半世紀ほど前までは、市街地の中心部から郊外の三方原台地の真ん中を縦貫し、湖北の奥地に至る鉄道線が通じていた。大正の時代に敷設された歴史ある鉄道だったのだが、戦後のモータリゼーション社会に存続の余地はなかったようだ。
廃線跡の軌道敷の一部が遊歩道になって通学や散策に便宜を与え、市民の多くに親しまれている。台地を掘り下げた切り通し道は、住まいから街まで歩く際の、静かで安全な絶好の間道である。
軌道跡の道は、車道と立体交差する歩行者・自転車専用で、浜松城に近い台地上の二本の車道の下は、レトロなトンネルが穿たれている。
トンネルというものは、長いのはご免だが、短いものはトリミングの効果で景観に意外性を与え、行く手への好奇心を励起するはたらきがある。
切り通し道は木洩れ陽の道、小鳥の鳴き声が絶えない。近くに住む同級生とバッタリ出会うこともあり、部活の生徒たちが元気に駆け抜ける姿にも触れる。歩いて道のりを忘れる道である。
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