先頃、人に誘われ里山の集落へ植物観察に出かけた。群生が比較的珍しい種類が盛りとあって、観賞に来る人は多く、普段は静かな里山の集落内の臨時駐車場は車が満杯、俄かづくりの物産販売所や休憩所も人で賑わっていた。
赤い色が似合うとは、どういうことだろうかと考えてみた。先ず頭に泛かぶのは「情熱」。これは若い頃から旺んだったように思う。何事も情熱で圧倒したがる悪い癖がある。
この日老生はたまたま赤いポロシャツを着ていたのだが、物産販売所で立ち働いていた土地のご婦人3人組みから「ホントに赤がよく似合う!」と声をかけられた。
特産品販促のお愛想と分かっていても、ご婦人に持ち上げられるのは、幾つになっても悪い気はしない。老生忽ちヤニ下がってしまい、制止する妻の言葉も無視して、お茶や椎茸を気前よくかう買ってしまった。
自分では赤が似合うとは露ほども思っていなかったから、そのご婦人たちの素朴でストレートな賛辞にあっさり参ってしまった。長年連れ添った妻に、赤い服が似合うなどと一度も言われたことのない身であるから、この言葉は甚く効いた。
私は女性を褒めることにかけては、人後に落ちないと自負しているが、褒められたことは滅多にない。弱いところを突かれたものだ。
老齢になったから赤が似合うようになったのか?事情はよく分からないが、見ず知らずの人の言葉だから、真に受けてしまった。以来、仕舞ってあった赤系のシャツやセーターを頻繁に着るようになった。
今では、青年時代にこの色を身に着けなかったことを、大いに悔やんでいる。
還暦のときには、赤の祝い衣裳を断固拒んだ老生である。あれは赤というより朱に近いのが嫌だった。赤といっても色調の幅が広く、なかなか好みの赤には出会わない。
フランス国旗をはじめ各国の旗の赤は「博愛」を示すというから、欧米では赤い色に「愛」のイメージがあるものとみえる。これも大いに結構だ。総じて赤に悪いイメージはない。
日本には猩々緋という黄味がかった朱色があって、中国の架空の生き物猩々の毛色とか。猩々はオランウータンがモデルとも言われる。同じ中国出身の架空の猿、狒々が好色なのに対して酒好きなところが好ましい。「猩々爺い」これまた結構!
これからは、誰がなんと陰口を叩こうと、赤を着まくることにしよう。渋い老人になんぞ成りたくもない。昔からファンキーな亀仙人が理想である。
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