京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

京町屋東山(3)祇園甲部歌舞練場、八坂倶楽部、弥栄会館、南座、パビリオンコート、旧並河靖之邸

2020-08-23 17:26:46 | 京都の町 町屋・建造物


 京都の町屋、東山区第3回です。
 町屋ではない建築も紹介します。

祇園甲部歌舞練場正門
登録有形文化財
東山区祇園町
昭和前/1936 鉄筋コンクリート造平屋建、瓦葺、建築面積174㎡
祇園甲部歌舞練場は明治6年に杉浦治郎右衛門が新しい歌舞芸能として考案した「都踊り」開催場として建設したことに始まる。
鉄筋コンクリート造,平屋建,寄棟造・銅板瓦葺の建物で,敷地西側の花見小路に面して建ち,アプローチを構成する重要な要素。










祇園甲部歌舞練場玄関
登録有形文化財
東山区祇園町
大正/1913 木造平屋建、瓦葺、建築面積286㎡
東側本館,南側別館,北側の弥栄会館に囲まれた位置に建ち,演舞会時には一等玄関・一等待合に使用されてきた。入母屋造の主体部に唐破風の車寄を接続した形態で,主体部は45畳と30畳の板間に分かれていた。入口に相応しい堂々とした外観を備えている。





祇園甲部歌舞練場別館
登録有形文化財
東山区祇園町
大正/1913 木造2階建、瓦葺、建築面積712㎡
本館の南側に接する東西棟・妻入の細長い建物で,1階は当初70畳敷の点茶席,2階は休憩室・待合室で床・棚付の2室とする。正面となる西面は車寄の唐破風,玄関となる妻庇上の千鳥破風,入母屋造の妻飾が階段状に続き,躍動感のある外観を構成している。






八坂倶楽部
登録有形文化財
東山区祇園町
大正/1913 木造2階建、瓦葺、建築面積746㎡
木造2階建,入母屋造・瓦葺の大屋根を架けた建物で,敷地南奥に建つ。
北面西側に軒唐破風付の玄関を設け,東面と南面から庭園を望む。1階は特等客向けの待合・点茶などに用いられ,2階は広大な132畳敷の客席と舞台からなる広壮な舞台座敷としている。










弥栄会館
登録有形文化財
東山区祇園町
昭和前/1936 鉄骨鉄筋コンクリート造地上5階地下1階建、瓦葺、建築面積1272㎡
鉄骨鉄筋コンクリート造,地上5階地下1階建で,南面して建つ。
各階に銅板瓦葺屋根をかけ,塔屋状の正面中央部は付庇や宝形造屋根が城郭の天守を思わせる造形で,和風意匠の伝統を巧みに織り込んでいる。設計は劇場建築を手がけた木村得三郎,施工は大林組。










南座
登録有形文化財、歴史的意匠建造物
四条大橋東詰
昭和前/1929 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造地上4階地下1階建、瓦葺、建築面積1797㎡
桃山風の意匠を凝らした劇場建築で,総客席数1500余の大劇場を収容できます。
何度か改修が行われ外観は竣工当時の姿に復元されています。
演劇の中心地の一つとして,また都市のランドマークとして,広く親しまれています。





パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)和館
登録有形文化財
東山区粟田口三条坊町14-2
明治/1904/1967移築 木造平屋建、瓦葺、建築面積105㎡
当初古美術品の陳列施設として建てられたものを,昭和42年に現在地に移築したものです。
木造平屋建,桟瓦葺で,舟肘木を用い,窓上部に菱形格子を巡らしています。















旧並河靖之邸主屋
登録有形文化財、景観重要建造物
東山区三条通北裏白川筋東入
明治/1893 木造2階建、瓦葺、建築面積238㎡
七宝作家並河靖之の自邸です。
いわゆる表屋造で,表側はせがいの軒に虫籠窓,名栗の駒寄せといった伝統的な京町家の構えをもっています。
良材を用い瀟洒な意匠でまとめられるが,内法が高く,庭園に面する縁先は総ガラス戸入りとするなど,新時代の要素がみられます。















並河邸北棟
歴史的意匠建造物
三条通北裏白川筋東入堀池町


















京町屋外観の特徴
屋根
一階庇の最前列は一文字瓦で葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
格子は戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
店の間の外観
軒下に水引暖簾、大戸に印暖簾を掛けます。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。


各種建造物指定の説明

国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。

景観重要建造物
 平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。

歴史的意匠建造物
 歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。

歴史的風致形成建造物
 平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。