シリアの最近の戦況がYouTubeで確認できた。11月14日投稿のビデオの説明文によると、アレッポで、アルカイダ系の部隊が自由シリア軍の本部を襲撃した。
襲撃された自由シリア軍は地元の人間で構成されており、「バドル殉教者旅団」と名乗っている。名前からすると、イスラム系にも見えるが、実質はあくまで非アルカイダ・自由シリア軍だろう。結成当時は世俗的だったグループが、アルカイダ系組織の戦闘ぶりに刺激され、部隊名を宗教的ものに変えたのかもしれない。あるいは、食べ物と武器弾薬に事欠き、「ひげをはやすとカタールから援助が得られる」というのと同じ理屈で、部隊名を宗教的なものにしたのかもしれない。
襲撃した側のアルカイダ系とは、「イラク・レバントイスラム国」である。ヌスラ戦線ではない。シリア北部では最近「イラク・レバント」の動きが活発である。北部を自己の領土として固めようという動きが顕著である。
アルカイダ系部隊と地元出身者からなる自由シリア軍との対立が、あいかわらず激しいことを示す一例である。
また、11月19日投稿の別のビデオの説明文によれば、政府軍はダマスカス北方100kmに位置する町を奪回した。
ダマスカスを取り巻く反政府軍にとってこの町は重要である。かれらに対する補給は、レバノンからこの町を通っておこなわれている。この町の名前はカラという。
クサイルを失うことによってホムスの反政府軍は敗北した。カラを失ったことで、ダマスカス周辺の反政府軍は窮するだろう。
カラ攻略に成功したアサド政府軍は、念願の「ダマスカス周辺の反乱軍を一掃」という目的に一歩近づいた。ホムスとダマスカスの中間に陣取っている敵を一掃することは、両都市の安全を確保することにつながる。
<反政府軍の支配地域=黄色の部分>
地図はワシントン・ポストより
[説明]
西側に南北に主要都市が連なって位置している。南から北へ順番に、ダラ・ダマスカス・ホムス・ハマ・イドリブ・アレッポの各都市がある。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます