた(失礼なことを言ってすみませんでした)。
最初に動きのチェックをし、治療はMP鍼?のようなものを患側の手背部や手首の後面に貼り付けて(わずか2〜3ヶ所。刺したかな…?刺さないでテープで貼り付けただけのような気がします)、
「はい、じゃあ動かしてみて」
といわれた。
「え? これで?」
(いやむりむり…ちょっと数カ所触った程度の刺激でこの1ヶ月の苦痛に変化を起こせるとは思えないよ…)と内心思いつつ、こわごわ上肢をを前方に挙げていくと…
「あららららら…」
180度まで全く問題なくスムーズにあげることができました(外転は145度くらいまで改善)。これには本当にびっくりしました。
この伊藤先生の神業については今でも臨床仲間や患者さんによく話しています。
これを機に、可動域制限を有する肩関節周囲炎に対し「局所で対応できるもの」「遠隔穴で対応できるもの」「両方必要なもの」に加えて「鍼だけで対応できるもの」「お灸も入れたほうがよいもの」いろいろ検討しながら診るようになりました。
最近、遠隔穴を使った興味深い症例があり(まだ経過観察中)、はっきりと治療効果に繋がっていくようなら許可を得て報告していきたいと思っています(痛みの度合いから考えてそんなに簡単に問題解決するか難しいところですが、考え方や診方としてみても少し参考になると思いますので)。
雨の中125ccのスクーターで走行中、交差点の左折時にマンホールの蓋で前輪が滑り激しく転倒。左肩を強打した。その時は「すぐに起きなきゃ」という思いと恥ずかしさからすぐに立ち上がり、バイクを起こして道路わきまで移動させたが、アドレナリンがでていたせいかその時肩は少し痛む程度しか感じなかった。幸いバイクは動いたので乗車してそのまま帰宅した。
翌朝、肩の激痛で目が覚めた。おそらく寝返り。起き上がって腕を動かそうとすると、激痛で可動域が制限されている。腕を(前にも横にも後ろにも)体幹から離せないような状況のまま仕事をこなし、時間が空くと自分の右手で左肩や肘に鍼をしたり灸をする日々が続いた(状態としては重症の五十肩のような動きしかできないような感じ)。
1カ月くらい自分で治療を続け、90度くらいまでは前と横には上がるようになった。
その頃、月一回神奈川県鍼灸師会の保険部のレセプトチェックのお手伝いをしていて、当時の事務所になっていた伊藤昌芳先生の治療院に伺った際、肩痛の経緯を話したところ
「そんなの俺が治してやるよ〜」
と言われ、
正直なところ「いやいや、外傷性のマジなやつなので、炎症の鎮静も待たないといけないだろうから即効性を期待するよりはこまめに治療して消炎作業をするしかないと思う。なによりも、気を使って『効いたような気がします』と言うのも苦手な性格」なので、困って「いや大丈夫です、大丈夫です!」と言って断ろうとしたが
「大丈夫だよ、やってやるよ〜」
と言っていただき、結局治療してもらう事になった。
「僕、嘘つけないので変化がなかったら『変わりません』ってはっきり言います」と、かなり失礼なことを申し上げたうえではじめていただいた(失礼なことを言ってすみませんでした)。
最初に動きのチェックをし、治療はMP鍼?のようなものを患側の手背部や手首の後面に貼り付けて(わずか2〜3ヶ所。刺したかな…?刺さないでテープで貼り付けただけのような気がします)、
「はい、じゃあ動かしてみて」
といわれた。
「え? これで?」
(いやむりむり…ちょっと数カ所触った程度の刺激でこの1ヶ月の苦痛に変化を起こせるとは思えないよ…)と内心思いつつ、こわごわ上肢をを前方に挙げていくと…
「あららららら…」
180度まで全く問題なくスムーズにあげることができました(外転は145度くらいまで改善)。これには本当にびっくりしました。
この伊藤先生の神業については今でも臨床仲間や患者さんによく話しています。
これを機に、可動域制限を有する肩関節周囲炎に対し「局所で対応できるもの」「遠隔穴で対応できるもの」「両方必要なもの」に加えて「鍼だけで対応できるもの」「お灸も入れたほうがよいもの」いろいろ検討しながら診るようになりました。
最近、遠隔穴を使った興味深い症例があり(まだ経過観察中)、はっきりと治療効果に繋がっていくようなら許可を得て報告していきたいと思っています(痛みの度合いから考えてそんなに簡単に問題解決するか難しいところですが、考え方や診方としてみても少し参考になると思いますので)。