定年を前にした方たちの中に、「退職したら暇潰しに困りそう」と宣うご仁が偶に居る。単に寂しさを紛らす言葉で、本音ではないのかもしれないが・・・
その人は、仕事に就いていた時期、仕事以外にやりたいコトが何も無かったのだろうか?それとも仕事の内容が、それを許さなかったのだろうか?
身過ぎ世過ぎに忙しい私たちには、暇が天から降って来ることはけっしてない。
暇はつくるもの、こしらえるものである。人生を大切にする人は、暇をつくることに吝かであってはならない。「寸暇を惜しむ」の言葉があるように、ほんの僅かな自己裁量時間が、暇というものである。
暇ができたらやってみようか?などという消極的な動機や意欲しか持てない事柄だったら、やらない方が好いのではないか?積極的にやりたい事なら、やり繰りして暇をつくり実行するはずである。
そもそも「暇潰し」という発想がよろしくない。暇=自己裁量時間は、大切な自分の貴重な時間、すなわち生命そのものである。それを、潰すなどという勿体無い物言いがあって良かろうはずがない。
退職して仕事の拘束時間がなくなったら、その時間がまるまる自分のものになると考えるところに,認識の甘さがある。
私たちの内部には、怠惰とか懶惰という、人の自己裁量時間を喰い尽くす神出鬼没の魔物が棲んでいる。このタチの悪い魔物が蠢動したら、あっという間に余生は消尽されてしまう。
貴重な定年後の自己裁量時間は、自分が心から欣び愉しめるコトに充てるべきである。
暇潰しにやろうかなどと思いついたことなら、やらない方がマシだろう。やりたいことは何か?考え抜いて、有意義なリタイア後の生活を全うしていただきたいものである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます