4月下旬からの、史上最長連休のほと
ぼりが冷めた5月中旬、九州を駆け足で周回した。
九州旅行の目的は3つあったが、その内の一つは、有明海のムツゴロウの刺身を食べることだった。
佐賀のホテルに夕刻着くとすぐ、ムツゴロウを食べさせてくれる店に出かけていった。魚介仲卸会社が経営する店で、水槽の中の有明海産の魚・貝を見たときには、かつて未踏の山を前にしたときにも似た興奮を覚えた。翁・嫗になっても変わらぬ食の好奇心には、共に忸怩たるものがある。
品書きを見ても、知らない名前の魚介が多数、店の人に聴いてみても味覚を想像するのは難しい。初めてのモノを食べるには覚悟が要る。嬉しいことに佐賀は酒どころ、土地の銘酒が勢揃いしていた。
先ずはムツゴロウと、見たことも聞いたこともないワラスボという名の魚の刺身を注文した。どちらも有明海の固有種で、水槽の中で泳いでいた。ムツゴロウは予想どおり旨かったが、形相の凶悪なワラスボの身は甘みが有り、ムツゴロウ以上に美味だった。「宮の松」、「東一」という佐賀の酒も実に結構なものだった。
ムツゴロウ。
ワラスボ。
歯並びが凄いエイリアンの形相だが、上手く撮れなかった。
甲貝(コウカイ)という貝の刺身も初めて口にした。後でスマホで調べたら、テングニシの種名で千葉県以西の砂地に生息するらしい。ならば静岡県でも獲れそうだが、伊豆でも御前崎でも食べたことがなかった。唾液腺に毒があり、それを取り除かないと食べられないという。九州ではよく食べるらしい。
九州は焼酎王国・焼酎文化と言われるが、気候風土が酒造りに適う佐賀の日本酒を知って嬉しかった。日頃、上越の酒・静岡の酒を愛飲する身だが、2つと同じ味はない日本酒の幅は広く奥は深い。
初めて訪れて味わった佐賀の酒肴、私はアッサリ虜になったようだ。
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