ようやくセミが鳴き始めた。しかし、例年のように一斉に鳴くのではなく、しぶしぶと鳴いている。声に張りがない。ともかく、セミは梅雨明けを感知したらしい。天災地変のせいで、セミの幼虫が、思い切り悪く五月雨式にポツポツ地上に出ているのでなければよいが。
昨日から、気象庁は当日または翌日の気温が35度C以上になると予測されるエリアに、高温注意情報をだすことにしたようだ。目的は熱中症の予防のためらしい。過去に例はなく、唐突の感は免れない。電力不足の夏を懸念してのことだろうか?
高温になることを報せらせるから熱中症に気をつけるように、では国民それも発症しやすい幼児や高齢者に不親切ではないか。高温になるから冷房を効かせた部屋から出ないようにと勧奨すべきだ。豪雨予報のときは、川の傍に近づかないようにと必ず言う。
そもそも、気温は局地的な差異が大きく、地域一律に同温ということはあり得ない。山の南と北、川や海、湖のあるなしで、気温はかなり違うことが多い。平成の大合併で拡がった市域では、3度C以上の差が生じることも稀ではない。
注意情報はあくまで予報であるから、外れることもあるだろう。各地の計測点での現在の気温・湿度・風速の実況はアメダスでわかるが、これはあくまでその計測点でのデータでしかない。どんなに計測点を増やしても、個々人の生活する場を測ることは出来ない。
熱中症予防には、個々人の身辺における気温と湿度を知ることが重要だ。何処に居ても現在の温度湿度を確めることができれば、各自で適切な対応をとり熱中症を防ぐことができるだろう。なにも気象庁の計測情報に依らなくても、100円ショップで売られているコンパクトで正確な温湿度計がひとつあれば、熱中症から身を守ることは難しくないはずだ。
天気予報だけで充分なのに、高温注意報などを政府が発表すると、かえって国民に不安と暗示を与え、心理的に暑さに参ることもありはしないか。エアコンの温度設定を低めたり、節電志向を弱めてしまうおそれもありそうだ。気象庁には、もっと国民から求められている仕事で存在感を示してもらいたい。
気象予報士制度ができてから、天気予報は民間企業のビジネスになった。気象庁は民間にできないことをやらねばならない。そうでないと、同庁への国民の親近感、信頼感は、薄れる一方になるだろう。
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