半世紀以上も前のこと、私は伊豆半島の紺碧の海を見下ろす高原の一角にある、当時としては理想的な高齢者施設を訪れた。そこで暮らす高齢の夫妻に所用があっての訪問だった。まだ介護制度もない昭和の時代である。全面芝生の広い敷地内には諸処に樹木が植えられ、花々が花壇に咲き乱れていた。敷地内には多数の2階建て住戸(上下階温泉暖房2DK各一戸)が散在し、それぞれ、上階住戸専用と階下住戸専用の上下2段の屋根付き回廊 . . . 本文を読む
好奇心を満足させようとすると、否応なく新規の言葉、初見の語に出会う。外来語もあれば古語も俗語も造語もあり、それらを憶えることは、年齢のせいで筋力と記憶力が衰えがちな老生には苦手。それでも努めて憶えようと奮起するのは、記憶力を何とか守りたいからである。新しい言葉は、日頃最も触れる機会の多いユーチューブからが多く、次いで購読している雑誌その他書籍と続く。スマホはその意味で必需品である。最近知った語で特 . . . 本文を読む
理に合わせることよりも和を優先する社会というものは、その社会を構成している人々が、「理」に依拠しなければならない局面でも、敢えて「和」で乗り切ろうとする習癖を保っているのではないかと思う?「理」は論拠を要するが、「和」は論拠を省いて多数の同意さえあれば、事を決することができる。同意・合意を何よりも優先する和を尊ぶのは、数の優勢で事を決することができるからである。逐一論拠を示して事を決定に導くのは、 . . . 本文を読む
同居の長男は健康管理にうるさい。アイデアが湧くとすぐ試すのは父親譲りか?どこで手に入れたのか、ある日廊下にこのようなマットが敷かれていた。浴室への通路なので、家族は全員、1日1回はこのマットの上を通らなければならない。マットの一面に突起がある。この上を歩くと、足裏が物凄く痛くて跳び上る。マットを敷いた本人が、うっかり歩いて悲鳴をあげるほどだから、老いた両親にはもっと痛い。老人虐待と紙一重である。孫 . . . 本文を読む
織田信長は、その人生の絶頂の時に、最も信頼していた重臣、明智光秀に討たれた。四囲の強敵の同盟に怯むことなく各個制圧し、天下を統一したかに見えた戦国の覇者信長も、人の子だったということだろう。信長親子を討った光秀は、恃みとする盟友で娘の舅の細川藤孝(幽斎)に与力を拒絶された上、筒井順慶の裏切りに遭い、山﨑での羽柴秀吉との決戦に敗れた。本拠地坂本に向け敗走中に、落武者狩りの土民の手にかかり討取られた。 . . . 本文を読む