好物の柿のシーズンになった。先駆けは「刀根柿」。
当地は「次郎柿」発祥の地静岡県周智郡森町に近いから、これまでは柿というと「次郎柿」一辺倒だった。静岡県では、長い間柿と言えば「次郎柿」だけだったと思う。
それが流通の多様化と拡大で、奈良県産の「刀根柿」が柿シーズンの先鞭をつけ、豊富にスーパーに出回るようになっている。
関西で普遍的な「刀根柿」は、品種の固定がまだ新しく、当地に出回り始めたのはここ数年のことで馴染みが薄かった。この柿は渋柿で、炭酸ガスで脱渋して出荷するらしい。
ジューシーだが甘みは淡く上品、後口に仄かな渋みが残るところが大人好みである。和食のデザートには秀逸かと思う。圧倒的に濃厚な甘みをもつ次郎柿とは違う風味が嬉しい新参品種だ。今や私の好みトップ「富有柿」に次ぐ位置を占めてしまった。
「次郎柿」が3番手になったのは、これまで専らこの柿を食べ過ぎて、食傷していることが大きい。人間どんなに美味しいものでも、食べ慣れると満足感が低減するのが自然の法則だ。
我々島国育ちの人間は、珍奇なモノを有り難がる。特に食べ物での希少なものを尊ぶこと並大抵でない。味覚が鋭敏なのだろう。初物好きであるのも、希少性選好の一面であろう。
「刀根柿」ばかり褒めちぎったので、お終いに郷土の名産「次郎柿」の特長を一点あげさせていただく。この柿は熟すに従って種の周りがゼリー状に肥厚し、過熟のものは別種の果肉のような、独特の風味と歯ざわりがある。したがって私は、「次郎柿」は過熟なものばかり選んでで食べる。
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